特集2017年8月17日更新

まだ間に合う!2017年夏ドラマ“中間採点”

7月上旬にスタートした「夏ドラマ」。開始から1カ月が経過し、早くも「勝ち組」「負け組」がぼんやりと見えてきました。視聴率の良し悪しから「前評判と違う!」に至るまで、とにかく話題になっている作品をピックアップして紹介します。

コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 THE THIRD SEASON

どんなドラマ?

平均視聴率15%超の人気作が7年ぶりに復活

同作は、2008年7月にスタートし、翌2009年1月にスペシャル放送、2010年1月に「2ndシーズン」が放送された人気ドラマの最新シリーズ。“ドクターヘリ”に乗り込むフライトドクターを目指し、若い医師たちが真摯に命と向き合う姿を描いた作品。
俳優の山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介らが、救急救命の最前線で活躍する一人前の医師・看護師を演じる。

08年「1st」の全話平均視聴率は15.9%、10年の「2nd」も16.6%と高視聴率を記録した人気シリーズです。

今期ダントツの人気ドラマ

視聴率や満足度など軒並み1位

「コード・ブルー」は視聴率をはじめ、満足度や期待度といった数値が今期ドラマの中で軒並み1位という話題作になっています。

前作からのブランクをものともせず、視聴率は初回16.3%を獲得し、以降も平均2ケタ半ばをキープ。オリコンの週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』の視聴者満足度調査「ドラマバリュー」でも90点台という圧倒的な支持を得ている。

「勝手にランキング」の調査によると、「今期、最も期待する作品ランキング」で圧倒的1位。同調査の「今期見ている(見る予定)のドラマランキング」でもダントツの1位となっています。

〈今期、最も期待する作品ランキングTOP5 〉
1位 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-
2位 黒革の手帖
3位 刑事7人
4位 遺留捜査
5位 過保護のカホコ
(中略)
1位に選ばれた「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」は2位と約20ポイントも差があり、多くの人たちから期待されていることが分かります。

オリコンやマイナビニュースの「期待度」調査でもダントツの1位だった本作。視聴率も好調をキープしているということは、そのファンの期待を裏切らない内容になっているといえそうです。

豪華キャストが再集結

キャスト名だけで見たくなる「オールスター感」

人気の要因のひとつとして指摘されているのは、7年ぶりの新シリーズであるにもかかわらず、主演の山下智久をはじめ、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介など、主役級に成長したメンバーを再集結させることができた点。これにより、これまでのシリーズを見てきたファンを離さなかったことに加え、「出演者が豪華なので」という理由で新たなファンを引き入れた点も評価されているようです。

08年から出演している初期メンバー、山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介などが、この9年、ぞんぶんに活躍し、いっそう貫禄を増してきたものだから、彼らが全員そろったことで、とても豪華な感じもある。このオールスター感。
2008年の第1弾から9年が過ぎた今、主演級の俳優となった5人をそろえられたプロデューサー・増本淳の力は、もっと称えられていいだろう。近年の出演作品も所属事務所も五人五様であり、山下智久と戸田恵梨香が前期連ドラに主要キャストで出演していたなどスケジュール調整の難しさも含め、「成功の半分はプロデューサーの仕事で勝ち取ったのではないか」とすら思わせる。

プロデューサーの増本氏の名前が出たついでに、同氏が本作の見どころを語っている記事を紹介しておきます。

人気上昇中の若手俳優も融合

従来のメインキャストだけでゴリ押しするのではなく、現在人気上昇中の若手俳優たちもキャスティングして、バランス良く融合させている点も評価されています。

新メンバーとして、成田凌(23)、新木優子(23)、Hey! Say! JUMPの有岡大貴(26)、馬場ふみか(22)と4名の若手俳優が加入。王道の人気キャストに加え、ネクストブレイクが期待される若手たちによる、新たな物語の展開が、幅広い年齢層の視聴者の心を掴んでいるのかもしれない。

