特集2017年5月28日更新

いつ再開!?ポテトチップス品薄問題

カルビーと湖池屋がポテトチップスの一部商品の販売休止と終了を相次いで発表したことが4月に報道されました。この報道を受けて起きた買い占めや高額転売などの騒動に付けられた名は「ポテチショック」。この「ポテチショック」を振り返っていきましょう。

カルビーと湖池屋が相次いで販売休止

休売対象商品一覧

商品名 内容量 メーカー
ポテトチップスBIGBAG うすしお味 170g カルビー
ポテトチップスBIGBAG コンソメパンチ 170g カルビー
ポテトチップスBIGBAG コンソメWパンチ 150g カルビー
ポテトチップスLサイズBAG うすしお味 135g カルビー
ポテトチップスLサイズBAG コンソメパンチ 135g カルビー
ピザポテトBIG 145g カルビー
ピザポテト 63g カルビー
ピザポテト 77g カルビー
ピザポテト 25g カルビー
ピザポテト こっくり明太マヨPizza味 60g カルビー
堅あげポテトBIG うすしお味 150g カルビー
堅あげポテトBIG ブラックペッパー 150g カルビー
堅あげポテトブラックペッパー 65g カルビー
堅あげポテトプッチ4 ブラックペッパー 60g カルビー
ポテトチップス しあわせバタ~ 60g カルビー
ポテトチップス ガーリック 55g 湖池屋
ポテトチップス 九州うまくちしょうゆ味 60g 湖池屋
ポテトチップス のり醤油 50g 湖池屋
お徳用 ポテトチップス うすしお味 130g 湖池屋
ポテトチップス うすしお味 たべきりサイズ 5個パック 1袋あたり150g 湖池屋
スティックポテト うすしお味 4パック 1袋あたり40g 湖池屋
小袋 ポテトチップス うすしお味 1袋30g 湖池屋
わさムーチョチップス 肉わさび味 55g 湖池屋
お徳用 すっぱムーチョチップス さっぱり梅味 125g 湖池屋

4月10日、カルビーが「ピザポテト」などの休売や終売を発表

カルビーが4月10日に発表した「ポテトチップス」一部商品の販売休止。「ピザポテト」「ポテトチップス BIG BAG」など15商品が休売、「ポテトチップス フレンチサラダ」「カラビー 厚切り ホットチリ味」などの18商品が終売(打ち切り)となることが明らかとなった。

ピザポテトについては休売日が前倒しに

当初、上記商品の休売日はすべて「4月22日」でした。しかし、発表によって「ピザポテト」への需要が急増したことで、「ピザポテト」の3商品に関しては休売日を「4月12日」に変更することが発表されました。
この休売日前倒しの追加発表は、休売発表のわずか2日後。つまり、追加発表当日が急きょ休売日になってしまいました。

休売に突入する2017年4月22日より、ピザポテトとしばしのお別れをしないといけないと思っていたら、別れは突然やってきた! カルビーはこの商品の休売日を10日間も前倒しすることを発表したのである。10日前? ということはつまり……、今日(4月12日)じゃないかッ!!

湖池屋も3月下旬から16商品の販売を休止or終了

カルビーに先駆けて、湖池屋も3月下旬をもって「ガーリック」「のり醤油」など9商品を販売休止、「リッチコンソメ」など7商品を販売終了としています。

湖池屋・お客様センター「3月下旬をもちまして、ポテトチップス『リッチコンソメ(全サイズ)』『カラムーチョ(パーティーサイズ)』などの商品が終売に。また、ポテトチップス『ガーリック』『のり醤油』も休売となり、現段階で販売再開のメドは立っておりません」

理由は「北海道産ジャガイモの不足」

昨年の台風上陸で北海道産野菜に壊滅的打撃

上陸した台風第10号は、十勝平野など国産ジャガイモの一一大産地に甚大な被害を与えた。水没した畑でジャガイモが土の中で腐るなどしたことで、ジャガイモの収穫量は減少、一時は卸値で前年比60%増となるなど高値が続いていた。 ジャガイモは国内の他地域でも生産しているが、北海道農政事務所によれば、北海道産が8割を占めているという。
カルビーも湖池屋も原料に使うジャガイモの約7割を北海道産に頼っている。その収穫期は例年9月頃。“さぁこれから収穫”というタイミングで、立て続けに道内の主産地を4つの台風が襲い、「収穫量が激減した」(JAグループ北海道関係者)。

カルビーの広報担当者は…

「当初は外国産のジャガイモを輸入して生産を継続する予定でしたが、こちらが求める品質に見合うものがなく、人気の高い定番商品に注力して製造する措置を取りました」

湖池屋の広報担当者は…

「昨年の8月末頃からジャガイモの収穫に影響が出ることは見込んでいたので、新商品の発売数を減らすなどの調整を続けていました。ですが、やはり原料の状況が思わしくなく、定番商品やご要望の多い商品に絞って生産することを決定しました」

「北海道産」以外に切り替えることは?

