特集2017年1月30日更新

転換期にある?企業の「24時間営業」

最近、「24時間営業」や「深夜営業」を見直そうという動きが、一部の企業で始まっています。コンビニやファミレスをはじめとして、日本人の生活に深く浸透している24時間営業。「いつ行っても営業している」ことは、本当に必要なことなのか、考えてみます。

24時間営業を見直している企業

すかいらーく

 「ガスト」や「ジョナサン」を展開するすかいらーくは昨年12月、深夜営業を大幅に縮小すると発表しました。24時間営業もしくは深夜営業を行っている店舗は約1000店ありますが、このうち750店舗について、深夜2時閉店、朝7時開店とします。

理由は「従業員のワークライフバランス推進」

同グループは2013年に深夜の客数減少傾向を理由に約600店の営業時間を平均2時間短縮しています。その際、深夜勤務の従業員を別の時間帯に割り振ることでサービスの向上を図り、客数は増加に転じたそうです。ただ今回の決定は当時の事情と異なり、従業員のワークライフバランス推進を目的としているとのこと。

ロイヤルホスト

全国に223店舗を展開するファミリーレストラン「ロイヤルホスト」を運営するロイヤルホールディングスが、2017年1月までに24時間営業を廃止することを決めた。

理由は「従業員の勤務状況と環境の改善のため」

同社の経営企画部は2016年11月18日、J-CASTニュースの取材に対し、「ランチタイムやディナータイムといったお食事をされる時間帯にしっかりと人を配置し、お客様にコックがひと手間かけてつくる美味しい料理とおもてなしのサービスを提供していくことと、また従業員には働く環境を良くしていく、という取組みを進めています」とその理由を説明した。

マクドナルド

外食チェーンの優等生と呼ばれたマクドナルドでも、一昨年から2年間で400超の店舗で24時間営業を縮小しています。

理由は「人手不足」か?

 マクドナルドは、店舗を運営させるにはクルーと呼ばれるアルバイトスタッフが3人以上必要と定めている。24時間営業をしている店舗のうち、深夜帯に3人を確保できずに営業時間を短縮しているところが続出している。

吉野家、すき家

大手各社の深夜営業減少状況は、牛丼の吉野家が521店舗減、すき家では1254店舗減、すかいらーくでは600店舗超を閉店、または時間短縮しています。

牛丼チェーンについては、食材価格の高止まりによるコスト増に加え、深夜のワンオペレーション体制が問題となり、複数体制に移行したことで人件費が高騰したという背景もあります。もしかしたら、そういった事情もあるのかもしれません。

日本郵便

郵便物や「ゆうパック」の差し出し、受け取りができる「ゆうゆう窓口」が24時間対応をやめるとの連絡が最寄りの郵便局から来ていました(上記の画像です)。
下記のページによると、昨年より山口や都内などで24時間営業の廃止が進んでおり、もともと24時間営業ではない局も、営業時間をさらに短縮、というところもあるようです。

なぜ24時間営業をやめるのか

深夜時間帯の人手不足とコスト増

人手不足によりシフトを組むのが厳しくなったことに加え、それに伴う賃金上昇によるコスト増も枷となっているようです。また、深夜では通勤に車が必要になることも多いので駐車場の確保、さらに大きな店舗では警備員の配置…とコストが高くなる要素は多いようです。

コンビニエンスストアにせよ、レストランチェーンにせよ、深夜のアルバイトは深夜手当が付くが、それでも決して高くはない。だから外国人留学生が増えているということもあるだろう。どこも人手の確保には苦労しているようだ。

人手不足による賃金上昇も問題に

人びとの生活習慣が変化し、深夜の客源が減り続けると同時に、労働力不足による賃金上昇が経営を圧迫し始めていると解説した。

人手不足からくるサービス・企業イメージの低下

もしトラブルを起こせばブランドイメージを下げるだけでなく、品質低下も招きかねない。いくらコスト削減のためとはいえ、客足が遠のいてしまってはマイナスでしかない。

批判を受けた、すき家の「ワンオペ」問題

コスト削減を究極まで追求していった結果、24時間営業店舗で夜間に店員が一人しかいないというワンオペレーションがブラックだと社会批判を受けた影響もあり、業績が悪化。2015年3月期はマイナス111億円という大幅な赤字に転落してしまいました。