「逃げ恥」の余韻続く? ガッキー人気が月9を牽引

「月9の救世主」から「フジテレビの救世主」の声まで

もともと人気女優だったものの、昨年大ヒットしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」以来、さらに大きくブレイクしている感がある“ガッキー”こと新垣結衣。彼女の人気が本作の人気を牽引していると指摘する記事が多数あります。

一桁視聴率が珍しくなくなった昨今のドラマ界において、初回から7日に放送された第4話まで二桁視聴率を記録しており、凋落が危惧されていた「月9枠」の救世主になるといわれている。
「もともと人気の高かった作品の続編ということもありますが、今シリーズでは『逃げ恥』の大ヒットの影響で新垣さん目当ての男性視聴者が増加し、それが数字に結びついているとも指摘されています。(中略)」

潜在的に高い数字を持っている医療ドラマ

医療ドラマというのは潜在的に高い数字を持っている作品と言われている。フジテレビには『白い巨塔』や『救命病棟24時』があり、他局では『ドクターX~外科医大門未知子』(テレビ朝日系)がヒットするなどある一定の支持層がいる。木村拓哉(44)を主演にした『A LIFE〜愛しき人〜』(TBS系)も王道の医療ドラマとして当クールのドラマの中でも高視聴率を叩きだしています。

プロデューサーは「救命ドラマのスペシャリスト」

前出の増本プロデューサーは医療ドラマに多くたずさわってきた人物だといいます。

増本は入社2年目で『救命病棟24時』(フジテレビ系)第2シリーズにADとして参加したのち、第3シリーズやスペシャルドラマでプロデューサーを務めた経歴を持つ。さらにその後、『Dr.コトー診療所』(ある意味、救命)、『コード・ブルー』を手がけるなど、緊迫感あふれる世界観の構築に長けた「救命ドラマのスペシャリスト」なのだ。

医療ドラマでは、医療シーンのリアリティが重要な要素となります。そこで、1stシーズンから医療監修を務めているという国内のフライトドクターの第一人者、松本尚・日本医科大学救急医学教授のインタビュー記事と動画を紹介しておきます。
山下智久の芝居を見て「嬉しかった」シーンの話や俳優陣との交流、「フィクションと現実とのさじ加減」へのこだわりなど、興味深いエピソードがてんこ盛りです。

脚本家変更もプラスに作用?

医療中心の物語から若者群像劇へ

今シリーズから脚本家が変更されていて、「医龍」などを手掛けた“医療ドラマの名手”林宏司氏から、仕事に恋愛を絡めた物語が得意な安達奈緒子氏に変わっています。この変更により、若者群像劇の要素がアップしたと指摘する声も。

この変更によって、医療モノとしての質を保ちつつも、若者群像劇の要素がアップ。前シリーズまでのキャラクターがより強調され、キャリアや妊娠などのリアルな人生にもフォーカスが当たっています。
藍沢耕作(山下智久)、白石恵(新垣結衣)、緋山美帆子(戸田恵梨香)、冴島はるか(比嘉愛未)、藤川一男(浅利陽介)の5人は、脚本家の変更によってそれぞれのキャラが際立ち、魅力を増している印象すらある。

恋愛要素の増加に賛否両論

脚本家変更による影響はプラスだけではないようです。恋愛要素の増加に対しては視聴者やドラマ評論家も敏感に反応していて、“恋愛シーン”に大喜びする視聴者もいれば、「恋愛要素いらない」「緊迫感が足りない」と拒否反応を示す人も。賛否両論が渦巻いているようです。

過保護のカホコ

どんなドラマ?

