業績好調な企業と不調な企業 明暗分かれた理由は

2018年6月4日更新

日本では最も多い3月決算の企業の決算発表がほぼ出そろい、好調をひた走る企業、数年ぶりに不調をきたした企業などが見えてきました。今回は、勢いのある企業や業績回復を狙う企業を、それぞれの好調・不調の理由とともにまとめてみました。

業績好調な企業

シャープ株式会社

10年ぶりに全四半期が最終黒字

2017年度の業績は、売上高が前年比18.4%増の2兆4272億円、営業利益が44.3%増の901億円、経常利益が256.3%増の893億円、当期純利益が前年の248億円の赤字から、702億円の黒字に転換した。

アドバンスディスプレイシステム部門が大幅に回復

もともとシャープの経営低迷の元凶であった液晶ディスプレイ事業および液晶テレビ事業が回復。これら事業を含むアドバンスディスプレイシステムの売上高は前年比29.0%の1兆865億円、営業利益は前年比10.4倍の370億円と大幅に回復させてみせた。
「液晶テレビ事業は、価格下落の影響があったものの、中国をはじめとする海外での販売が好調であったことから、黒字を継続。また、ディスプレイ事業は、車載用パネルをはじめとする中型パネルへのカテゴリーシフトやコストダウンが寄与し、大きく改善した」という。

中国ではシャープの大型テレビが“爆売れ”

中国市場におけるシャープの薄型テレビの販売は、2017年4~6月で前年同期比約250%、直近の10~12月期でも同140%(台数ベース)伸びている。しかも、2016年まではマイナス成長が続いていたにもかかわらずだ。
現在の中国テレビ市場が活況なのかというと、そうではない。今や世界最大の薄型テレビ市場となった同国だが、その成長は鈍化してきている。2017年10~12月期には、初めて前年同期の出荷台数を下回り、韓国サムスン電子、LeTVやハイセンスといった中国勢は軒並み売り上げを落としている。その中で、シャープのみが爆走し続け、2015年比で足元のシェアは約2倍に伸びている(IHSマークイット調べ)。

任天堂株式会社

9年ぶりの増収 7年ぶりに売上高1兆円超

18年3月期連結決算で売上高は前期比2.2倍の1兆556億円。9年ぶりの増収で7年ぶりに1兆円を超えた。営業利益は同6倍の1775億円、純利益は同36.1%増の1395億円だった。

V回復のきっかけは「Nintendo Switch」の大ヒット

スイッチのヒットが、低迷していた業績を一気に回復させた。スイッチは1年間で1505万台売れた。
新型ゲーム機の販売でもっとも重要なのは、立ち上げ時期だ。魅力的なソフトがあれば、ゲーム機本体がさらに売れるという好循環をもたらす。
スイッチは絶好のスタートを切った。「スーパーマリオ オデッセイ」が1041万本、「マリオカート8 デラックス」が922万本、「Splatoon 2」が602万本など、ソフトの販売本数は6351万本に達した。全世界で1億台以上売った06年発売の「Wii(ウィー)」に匹敵するペースで売れている。

6月退任予定の君島達己社長が「世界で評判の良いCEO」トップ10入り

アメリカのコンサルティング企業、レピュテーション・インスティテュートが15カ国・2万8000人にアンケートを実施して作成した「世界のCEO評判ランキング」において、6月28日付で代表取締役社長を退任する君島達己氏が上位10人に選出されています。

君島は、前任者の功績を守ることに熱心に取り組んだことで、従業員の支持を得た。君島のリーダーシップの下、同社はモバイルゲームに参入。米ナイアンティックと共同で2016年7月に「ポケモンGO」を発売、2017年2月には「ファイアーエムブレム ヒーローズ」を発売し、大きな利益を生んだ。
2017年3月に発売したニンテンドースイッチは、最初の10カ月間に米国だけでも480万台を販売し、米国のゲーム機史上最速の売り上げを記録した。君島の退任は6月に予定されているが、彼は会社を何よりも優先したCEOとして記憶に残るだろう。

