セブン&アイを悩ます業績悪化と買収問題
財経新聞 / 2025年1月15日 9時42分
●セブン&アイの業績が悪化
国内流通大手のセブン&アイホールディングスは9日、2024年3月~11月期連結決算を発表、純利益は前年同期比65.1%減の636億円だった。海外不採算店舗閉鎖やイトーヨーカ堂のネットスーパー再構築など、1789億円の特別損失計上と、海外コンビニ事業の不振が響いた。
昨年カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたが、その後会社の創業家側を中心とする特別目的会社からも、株式を買収して非上場化する提案を受けていた。
業績悪化に買収問題と、セブン&アイの行方はどうなるのだろうか?
●セブン&アイの選択肢
セブン&アイホールディングスの丸山好道CFOは、クシュタールからの提案を受け入れるかどうかを5月の株主総会をめどに判断するとしている。「まだ評価すべき材料が出そろっていない」と述べており、判断するまでの情報が不十分であるというのが現状である。創業家の買収提案も含め、会社として独立して経営することも選択肢に入っている。
北米事業がまだまだ過小評価されているという認識で、今後米国でのコンビニ事業会社を上場するという構想もあると述べていた。
●立て直しは可能なのか?
1974年に米国から日本に上陸した日本最初のコンビニ・セブンイレブンは、日本式コンビニとして独自の進化を遂げてきた。数千点もの商品だけでなく、宅配便、公共料金の支払い、ATM、最近では住民票などの発行も扱うようになり、地方にとっても欠かせないインフラとなっている。
一方、少子高齢化で人口減少する国内では、コンビニ全体の店舗数も頭打ちで、セブンイレブンは付加価値重視の高級路線で同業他社との差別化を図ってきた。
最近では「エコだ値」や「うれしい値!」などの安売り戦略も展開しているものの、国内事業には限界がある。
だからこそ米国での事業に注力したいが、インフレが影響し、買い控えがおき苦戦を強いられている。
創業家側の提案では、非上場化以外に伊藤忠商事などにも出資を打診するなど、新たな大企業連合となるかもしれないが、9兆円近い買収額の調達に苦戦しているとの報道もある。今後、クシュタール側がさらに買収額を引き上げる可能性もある。
まだまだセブン&アイの苦境は続きそうだ。
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