極端な箱入り娘が成長していくホームドラマ

『過保護のカホコ』は、“過保護の象徴”とも言える女子大生・加穂子が主人公だ。彼女の朝は母(黒木瞳)に起こしてもらうところから始まり、その日に着る服も母に決めてもらい、母の運転で車で送ってもらう。一大決心してアルバイトをしたときも、母がどのバイトにするか一緒に決め、バイト先で困っていればすかさず母が助けに入る。筋金入りの過保護なのだ。父(時任三郎)も娘に甘いところはあるものの、このままではいけないと感じている。しかし、父は妻に頭が上がらない。

そんな極端な箱入り娘“カホコ”が一人の青年との出会いによって変化し、自分の中に眠っていた力に目覚めていくというストーリーです。

大穴から本命へ 注目度も視聴率も右肩上がり

前評判はイマイチだったが…

同作は、昨年ヒットしたNHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』でヒロインを務めた高畑の民放連ドラ初主演作ではあるものの、週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』で先月発表された7月期の主要ドラマへの期待度ランキング(プライムタイム)では9位と、前評判では決して高いとはいえなかった。

上の記事が指摘するように、オリコンの「期待度」調査では9位、マイナビニュースの調査では11位と、「過保護のカホコ」の前評判はイマイチでした。

3話と5話で初回視聴率を超える

本作は、第3話(12.0%)と第5話(12.1%)の視聴率が初回の視聴率(11.6%)を超えるという珍しい展開を見せています。8月16日放送の最新話の視聴率はやや減少しましたが、それでも2桁の視聴率は維持しています。

7月12日放送の初回は11・6%でスタートし、第2話で10・8%にダウン。第3話で12・0%に回復し、第4話は11・1%に減少したが、第5話で過去最高の12・1%を記録。今回は1・2ポイント減少した。

注目度も急上昇

webサイト「ザテレビジョン」がSNSや独自調査を集計して“今テレビで熱いコト”に迫る指標「視聴熱」では、最新となる8月14日発表(期間8月7日~13日)の週間ドラマランキングで「コード・ブルー」を抑えてトップに立っています。前週まで3週連続で3位だったことから、ここにきて“熱”が急上昇していることがうかがえます。
また、YouTubeの「日テレ公式チャンネル」にアップされている各話のPR動画の再生数も爆発的に増加してきています。

このように、「今期No.1のブレイク」といっていいほどの盛り上がりを見せている「過保護のカホコ」。その秘密に迫っていきましょう。

遊川和彦氏の脚本に引き込まれる視聴者続出

「過保護のカホコ」の脚本を担当するのは、「家政婦のミタ」や「○○妻」など数々のヒットドラマを手掛けてきた遊川和彦氏。同氏が紡ぎだす物語やセリフに引き込まれる視聴者が続出しているといいます。

数々の名作を生み出した遊川和彦氏の現代の“過保護”問題をデフォルメしながらも、どこか身につまされるような脚本に引き込まれる視聴者が続出している。

視聴者が共感できるセリフや境遇

第4話のカホコの台詞「私、こんなの初めて。また明日ってこんなに素敵な言葉だって知らなかったから」など、今作には親子、恋人、それぞれの立場から共感できる名言が散りばめられていることも幅広い世代の心を掴んでいる理由のひとつだろう。
第5話の“ばあば”ことカホコの祖母・初代(三田佳子)の「愛するより信じるほうが難しい」も大きな注目を集めた
「カホコほどじゃないけど、どこか行くときは送ってもらってた」「大学出るまで料理したことなかった私は過保護ですか?」など、自分の境遇と重ねる視聴者も多く、「自立ってなんだろう?」「カホコのママは過保護っていうか過干渉」「ママが子離れできてないことが一番問題」など、家族のあり方を見つめ直すきっかけにもなっているようだ。

麦野初(竹内涼真)がカッコ良すぎ

カホコの初恋の人・初がとにかくかっこいい。出会った頃からカホコに現実を教えてくれる唯一の存在。
(中略)
第4話の「俺にはお前が必要なんだよ」、そして第5話の「嫌です。娘さんともう会えなくなるのは嫌です」など、ぶっきらぼうだけど“どストレート”な言葉で女性視聴者の心を鷲掴みにしている。
そんな男気溢れる初の姿に対しネットでは「#過保護のカホコお姫様だっこ」というタグが登場したほか、「竹内涼真くんかっこよすぎて心臓がもたない」「本当にかっこよすぎてもう号泣」「俺男子だけどすごくかっこよかった」「竹内涼真くんがかっこよ過ぎて吐血しそう」など、竹内さんの演技に感動したという声が続々投稿され“お祭り”状態となった。