串カツ田中(株式会社串カツ田中)

破竹の勢いで成長を続ける「串カツ田中」

17年11月期の単独決算は、売上高が前年比39.2%増の55億2900万円、本業の儲けを示す営業利益は同22.4%増の3億8700万円だった。新規出店で38店が純増したほか、既存店売上高が2.7%増えたことが寄与した。客単価は下がったものの、客数が大きく伸びている状況にある。

低価格とオリジナルの味で人気に

串カツ田中の1号店は、08年12月に東京都世田谷区でオープンした。23区内ではあるものの、繁華街ではなく、必ずしも好立地とはいえない場所にあった。しかし、1年もしないうちに営業開始前から行列ができるほどの繁盛店になったという。
串カツは、昔から大阪の下町で愛され、よく知られた食べ物だったが、それ以外の地域ではあまり馴染みがなかった。串カツ田中は、そんな串カツをそのまま東京に持ってきて売り始めたわけだが、同業種の競合が少なかったことや、大半の串カツが100~120円程度と低価格であること、他店にはないオリジナルのソースや衣、油があることなどが理由で、大いに受けることとなった。

今期の出店数は例年を上回る55店を計画

17年11月期末時点で店舗数は166店にもなった。特に12年11月期以降の伸びが大きく、1年当たり20〜30店の出店を行っている。今期は例年を大きく上回る55店を出す計画だ。今期以降も年間55店程度の出店を行っていく方針で、目標とする「全国1000店体制」を早期に実現したい考えだ。

居酒屋チェーン初の“ほぼ全店で全席禁煙化”でどうなる?

串カツ田中は6月1日から一部店舗を除き、全席禁煙にすると発表しました。串カツ田中では子連れの家族客も多く、ターゲットとしても重要視していることから全席禁煙を進めるといいます。また、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策の動きに対応する側面もありそうです。
串カツ田中は「子連れの家族客も多い」とし、全席禁煙の意義と効果を主張しています。もちろんその主張に異論はありませんが、実際の串カツ田中の店舗の客層を見てみると子連れの家族客は限定的で、他の居酒屋とさして変わりないというのが実情です。そのため売り上げ面だけ見れば、全席禁煙による影響は決して小さくないと考えられます。

しかし、この発表以降にある店舗が「分煙」にしたことで、“プチ炎上”に発展する事態になっているようです。

発表された各店の禁煙状況では、フロア分煙となっている店舗や、喫煙ブースを設置している店舗などが混在していることが分かり、一部から批判の声が上がりました。因果関係は不明ですが、喫煙者を名乗る利用者が公式ツイッター上で、ある店舗を喫煙に戻して欲しいと要望したところ、その店舗を「分煙にしました」という回答を同社が出したことも火に油を注いだようです。
禁煙を進めようとしている同社が批判されるのは少し酷な気もしますが、一方で、同社が受動喫煙問題についての十分な認識を欠いていることも事実です。

いきなり!ステーキ(株式会社ペッパーフードサービス)

2017年12月期の営業利益と純利益が前年度比100%超の増益

ステーキ店「いきなり!ステーキ」が人気のペッパーフードサービス(3053)は、主にペッパーランチ事業(PL事業)、レストラン事業、いきなり!ステーキ事業(IS事業)の3事業から構成されていますが、中でもIS事業が急成長を見せています。
同社の2017年12月期業績は、売上高362億円(対前年度比+62%増)、営業利益23億円(同+140%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13億円(同+133%)と、増収および大幅な増益を達成しています。
大幅な増益の推進力は、73店舗増加したIS事業の拡大です。IS事業単体では売上高270億円(同+92%増)、セグメント利益25億円(同+200%増)と、著しい伸びを見せています。