深夜営業への「ニーズ減」で採算があわなくなった

深夜営業の中止は、その場所において24時間営業というサービスが必要でなかったということにほかならない。「いつ行っても開いている」ことはイメージ面からも重要なのかもしれないが、採算があわなければ続けられないのは当然だ。

ライバル業態の台頭も来客減少の要因か

少子高齢化や生活習慣の変化に加え、コンビニエンスストアのイートイン化も外食チェーン苦悩の原因の一つと考えられています。コンビニ業界では、競争激化による顧客の取り込み合戦の中、店内飲食を促進するイートイン化を進めています。結果、深夜の顧客がコンビニで用を足してしまい、外食チェーンにとっての痛手となっているのです。

消費者が夜型から朝型へ変化

少子高齢化や震災以降の生活様式の変化(夜型から朝型へ)も、原因の一つと考えられています。

客側にも否定的な意見が

24時間営業がなくなって困る、不便になるという声の一方で、ネットではトラブルの懸念やサービスとして過剰であるという声も見られるようです。

「24時間営業の必要性は感じない」

「ファミレスに24時間営業の必要性は感じないので、22時頃には閉まって欲しいです。近所に終日空いているファミレスがありますが、そんなに人が入っているようにも思えないですし、深夜の駐車場には柄のよくない車が並んでいる...ということもあります。
これからどんどん労働者が減っていき、夜中の人員体制が足りないという理由で、何かトラブルが発生するかもしれないですし。別の飲食チェーンでは、そういう事件ありましたよね。24時間営業は否定派です」(30代・女性)
ツイッターでは、
「ファミレスもコンビニも全店24時間営業にする必要ないよ。人件費の高騰で、客が少ない店が夜中は閉めるようになれば、労働者にとっても幸せ」
「大体サービス業は働きすぎだと思う。少しでもゆとりある働き方を提示するロイホは素晴らしいと思った」
「いい流れだ!過剰なサービスに慣れ過ぎている私たちは少しくらい不便を許容しあえるようになった方がいいと思います」
など、24時間営業は“過剰なサービス”であり、ロイヤルホストの決断は自然なものであるとの意見が多い。

「24時間営業」が存在する理由とは

ここまで深夜営業の廃止理由やデメリットを紹介してきましたが、ではなぜ24時間営業が普及したのか?
時代的背景、そして利用者、企業、従業員それぞれの立場からのメリットも紹介します。

日本において24時間営業が普及した経緯

コンビニの24時間営業店は1970年代前半に誕生

日本にコンビニが入ってきたのは、だいたい1970年くらいとされます。セブンイレブンやファミリーマートなど、みなさんの知っている店舗が入り、どんどんその数を増やしていきました。いろいろな商品が売られ、どこにでもある。その便利さがウケたんですね。
そして、店舗の数が増える中で24時間営業のコンビニも増えます。

80年代、増加する「夜型人間」の需要にマッチ

高度成長が一段落し、物質文明が繁栄の時期を迎えていた1980年代、大都市の住民の生活リズムが加速するとともに多様化し、深夜に仕事をする人が増えたことで24時間年中無休の営業方式が誕生したと説明した。

実は江戸時代にも24時間営業の居酒屋があった

ここまで江戸のお話を書いてきましたが、夜の両国がにぎやかだったなんて知りませんでした。夜の風景は、錦絵にも描きづらいのかあまり残っていません。吉原も日暮れてからのほうが華やかだったと思いますが、ほとんど絵に残されていないんです。でも、実は明るくて華やかな地域もあって、夜っぴて歩く振り売りもいて。どうやら、24時間営業の居酒屋もあったというから驚きますよね。

24時間営業を利用するのはどんな人?