この「初がカッコいい」「竹内涼真、イケメンすぎ!」といった記事、ここ数週間ほどで山のように配信されてきています(以下に紹介するのは、ごく一部です)。昨年、「逃げ恥」がブレイクした頃に起きていた「ガッキー、かわいすぎ!」現象と似たような感覚を覚えます。

「AIカホコ」が視聴率アップに貢献

LINEの友だち登録者数が一気に上昇

LINEの「AIカホコ」が視聴率アップに貢献しているといいます。

「AIカホコ」は、現代日本が生んだ過保護の象徴のような女子大生・カホコとLINE上で会話できるもので、ドラマで経験したことを元に会話が成長。また、会話をすればするほど「AIカホコ」も学習し、より自然な会話ができるように成長していく。

勢いの止まらぬAIカホコのLINE友だち登録数

AIカホコは7月7日より提供が開始され、2週間で友だち登録者が5万人、今月5日には10万人に。そこからさらに勢いが加速し、わずか5日で倍の20万人超えとなりました。現在も勢いは衰えず、17日現在で約30万人が友だち登録しています。

F1層と呼ばれる20~34歳の女性を視聴者に引き込む

「過保護の象徴のような女子大生カホコと、LINE上で会話ができ、しかもドラマをきっかけに会話が膨らむとあって、10代、20代の女性のユーザーが、本当の友人のように恋の話や日常会話を楽しんでいます。高畑充希が演じるカホコのキャラが親しみやすく、バッチリはまりましたね。おかげでF1層と呼ばれる20歳から34歳の女性の視聴率もアップ。平均視聴率も二桁をキープして、安定しています」

ドラマ視聴者が思わずニヤリとなる「AIカホコ」

AIカホコはドラマスタッフが監修していて、ストーリーに沿った言葉や単語を選択し、それを適宜組み合わせて返事を行うとのこと。それゆえ、ストーリーが進むにつれてドラマ視聴者が思わずニヤリとするような会話も混ざるようになってきているといいます。

「逃げ恥」「あなそれ」に続く右肩上がりパターン

背景に連ドラ宣伝方法の変化

本作のように、徐々に注目度がアップしていくというパターンのドラマが最近目立ってきました。その裏には、連続ドラマの宣伝方法の変化が大きく関係しているといいます。

「今までは雑誌やスポーツ紙、自局のワイドショーに大きく取り上げてもらい、まず初回に高視聴率を獲ることが至上命題と言われてきました。その後も最終回に向けて番宣番組を作るなど、プロモーションは常に宣伝部主導で行われてきました。ところが、去年10月期の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)や、今年4月期の『あなたのことはそれほど』(フジテレビ系)などのヒット作は、初回視聴率は大したことがありません。回を経ながらSNSの力を利用して、徐々に視聴率をあげていくパターンが増えているのです。これからの時代は、SNSの活用が視聴率アップの決め手になるのかもしれません」

SNSで視聴者を巻き込む戦略

竹内が毎週行っているSNSでの取り組みも見逃せない。
第1話は「#このあとは過保護のカホコ」、第2話は「#過保護のカホコ糸ちゃんおこ」、第3話は「#過保護のカホコダッシュダッシュダッシュ」、第4話は「#過保護のカホコIneedyou」と毎週内容にちなんだハッシュタグをトレンド入りさせるというもの。ドラマ公式Twitterと竹内のマメな更新もあって、ドラマオンエア前から毎週大きな盛り上がりを見せ、ここまで高確率でトレンド入りを果たしている。

今後も伸びるのか注目

…と、ここまで人気上昇の理由をいくつか挙げてきましたが、これらのほかにも「まっすぐでピュアなカホコを応援したくなる」「パパ(正高)に世のお父さんたちが感情移入している」「朝ドラ『ひよっこ』の“島谷くんロス”の受け皿になった」「星野源の主題歌が物語と絶妙にマッチ」などなど、実に多くの要因が重なり合ってブレイクへの道を進んでいるようです。
今後も注目度や視聴率が伸びていくのか、非常に気になる作品と言えそうですね。

カンナさーん!

