駆け込み注意―投票時間は午後8時までとは限らない
政治山 / 2016年6月30日 17時30分
低迷する投票率に歯止めをかけるため、官民さまざまな取り組みが行われています。今年4月の公職選挙法改正では、子連れ投票の解禁や期日前投票所の受付時間延長、共通投票所の設置などの施策が講じられました。
最大4時間、3分の1以上が終了時刻を前倒し
しかし一方で、足並みを揃えて開票作業に当たり、一刻も早く集計作業を終えるために、投票日に午後8時よりも前に投票受け付けを締め切る投票所も数多くあります。前回2013年の参院選では、全国4万8777カ所の投票所のうち34.7%の1万6927カ所で終了時刻を前倒ししており、今回も同様の傾向がうかがえます。前倒しは原則2時間までで、やむを得ない場合は最大4時間まで認められます。
鹿児島県では7月7日が投票締切の地域も
ところが、一部の離島や遠隔地では投票期日=投票日自体が繰り上げられることがあります。前回の参院選では81カ所の投票所で、投票日よりも前に投票が締め切られました。
その内訳は1日前59カ所、2日前9カ所、3日前13カ所で、3日前倒した投票所はすべて鹿児島県内の投票所でした。今回も屋久島町や三島村の離島にある12の投票所は、3日前の7月7日に投票を締め切ります。
鹿児島では県知事選が同日に行われる~鹿児島県ホームページより~
選挙戦終盤の情勢を見て直前に投票する機会を奪うことに
本来平等であるべき選挙権行使の機会が制限されている現状について、選挙制度に詳しい湯淺墾道・情報セキュリティ大学院大学教授は以下のように指摘します。
「今回の公選法改正の趣旨に反するもので、仕事や学校帰りに投票する人の利便性を損なったり、選挙戦終盤の情勢を見て直前に投票する機会を奪うことになる」
2020年には「海外からネット投票」が可能に
投票所から開票所まで、投票箱を人の手で運び即日開票しようとする限り、終了時刻や締め切り日の前倒しは避けられそうにありません。これは在外邦人の投票においても同様のことが言えます。
内閣府の「マイナンバー制度利活用推進ロードマップ」には、2020年に「在外邦人が国政選挙にネットで投票可能に!」と記載されていますが、山間部や離島に住む人や物理的に移動が困難な人、そして障害などを理由に選挙権行使の機会を著しく制限されている人の投票環境も整えていく必要があるのではないでしょうか。
マイナンバー制度利活用推進ロードマップ~内閣府資料より~
<株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー 市ノ澤充>
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情報提供元:政治山