24時間営業店舗を利用する人たちの声を拾ってみました。深夜残業や夜勤明けの人のほかに、「安全な国ニッポン」の象徴として、外国人からの支持も高いようです。

シニア層や夜勤明けの人たちからのニーズ

 実際に朝から営業している都内の居酒屋を訪れてみると、さっそく朝から飲んだくれている不良老人を発見。「朝飲むビールほどうまいものはない」(70代・元製造業)らしい。
「定年になってから、飲み屋通いを始めてしまいました。駅前に行けば、24時間営業の居酒屋があるからね。
 明るいうちに飲む酒って、なぜかよく効いて、2~3杯でもう十分。昼間っからほろ酔い気分でも誰にも文句をいわれない。
 汗流して歩いてるサラリーマン見ながら、“クールビズ”っていうけど大変だね、こっちは“ビールクズ”だもんね、って開き直ってね。ああ、最高」
始発も動き出した朝6時。「さすがにこの時間は?」と思いつつ覗いてみると、やはり賑わっている。早朝は夜勤明けの人達が常連。警察官や消防士、看護士さんなどもやって来るという。

「集中して仕事ができる」

「私は24時間営業賛成派です。残業続きでご飯を食べ損ねたときに、コンビニばかりでは栄養が偏りがちなので、食べに行くこともあります。また、どうしても明日までに終わらせないといけない仕事があるときに、自宅だと眠ってしまうので、ファミリーレストランのドリンクで目を冷ましながら...という時も。
お客さんも少ないですし、集中できます。これから24時間営業のファミレスが減っていくかもしれませんが、こういった使い方をしている者にとっては残念です」(30代・男性)

外国人が「日本に住みたい」と憧れる理由のひとつ

24時間営業のスーパーやコンビニがあたりまえのように存在する日本。夜中に何か食べたいと思った時も「コンビニまでちょっと・・・」と気軽に買いに行けますが、海外の多くの国ではなかなかそうにはいきません。24時間営業はおろか「お店は夜20時や21時に閉店するのがあたりまえ。日曜日はスーパーを含め町のほとんどのお店が定休日」なんて国も珍しくありません。
そんな国に住む人たちにとって、年中無休・24時間営業のお店がたくさんある日本は夢のような便利な国なのです。

地域における安全、安心感を与える存在

例えば真夜中に、一人で真っ暗の道を帰るのは怖いですよね。そんなとき、コンビニは営業しているので明るく、店員さんもいます。これは、その地域における安全の意味でも、重要な存在になっています。

「深夜に働きたい人」もいる

時間を自由に使えること、また賃金の深夜割増も魅力のようです。

深夜時間帯の勤務を希望する人もいる

意外と多いのが、子どもがまだ小さい人です。
夜は他の家族が家にいるため、子どもを家に置いて外に出かけることが可能です。
他には、昼間は家業を手伝っていたり資格試験の勉強をしたりしていて、空いている時間に働きたい人などがいました。
深夜に働くことの魅力は、何といっても高い時給です。
深夜10時から翌朝5時までは、法律上25%の割増賃金を上乗せして支払いますが、私が人事労務を担当していた店では時給自体も昼間の時間帯よりも高く設定していました。
例えば、昼間の時給が1,000円とすると、夜間は1.200円とし、さらに1.25倍すると1,500円になるので、効率的にお金を稼ぐことができます。

企業側のメリットは

「あの店はいつもやっていて…」という宣伝効果

「深夜帯は売り上げが落ちる上に、従業員には深夜手当を支払わなければならなくなるので、費用対効果だけ見ると24時間営業が企業の負担になることは間違いないです。では、なぜ企業はそれをやるのかというと、それ以外の時間帯の来店効果に期待するからです」

客が入る朝に向けた準備時間

コンビニが混むのは、朝の7時や8時。となると、そのピークに合わせて準備をするにはもっと早い時間から行わなければなりません。それが、いわば深夜の時間から明け方に当たるわけです。つまり、深夜のコンビニは、お客さんのために営業しているだけでなく、次の日の朝に向けて準備を一緒に行っていると考えればいいでしょう。

「休むとさらに経営が苦しくなるのでは」という意見も

日本には、宗教的な背景はありませんし、何より経済の貧困化が進んでいます。この状態で、一斉に休日や深夜を休業にしてしまうと、さらに経営が苦しくなるところも出てくるでしょう。欧州のように多少不便でも、深夜や休日にはゆっくり休むというワケにはいかないのかもしれません。

24時間営業で好調な飲食チェーンも

これまで紹介してきた企業とは逆に、24時間営業でも好調な企業もあります。24時間営業に踏み切った理由とそのメリットを紹介します。

磯丸水産

2009年の第1号店出店から、16年12月時点で150店舗以上を展開中と躍進を見せているのが「磯丸水産」。新鮮な海鮮を24時間365日提供する同店は、24時間営業にしてから売上が倍増したといいます。