どんなドラマ?

超ポジティブな“カンナさん”が全力で奮闘

2001年から2007年に画雑誌「YOU」で連載された深谷かほる氏による同名漫画が原作。超ポジティブでパワフルな働くママ・カンナが降りかかる様々な困難を乗り越え、持ち前の明るさと笑顔でハッピーに生きていくハートフルエンターテインメント。

「渡辺直美が主演」で話題 視聴者の共感も獲得

放送開始前から渡辺直美が主演を務めることが話題になっていた「カンナさーん!」。蓋を開けてみると視聴率も好調なスタートを切り、渡辺の“ハマり役”っぷりが原作ファンにも受け入れられて好評を得ているようです。

原作キャラクターとはルックスがそっくりなだけでなく、自身もブランドを持ち、ファッションアイコンとして活躍する渡辺と通じる部分も多く、まさにハマり役。

渡辺の演技が視聴者の共感を得ている、メイクや衣装にも注目が集まっている、といった好調の要因は、先日特集したページに詳しいので、そちらをご覧ください。

主演ドラマも好調!新世代エンタメ女王・渡辺直美

底抜けに明るくて笑える名言とキャラ

カンナのキャラクターがとにかく魅力的。完璧ではない人間らしさも持ち合わせつつも、底抜けに明るく、いつも前向きで、強い。
第1話では麗音くんと自転車事故に遭い、どしゃぶりの雨の中置いてきた自転車を取りに行くシーンでは「くそー!2時間後には絶対笑い話にしてやる!」と名言が飛び出す。そんな状況で傘を持って迎えに来た礼に流されることなく、自分に嘘を付くことは出来ないと、「私と離婚して下さい」と言い放ったカンナ。

“レオくん”が可愛すぎる

「ただただ天使」視聴者にとって癒やしの存在

渡辺直美演じるカンナさんの息子レオン(川原瑛都)がまた可愛いのなんのって。今期ドラマの中で、間違いなく可愛い子役№1。
若干3歳の瑛都くんだが、繊細な感情も見事に演じており、「レオくんが可愛すぎる」「めっちゃ癒される」「ただただ天使」「レオくんの気持ち考えると泣ける」とカンナ同様、視聴者にとっては癒やしの存在に。

制作費たった500万円の“捨て駒枠”だった?

「映画化も検討」との話も

TBSでは前クールの日曜劇場「小さな巨人」で制作費がかさみすぎて赤字だったとか。その影響で「カンナさーん!」の予算は厳しかったようです。

今クールの『カンナさーん!』の予算は1本500万円で、はっきり言って“捨て駒枠”だった。それで2ケタ視聴率を取っているのだから、上層部は笑いが止まらないでしょうね

本作の好調はTBS局員も予想外だったようで、上の記事では「局内では映画化も検討され始めたようです」というTBS関係者の声も伝えています。

黒革の手帖

どんなドラマ?

米倉涼子主演作以来、13年ぶりのリメイク

原口元子(武井咲)は銀座にある高級クラブのママ。しかし以前は派遣の銀行員だった。銀行が隠す不正な預金を横領し、それを元手に店をオープンしたのだ。
原作は1980年に出版された松本清張の同名小説で、これまでに何度もドラマ化されてきた。中でも13年前の米倉涼子主演作の印象が強い。

放送開始前の懸念の声を吹き飛ばす

「黒革の手帖」も視聴率2桁をキープしていて、「好調」と伝える記事が大勢です。面白いのは、「好調」を伝える記事のほとんどが「23歳の武井咲が銀座のママを演じるのは『若すぎる』という指摘があった」「放送前には『演じきれるのか?』『役不足では?』という声が多かった」「米倉涼子版のインパクトが強くて、武井にそれが払拭できるのか疑問の声があった」などのネガティブな枕詞から始まっている点です。
ドラマ制作陣の創意工夫によって、それらのマイナス意見を吹き飛ばすことに成功したようです。

