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北欧映画界に新たな衝撃作。他人にナメられがちな人にも観てほしい「胸騒ぎ」【人間食べ食べカエルのホラー映画コラム】

映画.com / 2024年4月19日 22時0分

 劇中では、人間同士の関係性から生じるパワーバランスも露わになる。異なる2つの家族が一つ屋根の下で共に過ごす。片方が招待してもてなし、片方がそれを受ける。その関係性は決して公平ではなく、なんとなく立場の上下を感じてしまう。自分たちの家ではなく赤の他人の家で過ごすため、やはり招待された側はアウェイな空気を感じる。更に、主人公一家はもてなされているという立場上、何か変なことがあってもすぐにそれを指摘しづらい。

 こうして何となく動けないでいるうちに、違和感は加速度的に増していくのだ。そして遂に事態が急変する。この一連の流れは非常に生々しく感じた。この映画では、人間の悪意だけでなく、どうしようもない弱さも同じくらい描かれている。何か変なことがあっても、自分に非が無く一方的に害を受けても、それに対して何も言えない。ちょっと踏ん張っても結局すぐ受け流されて元の上下関係に戻ってしまう。結果、それが首を絞めて自分の立場が更に弱くなる。地獄を煮詰めたみたいな悪意があふれ出し、なあなあで受け流す弱さがそれを最大限に増幅させる。

 私もどちらかというと気弱な方で、他人にあまり強く指摘することができない。そうしていると、人によってはどんどん増長していって、その挙句に舐め腐って無茶な要求をしてきたりする。別にケンカを売れというわけではないが、最低限、相手と対等な立場で関係性を築くために堂々とする必要はある。本作を観ていてその考えを思い出した。

 見終わった後は、確かに心底落ち込んだけど、不思議とそれと同時に気合も入った。この映画はただ気分を悪くさせるために作られたのではない。多分だけど、ちゃんと言うべき時に言わないと、やると決めた時にやり切らないと大変な目に遭うよ、という啓蒙も兼ねているのではないだろうか。これは非常に辛い映画ではあるが、他人にナメられがちな人にも観てほしい。そんなことを思わされる映画だった。

 オソレゾーン配給協力作品「胸騒ぎ」(5月10日より新宿シネマカリテほか全国公開)は、5月3日(金)~5月6日(月・祝)、シネマ映画.comで<先着100名限定>で劇場公開前プレミアム配信。5月2日(木)までお得な前売り券を販売中です。ぜひこの機会にシネマ映画.comをご利用ください。

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