24時間営業で売上倍増

少しでも鮮度のいい魚を次々に出せるのも、24時間体制でやっているから。かくして売り上げは、夜だけ開けていた時の倍近くになった。

社長が語る24時間営業のメリットとは

「磯丸水産」の店舗を運営するSFPダイニングの佐藤誠社長は東洋経済オンラインの記事(14年12月18日付け)で「都心では飲食店や病院など夜間に働く方が明け方に訪れる。郊外では24時間営業の飲食店がなく、店を開け続けることが差別化になっている」と24時間営業のメリットを語っている。

名代 富士そば

首都圏の駅利用者にはおなじみの立ち食いそば「富士そば」。いち早く24時間営業を取り入れたのは、創業者である現会長の過去に由来する「思い」がありました。

セブンイレブンよりも早く24時間営業を導入…その理由とは?

創業から6年後の1972年には、セブンイレブンよりも早く24時間営業を導入した。24時間営業を導入した理由が興味深い。
丹会長は若くして地方から東京に上京。当時はお金がなく宿泊に困った。安いアパートで暮らし始めてからも地方から上京してきた貧しい青年の夜は寂しい。
そういう経験から地方から都会に出てきた方々が頼れる、深夜でも誰もが立ち寄れるお店を作りたかったからだそうだ。

24時間営業でも「超ホワイト企業」と話題

 先ごろ、ネットで「富士そばが超ホワイト企業でヤバい!」という話題が盛り上がった。いわく、「アルバイトにもボーナス支給」「休憩時間にも時給が発生」「挫折者の受け皿になるため、全員中途採用」などなど。

すしざんまい

毎年、築地の初競りでマグロを競り落として話題になっているのが「すしざんまい」を運営する喜代村。寿司屋としては異例の24時間営業で話題となりました。

24時間営業は「築地に人を集めるため」

「築地にどうすれば人が集まるのか。しかも、築地の魚を売らなくてはならない。そうなると、寿司がいいと。しかし、これまでのお寿司屋さんは定休日や品切れなど、行っても食べられないことがありました。そこで、24時間にしよう、しかも年中無休にしようと。しかも、敷居があってなかなか入りづらかったお寿司屋さんをオープンなガラス張りにして、明朗会計にすることにしたんです」

日本の“過剰サービス”は転換期か?

24時間営業以外の見直されているサービス

24時間営業以外にも、元日の営業など見直しの動きがあるようです。

年賀状の1月2日配達中止

正月恒例の年賀状配達だが、2017年は1月2日の配達をしないという。元旦の配達はこれまで通りだが、配達しきれない分は2日でなく3日の配達となる。

百貨店の初売り延期

1980年代前半頃までは官公庁の御用始めの1月4日に合わせて初売りをする店が多かったが、数年前から、「そごう」や「西武」などでは元日初売りが行われている。
(中略)
こうした中、三越伊勢丹ホールディングスでは2016年から伊勢丹新宿本店など一部の店舗で初売り日を3日にしている。新潟三越伊勢丹(新潟市)も2017年の初売りは3日からとし2日は休業とするようだ。

コンビニの24時間営業も見直すべきとの意見も

コンビニの深夜営業も、最近では見直すべきではないかという意見も出てきています。主な理由としては「アルバイトが集まらない」「人件費が高騰している」「そもそもお客さんが来ない」などが挙げられます。

海外の「24時間営業」事情

24時間365日、コンビニやスーパーが自宅からそう遠くないところに数件あるのが「常識」のように感じる日本。しかし、海外の人から見ると、日本のほうこそ不思議な光景に感じることもあるようです。海外の24時間営業事情を紹介します。

ドイツでは…

ドイツでは、閉店法という法律により、店の営業時間が規制されている。キリスト教では日曜日が安息日と定められているので、「日曜、祝日は閉店」が基本だ。また、労働者の休息時間を守り、小売店の営業時間延長による競争を阻止するため、「月曜日から土曜日までの小売店の営業時間は、6時から20時」という決まりが守られていた。
ただ、2006年には、閉店法の権限が国から州に移り、その後は各州で規制緩和が続いた。現在は16の州のうち、9つの州が月曜から土曜、3つの州が月曜から金曜の24時間営業を認め、14の州が年4回、またはそれ以上の日曜日の営業を認めた。しかし、法律改正後、ドイツ人は喜んで、店の営業時間を長くしたかというと、そうではない。今でも多くの店で、24時間営業や日曜営業は行っていない。フランクフルト中央駅には、スーパーとパン屋が合計17店舗入っているが、24時間営業しているのは、2軒のパン屋だけだ。