「米倉涼子のイメージ」の払拭にも成功

2004年に放送された米倉涼子版のインパクトが強かった上に、主演の武井はまだ23歳。「悪女の代名詞」ともいえる原口元子を演じることへのハードルは高かったが、序盤では視聴者・識者ともに高評価が続出している。
普通のOL役では、やや浮いてしまうような武井の美貌が、夜の銀座という“異世界”で存分に生かされている。また衣装やメークだけでなく、その落ち着いた立ち居振る舞いと表情によって「銀座で一番若いママ」を見事に造形している。
「銀座最年少のママ役」という、なかなか攻めた役柄だけに放送前には「演じきれるのか?」「役不足では?」という声も多かった武井。
しかし、蓋を開けてみると彼女の和服姿はじつに美しく、悪女っぷりも見事。ネット上では、彼女の美しさを賞賛する声が多数確認できる。

制作陣の創意工夫と充実の脇役陣

元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア文化論)の碓井広義氏は、好調の要因を「裏で支える制作陣の創意工夫」と「脇を固める俳優陣の活躍」を挙げています。

制作陣の功績

まず挙げられるのは、「銀座最年少のママ」という設定です。将棋の藤井聡太四段に代表されるように、今年のキーワードの一つは「最年少」。その言葉ををさりげなく入れているのがいいですよね。2004年放送の『黒革の手帖』で主演を務めた米倉涼子さんの強烈な印象を払拭するのに、「いい設定を見つけたな」と思います。
今回のドラマ化のオリジナル部分として、亡くなった父親が残した借金のために、元子と母親が苦労した過去をきちんと描いている。そのため悪女であるはずの元子に、見る側が“肩入れ”する余地が生まれた。羽原大介の脚本の功績だ。

脚本担当の羽原氏自らが執筆秘話を明かしている記事も紹介しておきます。

好演・怪演が光る脇役たち

“汚れ仕事”も厭わない衆院議員秘書を演じる江口洋介、裏金を貯めて成り上がったクリニック院長を演じる奥田瑛二、裏口入学で巨額の利益を得ている予備校の理事長を演じる高嶋政伸など、「全員悪役」ともいわれる脇役陣にも注目が集まっています。

高畑淳子さん(62)は、私生活の鬱憤を晴らすかのような鬼気迫る演技を見せてくれました。奥田さん演じる院長を長く支えてきた看護師長であり、愛人という役どころで、最初は悪役のようなキャラでしたが、院長に裏切られた途端に人間らしい一面が垣間見えて「これはつらいよなぁ、かわいそうだなぁ」と同情を誘いました。
地味な銀行員から魔性のホステスへの豹変ぶりが話題となった波子役の仲里依紗には「仲里依紗の歪んだ顔がもっと見たかった」「あぁああああ…仲里依紗こわいよー」といった声が続出。
その“怪演”で視聴者を引き込んだ高嶋には、「高嶋政伸が最っ高にキレキレ」「黒革の手帖で高嶋政伸さんが蹴飛ばされるシーンみてお母さんが爆笑してる」といったつぶやきが寄せられた。また両サイドの髪がくるんと上向きにカールがかかった彼の髪型には、「髪型どないなってるんや」「高嶋さんの髪型が素敵すぎて震える」などの反響が集まっている。

セシルのもくろみ

どんなドラマ?

