『成功したオタク』オ・セヨン監督「誰かを好きになることは本来とても楽しい、素晴らしいこと」
cinemacafe.net / 2024年4月7日 11時0分
数年前、韓国芸能界を揺るがした性加害事件で“推し”が犯罪者になるという経験をしたオ・セヨン監督のドキュメンタリー映画『成功したオタク』が順次公開中。この度、来日したオ・セヨン監督のインタビューがシネマカフェに到着した。
あるK-POPスターの熱狂的ファンで、“推し”に認知されテレビで共演も果たし「成功したオタク」と呼ばれたオ・セヨン監督。本作では、推しの逮捕をきっかけに同じような経験をした友人たち、“推し活仲間”に話を聞きに行き、「成功したオタク」の新たな定義を試みていく。
Q.この作品を制作したきっかけは?
オ・セヨン事件があったあとは混乱していたし映画にしようなんて思っていませんでした。でも友達に軽いかんじで「映画にしたら?」と言われて、「あ、できるかも」と思ったんです。
まずは怒りが原動力でしたが、怒りの感情は持続しません。悩んだり悲しんだり、色々な感情に苛まれながら、「ここまで話して大丈夫なのだろうか」と悩みながら映画を制作しました。なにより、愚かなものと捉えられがちなアイドルファン、「ファンダム」とひとくくりにされがちな集団の中の、個々の顔、声、想いを伝えたいと思いました。
Q.インタビューしている人はどのように選びましたか?
オ・セヨン最初はいわゆる「成功したオタク」や有名なファンの人々にもインタビューしようと考えていたのですが、カメラの前で本音を率直に語ってくれる人が必要でした。結果、周りの友人たちに話を聞くことにしました。長い間積み重ねてきた友情で築いた信頼関係があるからこそ、同じ目線で率直な対話ができると思ったのです。
Q.加害者か被害者かと悩んだこと、そしていまも残っているファンについて。
オ・セヨンなにも知らず熱心に推し活をしてそのアイドルに権力を持たせたことで、私たちも加担してしまったと感じました。同時にオッパ(お兄さん)たちの犯罪によって心の傷を負った私たちは被害者でもある。自分が信じたものを否定するのは難しいですよね。
「私が推したせいで」「私の選択が間違っていた」などと自分を責めたりしてしまう。でも悪いのは犯罪を犯した人なんです。韓国では表立って彼らを擁護する人たちは少なかったですが、それでもまだ残っているファンたちがいます。
Q.なぜ映画では擁護するファンに話を聞かなかったのでしょう?
オ・セヨン最初は、いまも彼らを支持している人に話を聞こうと思っていたのですが、映画制作を進めるうちに、やはりやめよう、と思いました。
擁護発言を映画に入れることは被害者の方への二次加害になるのではと心配になったし、かつて「私のオッパはそんな人じゃない」と何度も擁護していた人物こそ、ほかならぬ私自身だったという事実に気づきました。私はもうその気持ちを知ってるじゃないか、と思ったんです。自分でもそのような気持ちを抱いたことがあるのに、いまはそうでないという理由で彼らを支持する人をジャッジする立場に立とうとしているんじゃないのか、と。
Q.監督は今後誰かをまた推すと思いますか? また、健全な推し活をするにはどうしたらいいと思いますか?
オ・セヨンいまは推している人はいません。映画を作っている最中にも「いいな」と思う人はいましたが、どうしても「この人ももしかして…」と警戒してしまうんです。でも、そう言っている時点でもう好きになっているんですよね。誰かを好きになることは本来とても楽しい、素晴らしいことですよね。
以前と同じようには推し活をできないかもしれませんが、「私が見ているのはその人の全てではない。アイドルとして美しい一面を見せてくれているにすぎないのだ」ということを念頭に置くことが重要なんじゃないでしょうか。
Q.日本の観客へのメッセージ
オ・セヨン日本での公開をとても嬉しく思うと同時に、この映画に共感してくださる方がたくさんいるのかと思うと胸が痛みます。もちろん心強くもあります。映画館でみんなで一緒に笑って泣いて、その後いろんな思いを話し合ってくださるといいなと思います。
『成功したオタク』はシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開中。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
中島健人、「Sexy Zone」卒業後初のドラマ主演! 「しょせん他人事ですから」でネット炎上・SNSトラブルに挑む弁護士役
映画.com / 2024年5月17日 6時0分
-
現役セクシー女優が“プロデューサー兼店長”としてコンカフェを立ち上げたワケ
日刊SPA! / 2024年5月13日 15時53分
-
新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月10日 16時22分
-
「推し活」全盛時代に、つんく♂が思い描く未来 グループアイドルの形は進化していくはずだ
東洋経済オンライン / 2024年5月5日 8時0分
-
【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】成功したオタク 裏切られた少女の恋心
沖縄タイムス+プラス / 2024年4月26日 18時30分
ランキング
-
1浜田雅功 騒動後初の地上波出演のお笑いコンビに愛あるイジリ「一回退いてもらいしょうか」
スポニチアネックス / 2024年5月16日 22時29分
-
2松本潤「私自身の未来を形作るためには必要な一歩」 STARTO社からの独立発表で胸中吐露【コメント全文】
ORICON NEWS / 2024年5月16日 21時43分
-
3林修 年金納付5年延長案に憤り「こっちに都合良く変わることは一度もない」 バカリズムも共感
スポニチアネックス / 2024年5月16日 20時21分
-
4L'Arc~en~Ciel・tetsuya、デビュー30周年迎えるバンドの解散危機明かす「hydeから手紙が来て…」
ORICON NEWS / 2024年5月16日 20時39分
-
5浜田雅功「ボッコボコにされた」NSC時代に兵庫県宝塚市で悲劇…ブロック塀から「山ほど人が出てきて…」
スポニチアネックス / 2024年5月16日 22時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください