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線虫による実験で脳が老化する仕組みの一端を解明 名大

財経新聞 / 2025年1月15日 9時50分

 名古屋大学は10日、線虫の脳機能が老化する仕組みの一端を解明したと発表した。加齢によってある種のニューロンが過剰に活性化することで、正常なニューロンの神経回路が妨害され、脳機能の老化が引き起こされるという。

 今回の研究は今後、ヒトの脳機能が老化する仕組みを解明するためのヒントになる可能性もあるという。

■線虫は老化により連合学習能力が低下する

 2つの刺激を関連付けて学習することを連合学習という。例えば、ある一定の温度でエサを与えて飼育すると、その後、線虫はさまざまな温度の場所が存在していても、過去に飼育された温度の場所に移動するようになる。この場合には線虫は温度とエサを関連付けて学習したことになる。

 しかし線虫のこのような連合学習能力は、老化によって衰えていく。

 研究グループは当初、この衰えを加齢によって連合学習に重要なニューロンの活動が低下するためだと予測した。しかし実際に調べたところ、加齢によってもこれらのニューロンの活動にはあまり変化はみられなかった。

■他のニューロンの過剰な活性化により神経回路が妨害

 そこで研究グループが、連合学習に関連がありそうな他のニューロン(AWC感覚ニューロンなど)を除去すると、加齢しても、連合学習能力が維持された。

 さらに研究グループが計測してみると、これらのニューロンは加齢により活動が過剰に活性化していることがわかった。

 これらのことから、加齢により過剰に活性化したニューロンにより連合学習に重要なニューロンの神経回路が妨害されることで、老化による連合学習能力の低下が引き起こされると結論付けた。

 研究グループは、加齢によるニューロンの過剰な活性化は我々ヒトでもみられ、また線虫とヒトは多くの遺伝子が共通しているところから、今回の研究成果はヒトの脳機能の老化について新たな知見をもたらす可能性があるとしている。

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