読者モデルとなった主婦のサクセスストーリー

唯川恵の同名小説を原作としたこのドラマは、ファッション雑誌業界を舞台にさまざまな女性たちがぶつかりあいながら幸せを探していく物語。真木は、たまたまスカウトされて読者モデルとなり、成功の階段を駆け上がっていく主婦・宮地奈央を演じる。

平均視聴率5%以下の低空飛行…プライム帯ドラマで最低

主演女優が気にしたことでも話題に

視聴率は初回5.1%を皮切りに、4.5%、4.8%、4.4%と爆死続き。7月スタートの全民放のゴールデン・プライム帯のドラマ中最低の記録なのである。
「当初はこのように散々視聴率について気にしていた真木も、最近はその呪縛から解き放たれたのか、それとも“あがく”ことをあきらめたのか、『今日も一日中撮影だぁ!嬉しいなぁ!楽しみだなぁ!』などと語っています」(前出・芸能ライター)

ついに3%台の「危険水域」に

8月10日放送の第5話では「ついに3%台に落ち込んだ」とニュースになっていました。

第5回が8月10日に放送され、平均視聴率3.8%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)だったことがわかった。ワースト記録を更新した第4話よりもさらに0.6%下降し、いよいよ打ち切り説が濃厚になってきた。

新語「セシる」誕生を懸念される

2006年に放送された、速水もこみち主演、相武紗季がヒロインを演じたドラマ『レガッタ~君といた永遠~』(テレビ朝日系)は、平均視聴率5.4%と当時としてはあり得ない大爆死で、打ち切りの憂き目に遭っている。その見事すぎるコケっぷりで、ネット民からは視聴率不振で番組が打ち切られることを「レガる」と呼ばれるようになったが、もし真木のドラマがワースト視聴率で打ち切りの事態となれば、新たに「セシる」という言葉が誕生するかもしれない。

不調の原因は?

主人公のキャラクターへの違和感

低満足度となってしまった理由を、自由記述による視聴者の感想からひも解くと、「真木さんのべらんめえ口調がなじめなかった」(55歳女性)、「真木よう子、好きだけど、この役はなんか嫌」(47歳女性)など、ネガティブな意見を寄せている視聴者のほとんどが、真木演じる主人公のキャラクターへの違和感を挙げた。

主人公が痩せすぎ?

主演の真木よう子が「痩せすぎ」「ガリガリ」であると指摘する声が多いようです。

人気ファッション誌の読者モデルにスカウトされて生活が一変する主婦役を演じているのが真木さんですが、役作りのためか、痩せすぎてガリガリで痛々しい。おまけに読者モデル役なのに役上の私服がダサすぎてリアリティもありません
激やせ体型にもかかわらず、劇中で食事制限される展開に違和感があるとの意見が殺到している。だが、彼女がここまで痩せてしまったのには、理由があるという。
「7月28日発売の『週刊新潮』によると、真木は過去にネットで肌荒れや激太りが叩かれたため、今回はドラマの撮影前に体質改善ダイエットを行ったそうです。しかし結果的に痩せすぎてしまい、それが裏目に出てしまった。テレビ局側もポッチャリ体型から次第に洗練されていく姿を期待していたそうですが、当てが外れたようです」

これらのほかにも「主人公のキャラがブレまくり」「読者モデルという題材に興味がないから?」など、低空飛行の原因に言及する記事がいくつかあります。

警視庁いきもの係

どんなドラマ?

“いきもの係”が事件解決に奔走

警視庁総務部総務課・動植物管理係、通称“いきもの係”を舞台に、元捜査一課の鬼警部補・須藤友三(渡部篤郎)と、動物マニアの新米巡査・薄圭子(橋本環奈)が、動物の生態をもとに事件解決に奔走する姿を描く。

「1000年に一人の美少女」橋本環奈に注目集まる

“ふくよかボディ”が話題に

一部では「激太り」「寸胴」などと辛口に表現されている橋本環奈の最近の体型ですが、さすが「1000年に一人の美少女」だけあって、「天使なのは変わらない」「むしろ良い」などネットの反応は好意的です。

ドラマで彼女が演じているのは女性警察官。夏服ではシャツをスカートにインして、ベルトを締めています。本来ならウエストのくびれができるはずなのですが、彼女は上から下まで一直線。樽のように見えるのです
ネット上の声を上げてみても「太ったけど、天使なのは変わらない」「ゆるキャラみたいで可愛い」「ぽっちゃりして愛らしさが増した」と、最近散々言われているように体型がふくよかになったのがわかった上で、高評価が増してきている傾向にあるようだ。

「彼女が可哀想」…寸胴に見えてしまう理由とは?