フランチャイズ店の出店が急加速

17年12月末の「いきなり!ステーキ」の国内店舗数は186店。18年同期には前期比2.8倍となる200店の出店を計画している。内訳は、直営店が80店、FC(フランチャイズチェーン)120店だ。
ラーメンチェーン大手の幸楽苑ホールディングスは、一部のラーメン店を「いきなり!ステーキ」のFC店に転換する。17年12月、福島市で開いた転換1号店を手始めに、18年3月期は6店、19年3月期は10店をラーメン店からステーキ店に転換する。
また、北関東が地盤の居酒屋・レストランチェーン、ホリイフードサービスは、不採算店を「いきなり!ステーキ」にシフトしている。17年10月に1号店をオープンした。
外食大手がFC店形式で参入を希望していることが、「いきなり!ステーキ」FC店急増の裏付けとなっている。

ホリイフードサービスのフランチャイズ1号店は茨城県水戸市にオープンした水戸千波店。個室居酒屋の「隠れ庵 忍家」からの転換店だといいます。
幸楽苑(株式会社幸楽苑ホールディングス)の話は後述します。

イオン株式会社

増収増益で営業利益が2桁の伸びを見せるも…

2018年2月期は売上高に相当する営業収益が8兆3900億円(前期比2.2%増)、営業利益が2102億円(同13.8%増)と、増収増益で着地した。

総合スーパー事業の収益性は厳しい状況

増収で、かつ営業利益が2桁の伸びを見せるなど表面上は悪くない内容だが、詳細を見てみると、決して満足できるものではないだろう。長年の懸案である主力の総合スーパー(GMS)事業の収益性が依然、厳しい状況にあるためだ。
GMS事業の営業利益は105億円(前年は13億円の赤字)だった。黒字になったものの、売上高営業利益率は0.4%にも満たず、グループ全体の営業利益に占める割合はわずか5%にすぎない。

懸案はダイエーの再建遅れ 約140億円の営業赤字

イオンはダイエーの再建を担う企業3社の17年度業績を公表したが、3社とも営業損益は改善したものの、それでもなお3社合計で約140億円の営業赤字だというのだ。
関東、近畿、名古屋の旧ダイエーGMSを運営するイオンリテールストアの営業収益は前年比2.7%増の1418億円、営業損益は72億円の赤字(前期は102億円の赤字)だった。
九州の旧ダイエーGMSを運営するイオンストア九州の売上高は前年比7.4%減の569億円、営業損益は14億円の赤字(前期は25億円の赤字)で終着した。
ダイエーの営業収益は前年比6.8%減の2929億円、営業損益は52億円の赤字(前期は70億円の赤字)となった。

ネット通販に注力 購入手続きの時間短縮へ

イオンはネット通販(EC)事業の強化の姿勢を示しています。

イオンはこれまで店舗中心だった投資をIT・デジタル・物流に重点配分する方針を掲げている。これら3分野への投資総額は過去3年間で約2000億円だったが、今後3年間は5000億円に増やす。
こうした積極投資によって、2016年度に575億円に過ぎなかったEC売上高を、中期計画の最終年度である2020年度には1.2兆円に引き上げる構えだ。
日本のEC市場は現在15兆円と、過去5~6年で倍増したものの、食に関するEC比率は2%と、英国の7%、フランスの5%からは見劣りする現状が説明されました。
そのうえで、鮮度の高い商品を扱うためにさまざまな設備を用意しないといけない食品と、それ以外の商品とでは、参入障壁が異なると解説。
こうした現状認識を踏まえて、現在は利用客が30品目を購入するのに平均28分を要しているネットスーパーを改革し、競合よりも短い平均17分で購入手続きが完了するよう、各種の見直しを進めていくといいます。

業績不調な企業

カルビー株式会社

2011年上場以来初の減収減益

2018年3月期の決算は、売上高2515億円(前期比0.3%減)、営業利益268億円(同7%減)で着地した。2011年の上場以来、6期連続で増収増益を達成してきた同社にとって、初めての減収減益となった。

松本晃会長が「不幸な出来事だった」と語る“ポテチショック”

