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【東京農業大学】植物の長期高温ストレス耐性には正確なmRNAスプライシングの維持が重要(2報同時掲載) 〜何日も続く高温に適応する作物育種へ期待〜

Digital PR Platform / 2023年11月14日 21時0分


[画像4]https://user.pr-automation.jp/simg/2209/79312/700_379_2023111414494365530a7735d8c.png

図1:シロイヌナズナの長期(上)・短期(下)高温耐性
左:シロイヌナズナ野生系統(88系統)における長期高温耐性(上)と短期高温耐性(下)。
上下に同じ野生系統を並べているが、長期高温耐性を示す野生系統は必ずしも短期高温耐性を示さず、長期と短期で耐性メカニズムが異なることが示唆された。
右:シロイヌナズナ突然変異株sloh3およびsloh63の長期高温耐性(上)と短期高温耐性(下)。
sloh3およびsloh63変異株は長期高温ストレスに感受性を示すものの、短期高温耐性は野生株と同等なことから、長期高温耐性のみが欠損していることが示唆された。


[画像5]https://user.pr-automation.jp/simg/2209/79312/700_202_2023111414494565530a79bc5b2.png

図2:スプライシング阻害による長期高温耐性への影響
A:スプライシング阻害剤_Pladienolide B (PB)
B:PBによるスプライシング阻害効果
PB濃度依存的にスプライシングが阻害されて、イントロンが切り出されない未成熟mRNAが蓄積する。
C:PBによる長期高温耐性への影響
PB濃度依存的に長期高温耐性が損なわれる。
D:PBによる小胞体(ER)ストレスへの影響
PB濃度依存的にERストレスが亢進する。これはイントロンが残った未成熟mRNAを設計図として誤ったタンパク質が翻訳された結果、小胞体内に異常タンパク質が蓄積したためと考えられた。ERストレスの亢進は長期高温耐性を損なうことが知られている。


[画像6]https://user.pr-automation.jp/simg/2209/79312/700_413_2023111414494865530a7c1297a.png

図3 今回明らかになった植物の長期高温耐性メカニズム
左:長期高温耐性シロイヌナズナ野生系統(Col-0など)あるいは野生株
右:長期高温感受性シロイヌナズナ野生系統(Ms-0など)あるいはsloh3, sloh63変異株
長期高温感受性シロイヌナズナ野生系統やsloh3, sloh63変異株では、MOS4関連複合体の一員である、LHT1 (MAC7), SLOH3 (MAC9), SLOH63 (MAC19)に欠損が生じたため、特に長期的な高温ストレス下においてイントロンの切れ残りなどのスプライシング異常が生じ、結果、未成熟mRNA由来の異常タンパク質が翻訳(生産)される。これらの一部は小胞体で小胞体(ER)ストレスを誘導する。ERストレスの亢進は細胞死などを引き起こすため、結果として長期高温耐性が損なわれると考えられた。

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