「寸胴」に見えてしまうのには、やむを得ない理由があるようです。その理由についてスタイリストは次のように語っています。

「女性警察官の身体要件は『おおむね154cm以上』だそうですが、彼女は身長が152センチと低いため“子供が大人の服を着る”状態になっているんです。しかも橋本はなで肩で首が長いため、肩の周りの生地が余ってダボダボに。スカートはヒザが出るよう極端なハイウエストになっていて、そのせいでブラウスが異様に短くなってしまい、全体のバランスも崩れています。こんな衣装を着せられたら誰だって不自然な体型に見えるはずで、彼女が可哀想ですね」

エンディングの“いきものダンス”が「可愛すぎ」と話題に

「逃げるは恥だが役に立つ」の「恋ダンス」以降、増えた感のあるドラマのダンスエンディングですが、本作もエンディングで“いきものダンス”が披露されています。

動物の動きを模したようなゆるいダンスに、少し照れながら踊る渡部篤郎、爽やかさマックスな横山だいすけ、石川恋のスタイルの良さ、そしてなんと言っても橋本環奈のかわいさが印象的である。

渡部篤郎も「可愛すぎる」

・警視庁いきものがかりのダンス絶対流行る
・警視庁いきものがかりマジおもろかった笑笑 てか、可愛すぎ
・警視庁いきものがかりエンディング良い。幼稚園で踊ってほしい
また、一方ではこんな声も。
警視庁いきものがかり橋本環奈ちゃんや動物達が可愛いのはもちろんだけどエンディングのダンスで腕ハート作れてない渡部篤郎さんが可愛すぎる…さいかわ…

スタートダッシュは好調だったが…

裏のTBS「ごめん、愛してる」に肉薄

「警視庁いきもの係」は日曜夜9時スタート。全く同じ時間帯には、「半沢直樹」などのヒット作を生み出したTBS系の一押しドラマ「日曜劇場」が放送され、今期の日曜劇場は長瀬智也主演の「ごめん、愛してる」です。この2つのドラマは初回放送日も同じで、その視聴率対決も注目されました。

ここまで迫るとは――ドラマ関係者が驚いたのは、日曜9時のドラマ対決だ。『警視庁いきもの係』(フジテレビ系)が初回視聴率8.9%を記録し、『ごめん、愛してる』(TBS系)の9.8%に肉薄したのだ。

一時は「ごめん、愛してる」が“惨敗か”とささやかれるも…

初回視聴率では『ごめん、愛してる』が『警視庁いきもの係』をリードしていますが、知人コラムニストやテレビ誌記者に聞くと、「早ければ2~3話で逆転しそう」という声がほとんどでした。

やはり日曜劇場に軍配か…このまま「日9」は打ち切り?

初回視聴率は「ごめん、愛してる」に迫った「警視庁いきもの係」ですが、「ごめん~」の視聴率がほぼ横ばいで推移している一方で、「警視庁~」は下落傾向となっています。
なお、フジテレビの日曜夜9時のドラマ枠、通称「日9」は今期で最後とささやかれていて、日曜夜9時対決の結果も含め、最終的にどうなるのか注目です。


視聴率だけに注目すれば「刑事7人」や「遺留捜査」というシリーズものの数値も高めで推移しています。ただ、こういった作品のように良くも悪くも「予想通り」のドラマは、残念ながら話題にはなりにくい傾向があります。そういった“話題”の面に注目すれば、今年の夏ドラマは「コード・ブルー」の1強、もしくは「過保護のカホコ」も含めた2強と、現時点では言えそうです。
今期はまだドラマを見ていないという人も、「コード・ブルー」や「過保護のカホコ」のビッグウェーブに乗ってみてはいかがでしょうか?