カルビーの国内売上高のうち、ジャガイモを主原料とする製品の構成比は約6割に達する。
2017年夏前に産地の北海道を襲った台風で、ジャガイモが壊滅的な被害を受け、供給が激減。原材料不足によって2017年4月から2カ月ほど「ポテトチップス」や「ピザポテト」など十数製品が休売や終売を余儀なくされた。
結果、影響を最も受けた2017年4〜6月期(第1四半期)決算は国内事業の売上高が前年同期比10%減という打撃を受けた。販売を再開した7月以降は、休売による反動の需要があったことや「ポテトチップス」の増量キャンペーンが功を奏したことで販売は好調だった。だがそれでも、第1四半期の出遅れを取り戻すには至らなかった。

約100億円の売上を誇る北米地域の販売不振

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北米で販売しているのは「ハーベストスナップス」という、サヤエンドウを原料にしたスナック菓子。「小売店ではスナック菓子売り場ではなく生鮮野菜の売り場に置いている」(カルビー)。健康志向の消費者に、ノンフライである点などを訴求している。
ただ、「主要販路のコストコやホールフーズといった大規模な小売店との商談がうまくいかず、消費者に認知してもらうことができなかった」(菊地耕一・上級常務執行役員)。

カリスマ経営者・松本会長兼CEOが退任

松本氏は、医療機器メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の社長を経て2009年にカルビーの会長兼CEOに就任。高コスト体質にあえいでいた同社を立て直し、2009年度から2016年度まで8年連続の増収増益を達成した、いわばカリスマ経営者。
松本氏は2009年の会長就任後、徹底したコスト削減を実施。その分を値下げ原資とし、少子高齢化が進む国内スナック市場で、他社のシェアを奪うことで販売を伸ばしていった。販売増に伴って工場の稼働率が改善。営業利益率は、2008年度の1.5%から2016年度には11%を超えるまでになった。

CEOは伊藤秀二社長が兼任することに。

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カルビーは4月23日、6月20日付で伊藤秀二社長兼最高執行責任者(COO)が社長兼CEOに就くと発表した。松本氏は同日付で現職を退任し、講演活動などを通じてグループの情報を対外発信する「シニアチェアマン」に就く。伊藤氏に権限を集中させ、単独でカルビーを率いる体制になる。COO職は空席となる。
松本氏が就くシニアチェアマンは経営に関与せず、企業の社会的責任(CSR)活動などをサポートする。

今期は反転増で過去最高の見通し

カルビーが11日に開示した今2019年3月期の業績見通しは、売上高2550億円(前期比1.4%増)、営業利益295億円(同10%増)。業績は復調し、いずれも過去最高を更新する計画を立てる。

新体制・伊藤社長兼CEOの手腕に期待高まる

伊藤社長が今後の取り組みの中で強調したのは、国内スナック市場のテコ入れだった。「この5年間、カルビーはシェアを取っていただけでスナック市場自体は伸びていなかった。今後は市場を成長させていかなければいけない」(伊藤社長)。
これまで大容量のスナック菓子を手にとってこなかった単身者や若い女性向けに小容量の個食スナックのラインナップを強化、新しい市場を開拓していくという。海外事業の成長と国内スナック市場拡大を両輪で進めて行きたい考えだ。

幸楽苑(株式会社幸楽苑ホールディングス)

2016年に起きた異物混入報道のダメージ続く…32億円超の最終赤字

同社が5月11日発表した18年3月期の連結決算は、売上高が385億7600万円(前期比2.0%増)、営業損益が7200万円(前期は1億4700万円の黒字)、最終損益は32億2500万円の赤字(前期は1億5400万円の黒字)に転落した。不採算店舗の減損損失21億3700万円を特別損失として計上したことが響いた。
客足も伸び悩み、直営店の既存店売上高は前期実績の98.4%、既存店の来客数は96.9%にとどまった。同社は「異物混入問題以降、社内改革を含めてお客さまの信頼回復に全力で取り組んできたが、来店客数はいまだ十分な回復に至っていない」と説明する。

外食業界を驚かす業態転換などで巻き返しを図る

同社は異物混入事件のマイナスを挽回するため、さまざまな施策を展開している。17年10月には、ペッパーフードサービスとフランチャイズ契約を締結、店舗を「いきなり!ステーキ」へ業態転換する方針を明らかにして業界を驚かせた。現在は6店舗を運営している。
武田専務は「異物混入事件はボディーブローのように効いているが、地道な取り組みによって巻き返しを図りたい」と話している。

また、今年4月には朝10~11時限定で全531店舗・先着100名に新商品「鶏豚濃厚合わせダシ 新・極上中華そば」を1杯10円で提供する取り組みがSNSで話題を集めるなど、業績回復に努める姿が見られています。

この取り組みに、ネットでは好評の声が多くあがっていました。

ファッションセンターしまむら(株式会社しまむら)

2009年のリーマンショック直後以来、9期ぶりに減収

4月2日に発表した2018年2月期の連結決算は、売上高5651億200万円(前期比0.1%減)、営業利益428億9600万円(同12.1%減)、経常利益439億2000万円(同12.3%減)、当期利益297億1700万円(同9.6%減)と微減収大幅減益に終わった。
大幅減益といっても、不振企業の多いアパレル業界においては十分に好成績だが、長らく業容を拡大させてきた経営陣からすると、不満が残る業績だっただろう。

要因には「ファッションセンターしまむら」の在庫削減による全体売上減

2018年2月期末時点の総店舗数は1401と前期末から36店増えたものの、全店売上高は前年対比で1.3%減と落ちこんだ。
不振の要因の1つが、店頭のアイテム数や在庫を絞り過ぎたことだ。同社は昨年度までの3年間、「変革」をテーマに売り場の整理を進めてきた。商品単価が下落する中で売上高を確保するため、とにかく数を売ろうとした時期が過去に続き、各店舗の抱える在庫が膨らんだからだ。
結果として3年間で在庫を2割、アイテム数を3割削減した。ただ、今年2月に13年ぶりの新社長となった北島氏は「(最終年に当たる)2017年度については整理整頓しすぎてしまった」と反省する。アイテム数を減らしすぎたことで、しまむら特有の“雑多感”が薄れ、多数ある商品の中での“宝探し”を醍醐味に感じていた固定客が離反。さらに秋に発売したPB(プライベートブランド)が瞬間的になくなるなど、売れ筋商品が欠品する事態も発生した。

商品ラインナップ強化で業績計画達成を目指す

会社側は今2019年2月期について売上高5875億円(前期比4.0%増)、営業利益510億円(同18.9%増)と増収増益を計画。いずれも過去最高となる。
既存店は婦人服を中心に、アウターやトップス、スカートなどのカテゴリーで商品数を増やし、テコ入れを図る方針だ。品ぞろえの拡充で“宝探し”を楽しめるような店舗に戻し、一方で現在約3割を占めるPB商品の開発にも注力する。
店舗が立地する地域の特性に応じたラインナップも強化する。これまで店頭に並べる商品のバリエーションは全国一律が基本だったが、昨年は各店舗からの要望に応じた商品展開も行える仕組みを構築。夏祭りや運動会など、地域のイベントに対応した商品を投入し、来店動機を増やす狙いだ。

株式会社ぐるなび

営業利益と純利益が大幅減

ぐるなびの連結決算における売上高は前期比2%減の362億円だったが、営業利益は29.6%減の47億円にまで落ち込んだ。さらに、当期純利益に至っては33.5%減の32億円と大幅な減益となった。同社は19年3月期の連結業績予想についても大幅な減益を見込んでいる。

減益の要因は売上高の9割を占める「飲食店販促サービス」の売上減少

ぐるなびの売上高の9割を占めるのは「飲食店販促サービス」だ。これは飲食店がぐるなびに対して支払う販促費用で、「ぐるなび上の『忘年会特集』の枠に店舗情報を掲載する」「ユーザー会員に向けて情報提供する」といったものが該当する。この飲食店販促サービスの売上高が大きく減少した。
飲食店販促サービスが落ち込んだ背景は、飲食店の人手不足により販促費が抑制されたことや、競合となる販促・告知方法が広がったことだと同社は分析する。無料で企業や店舗のPRができる「Googleマイビジネス」や、SNSなどを利用した販促手段が広まった。