ここで、「ジャガイモは北海道だけで作られているわけでもないでしょ?」と疑問が湧いた方もいると思います。この「ジャガイモの調達先を他の産地に切り替えることはできなかったのか?」という疑問に対し、カルビー、湖池屋の両社と取引きがあるという菓子卸会社のバイヤーは次のように話しています。

ジャガイモは全国で生産されていますが、収穫は5月中旬頃の九州から始まり、日本列島を北上するにつれて6月、7月、8月と時期がズレます。国内で調達先を切り替えようにも他の産地ではジャガイモ自体がなかったので不可能でした。

外国産に切り替えることもできず…

カルビーのホームページにも書かれているとおり「ポテトチップスの原料になる生のジャガイモを輸入することは、そもそも国により規制されて」いるため、外国産に切り替えることもできない。

上で紹介した広報担当者の話にあるように、カルビーは米国産の輸入品や九州産のジャガイモの使用を進めて原料不足を解消したい方針だということです。一方、湖池屋は100%国産のジャガイモを使う考えに変更がないとのこと。

販売休止で始まった「ポテチショック」狂想曲

ここからは、4月10日にカルビーが行った休売・終売の発表による各方面への影響や騒動を見ていきましょう。

休売発表直後から買い占め?

カルビーの発表直後、買い占めなどが実際に行われているのかを「しらべぇ」編集部が調べたところ…

スーパーやコンビニを何軒か回ったところ、すでに店頭からなくなっているものや、ダンボールから補充されている様子を確認できた。
また、店員に取材したところ、「きょうはポテトチップスが通常日より多く売れている」という回答が。やはり、報道の影響はあるようだ。

「J-CASTニュース」が4月11日に行った取材でも…

「うちの店舗ではもう、ピザポテトの在庫はありません。きのう販売休止が大きく報道された後、商品を求めるお客様が殺到したので。本社の方にも在庫がほとんどないということで、店舗にはもう降りて来ないと思います」
と話す。また、別の都内の専門店の担当者は「お客様からの問い合わせはかなり多いです。うちでは湖池屋の一部ポテトチップス商品の入荷は3月下旬ごろからなく、在庫はもうありません」としていた。

通販サイトでも「品切れ」

大手通販サイト「Amazon」では、すでにピザポテト全サイズの在庫が全て売り切れ。湖池屋の「リッチコンソメ」も、11日14時時点で「残り二点」となっている。

「ポテチショック」特需がデータでも判明

「ポテチショック」でどれだけの駆け込み需要が発生したのかを、スーパーマーケットPOSデータの数値から確認してみたのが以下の記事です。

販売休止のニュースを受けて、どれだけ売上点数が変化したかを見てみた。まず調べたのは、カルビーのポテトチップス全体の売上点数だ。スーパーマーケット1店当たりの売上点数を週ごとに見ていった。2017年1~3月までは1店当たり週に110~140点ぐらいで推移していたのが、2017年4月10日(月)から始まった1週間は同260点以上になった。直前1週間は同109点。それまでの2.4倍にハネ上がった。

「ピザポテト」を中心にネットオークションでポテチ高騰

休売の発表を受けて、すぐに休売商品がオークションサイトに出品される事態に。特に人気が高い「ピザポテト」の価格が高騰して話題となりました。

この度販売休止となった「ピザポテト」がなんとヤフオクなどのオークションサイトで転売されていることが明らかになりました。入手困難という状況に金の匂いを感じたのか、早速多くの商品が出ております。

ついには75万円の出品も

そしてとんでもない価格のものもあるようで、なんと3袋で750,000円
即決価格ではありますが、たった3袋で・・・ということです。

果ては99億9999万9999円!

77グラムの商品2袋セットのお値段は、なんと99億9999万9999円! どうしてこうなったのか……。

1カ月経ち騒ぎが一段落すると投げ売り状態に

たくさん買い占めたであろう転売ヤーたちは、売り損ねたらしく、大量ロットでオークション出品しているのである。どうやら転売に疲れたようだ。

ポテチの転売は違法なの?

最近、Infoseekニュースでもチケット転売問題やメルカリの現金出品問題について特集して、それぞれの法的問題に触れてみましたが、今回のような「ポテチ転売」は法的にどうなのでしょうか?
この疑問に対して「シェアしたくなる法律相談所」の記事では、古物営業法違反でもなく、ダフ屋行為にもあたらず、食品衛生法や食品衛生関連条例違反にもならず、転売目的の大量購入も基本的には違法ではないといいます。

以上のように、転売目的でポテチを大量購入して高額で転売しても、通常は違法となることはありません。
もちろん、大量購入者の影響で買えなくなってしまう人が出かねないため、マナー違反ではないかという声もあるでしょうが、震災時等のトイレットペーパーやおむつ、飲料水等の生活必需品を買い占めるケースとは異なりますから、許容範囲だといえるでしょうね。

株価も大きく変動

両社の株価も影響を受けている。11日のカルビーの株価は一時3700円台を割り込み、その後は多少値を戻したものの、3800円代に回復することはなく、3760円で取引を終えている。その後、3800円台を回復、13日は3800円で取引を終えた。湖池屋も11日、12日の初値で4200円代を割り込んだ。同社は先週水曜日からの1週間で600円以上値を落としたが、13日は回復し4380円で取引を終えた。

ポテチが食べられないなら…作ればいいじゃない!

「ピザポテト」をはじめとしたポテチ商品が品切れ状態で、全国の“ポテチ好き”たちは禁断症状に悩まされているといいます。
「それならば…!」と、手作りや代用品を提案する記事もいくつか来ているので、紹介していきましょう。

「だったら手作りしよう!」派にオススメのレシピ

のり塩

【材料】
じゃがいも
揚げ油
塩、青のりなど

【作り方】
①じゃがいもを洗い、スライサーで薄くスライスして水につけておく 。
②キッチンペーパーなどで水気をよくきり、油で揚げる。
③塩をかける。青のりを足せば、のり塩に。

ピザポテト

クノールカップスープ「トマトのポタージュ」を使って「ピザポテト」の再現にチャレンジする動画が注目を集めているそうです。詳しい作り方は動画でご確認ください。

ドミノ・ピザが教える「ピザポテトに似てる味のピザの頼み方」

「ピザポテト食べたいけど、手作りは面倒」という人にオススメなのがこちら。
「しらべぇ」の記者が「ピザポテトの代わりになるもの」として、ドミノ・ピザに「ピザポテトに似てる味のピザが食べたい」とお願いしたところ、わざわざ商品部の人たちが「ピザポテトに似てる味のピザの頼み方」を教えてくれたようです。

(1)注文方法はまず『プレーンピザ』をトッピング『パルメザンチーズ』のみで注文
(2)生地は『ウルトラクリスピー』を選択。
(3)サイドメニューにコンソメポテトをオーダーすればOK
さらに視覚でも「ピザポテト感」を味わいたい場合は、アメリカン・スペシャル(こちらもウルトラクリスピー生地をチョイス)も注文すべし。

さらに、食べる際はコンソメポテトとピザを交互に食べればピザポテト感を味わえるといいます。

段ボールで再現した「ピザポテト」も話題に

「ピザポテト」を段ボールで再現したという画像がInstagramとTwitterに投稿されて話題になりました。

ダンボールの内側のギザギザした部分が、「ピザポテト」のギザギザした形状と妙にマッチしていて、ダンボールなのにめちゃウマそう。食べたら向こう側が見えてしかうかも。
これについて、Twitterユーザーからは「うまいうまい!!(ネタも作品も)」や「段ボールにチーズをかければあるいは……ッ!」、「ポテチの反り方に芸術を感じます」などの声があがっています。

ポテチ好きが気になる販売再開の時期

秋には店頭に並ぶ?

手作りから果ては段ボールの“代替品”まで話題となる事態を見るに、ポテチ好きの我慢の限界はもうすぐかもしれません。そんな「もう待ちきれない!」というポテチ好きが気になる販売再開の時期はいつ頃になりそうなのでしょうか?
5月12日に行われたカルビーの決算会見をもとに、複数のメディアが「秋には販売再開か」という見通しを伝えています。

FNNニュースによれば、販売元のカルビーが5月12日の決算会見で「原料のジャガイモ不足は今後1~2カ月続くもの」と見解を示したらしい。その上で、9月には安定在庫になるものと考えているそうだ。夏は食べられないかもしれないが、秋にはコンビニやスーパーの棚に並ぶことになるもよう。
日本テレビが5月12日に報じたところによれば、9月以降にカルビーは販売休止商品の販売を正常化していく見通しだという。

一方、少し古い記事ですが、以下の「週プレNEWS」の記事では菓子卸会社のバイヤーの話として次のように伝えています。

「5月頃から九州の各産地でジャガイモの収穫が始まりますが、すべてを合わせても北海道産よりひと桁少ない量に止まります。さらに熊本県産の収穫量は昨年の地震の影響が出るとも言われており、休売期間はかなり長引くかもしれません」

販売再開時の「値上げ」を懸念する声も

下に紹介する記事では、「原料不足は値上げのきっかけに利用されるという歴史」を紹介しつつ、休売商品の販売が再開された際に、値上げや“実質的な値上げ”がなされるのではないかという懸念を示しています。

今回のカルビーのポテトチップスの一時休売で懸念されることがあります。それは「便乗値上げ」です。販売の再開時に値上げ、または値段据え置きで容量を減らす実質的な値上げが行われることが懸念されます。カルビーは過去にポテトチップスの実質的な値上げを行なったことがあるからです。

カルビーの発表直後は大騒ぎになった感があるものの、すでに1カ月以上が経ち、騒動はすっかり落ち着いた印象です。秋ごろと見られる販売再開は、ポテチ好きには「そんなに先なの…」という感じかもしれませんが、再開の見通しがついただけでも朗報と捉えて、暑い夏を乗り越える糧にするのもアリかもしれません。
ただ、今回の騒動を機にイモ類の輸入規制といった日本の農業問題を見直すべきだと指摘する記事もあり、「ポテチショック」の影に潜む病巣は意外と深いのかもしれませんね。