フランスでは…

フランスにも同様の規制があり、自営業者を除いて夜間や休日の営業は禁止されてきました。
(中略)
フランスもオランド政権になってから規制緩和が進み、百貨店など大型店舗において日曜営業を始めるところが出てきました。ただ、規制緩和前も、イスラム教徒の自営業者を中心に深夜・休日営業を行う店が存在しており、状況が大きく変わったというわけではなさそうです。

スイスでは…

日本では独立した店舗を構えていることの多いコンビニですが、スイスではガソリンスタンドや駅内部に併設したカウンターで商品を売っているものが主流で、24営業のお店はほとんどありません。
スイス国内で営業しているスーパーの内、大手はMIGROS(ミグロ)と COOP(コープ)と呼ばれる2社。これらのお店でも、大都市の駅や空港内の店舗を除き、多くは基本的に日曜休業。営業時間も店舗による差はあれど、19時頃までに閉まってしまうことが多いのです。

スペインでは…

スペインの旅行者は「スペインでは22時を過ぎるとお店が閉まるため、24時間営業のコンビニはとても便利だと思う」「スペインのコンビニは日本と比べて小さいし、品揃えも少ない」と話し、ドイツの旅行者は「ドイツの店の多くは20時までの営業のため、コンビニのように24時間営業の店があると良いと思う」というように、日本のコンビニの利便性に対する意見が目立ちました。

家族と過ごす時間を大切にする欧米

 海外、特に欧米諸国では家族と過ごす時間をとても大切にしていて、お父さんたちの授業参観参加率が高く、帰宅時間も日本と比べるととても早い。夏休みも約1カ月の長期休暇を取る親が多い。

海外の空港には24時間運行の鉄道やバスがある

 日本からほど近く、アジアのハブ空港の一つである香港国際空港ではどうだろうか? 24時間運航の空港で、深夜を過ぎた離着陸便の使用者の足となるのは、バスとタクシーだ。香港内各地に向かうエアポートバスは基本的に24時間運行。料金の安いタクシーの利用も多い。
 また、アメリカの玄関口の一つLAX(ロサンゼルス空港)はというと、もちろん24時間運航しており、夜中でも人の流れが途切れることはない。空港周辺はシャトルバスが24時間運行。ロサンゼルス市内への足である24時間運行の公共バスへもアクセスできる。

そもそも「ないと困る」ものではなかった?

たしかに小売店がいつでも開いていれば便利だし、宅配便が何度も再配達してくれれば助かるし、鉄道が常に分単位で予定通り到着するのはありがたい。こうした点は、来日した外国人にとってみれば「日本はすごい」と評価されているところかもしれない。
しかしその裏には、正月にゆっくり休めない百貨店従業員や、何度も無駄足を強いられる宅配便ドライバー、遅れると乗客から直接文句を言われる駅員などのストレスやハードワークがある。

日本の「過剰サービスを当然だと思う発想」の改革が必要

それが過剰なサービスであっても、もう「当然」になっているため、当たり前のように要求する。店が閉まっていれば「不便だ」と言うくせに、店が開いていることに感謝しない。いくら企業が労働環境を改善しようとしても、過剰なサービスを求める客がいれば、労働者は仕事を終わらせることができない。ブラック企業をなくすためには、そういった悪意のない「ブラック客」の意識改革が必要だ。

しかし、「ない時代」には逆戻りできない?

社会全体として、「24時間開店しているなんてありえない」と思うような風潮が醸造されれば別ですが、「コンビニエンスストアやファストフードは24時間やっていて、デパートは元日から福袋を売っている」のが当たり前の現在では、私たち自身が、携帯電話と同じく、なかなか「ない時代」に逆戻りできないのではないでしょうか。

24時間365日、いつでもお店が開いている…「当たり前」の光景だと思わないようにしたほうがいいかもしれないですね。便利さを享受してきた身としては、24時間営業がいきなりなくなった世界というのは想像もつかないですが、徐々に変わっていくのか、それともまた新たな24時間営業を行うサービスが出てくるのか…推移を見守っていきたいと思います。