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ミア・ゴスはやっぱり最高だった!「インフィニティ・プール」B・クローネンバーグ監督が明かす“驚きのパフォーマンス”

映画.com / 2024年4月5日 10時0分

 もちろん描いたのはそれだけではありませんが、それが本作で意図した重要なテーマの一つというのは間違いありません。興味深いことに今作は北米で「ザ・メニュー」(2022)や「逆転のトライアングル」(2022)と同じタイミングで公開され、人々が「イート・ザ・リッチ(金持ち喰い)映画」と呼んだ階級の分断や逆転を描く映画ムーブメントのひとつとして認識されたんです。

 ドラマ「ホワイト・ロータス 諸事情だらけのリゾート」(2021)が放送されたのも同じ時期というのも大きいですね。私が本作の原案を書いたのは2013~14年頃なので、流れに乗った訳ではなく完全に偶然なのですが。そこから分かるのは、そういった階級の分断やツーリズムに伴う問題はずっと我々の社会につきまとう永遠のテーマということですね。ただ本作は他の「イート・ザ・リッチ映画」ほど、ストレートにそれらのテーマを描いてはいないと個人的には思っています。

 ――本作では階級の分断を描く中で、貧富だけでなく富裕層の中にあるヒエラルキーも明確に表現していたのが非常に印象的でした。それを描いた理由を教えて頂けますでしょうか。

 なぜなら類人猿というのはヒエラルキーを作り、互いを支配しようとするのが好きだからです。そして私が好きな作家、J・G・バラードが執筆した「ハイ・ライズ」(1975)という興味深い本があったことも大きいですね。70年代に書かれた小説で、40階建ての巨大住宅に住む人々が住む階に準拠したヒエラルキーを作り始める物語です。その小説にはさまざまなことが書かれていますが、特に興味深いと感じたのは、人間はたとえそこにヒエラルキーがなかったとしても積極的にヒエラルキーを作り出し、お互いを支配したいという衝動に駆られてしまうという点でした。

 そういったヒエラルキーを作るのは類人猿の古くからのやり方なんです。人間の心はとても可塑的で変化に富んでいるので、ひとえに「人間の本質」というような言い方はしたくないのですが、人間も動物であることから、ある種の衝動を持っているのは確かです。人間が上下関係を作り、お互いを攻撃し合う傾向があるのは、高校に行ったことがある人なら誰でも知っていますよね。

●監督・キャストが賞賛するミア・ゴスの驚くべきパフォーマンスとは…

 ――主役を演じたアレクサンダー・スカルスガルドとミア・ゴスのキャスティングが見事にハマっていましたね。彼らを起用した流れを教えてください。

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