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亡くなった母の荷物から封筒に入った「遺言書」を発見しました。遺産分割は終わっていますが、この遺言書の扱いはどうなりますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月29日 5時10分

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相続が発生すると、葬儀や届出などやるべきことに追われ、悲しみのなかでも手続きを進めなければなりません。遺産分割が終わり、やっと落ち着いて故人の荷物を整理していたら、思いがけず「遺言書」が見つかるといったケースも散見されます。   この場合、発見された「遺言書」はどう扱えばよいのでしょうか。影響や対応について、ケースごとに考えてみましょう。

遺言書は、故人の最期の意思表示

自分の亡き後、財産を「誰に」「どのように」引き継いでほしいかといった想いを確実に伝えるために遺すのが「遺言書」です。せっかく書いても、適切なときに見つからず、後になって発見され、相続人が戸惑うケースも存在します。
 
相続が発生すると、自治体に死亡届の提出をしなければなりません。届出を行うことで戸籍に反映され、反映された戸籍謄本をもとに、誰が相続人であるかを確定します。
 
配偶者や子がいる場合には、「調べるまでもない」と思いがちですが、相続人であることを確実に証明するためにも必要な手続きです。そして、すべての相続人の合意のもと、相続財産(故人の財産)を引き継ぐ手続きを行います。ただし、遺言書がある場合には、こうした相続人確定を経ずに、その内容に従って相続財産の分割を行うことができます。
 

遺言書がない場合には、遺産分割協議を行い、分割する

遺言書がない場合には、すべての相続人が集まり、遺産分割協議を行います。法律で定められた分割割合によって分割することも、話し合いによって分割することも、すべての相続人の合意が得られればいずれも可能です。協議の内容を「遺産分割協議書」に記載のうえ、全員の署名と捺印をします。
 
相続税が発生する場合には、期限内に「遺産分割協議書」とともに申告・納付を行わなければなりません。また、相続人は、協議によって受け取ることになった被相続人(故人)名義の銀行預金の引出しや名義変更、不動産の登記をする際にも「遺産分割協議書」が必要です。
 
故人が遺した財産の内容や家族構成、それぞれの関係性にもよりますが、お互いの損得勘定が交錯すると、長期化したり揉めることがあります。遺産分割協議で疲弊するといった事例も散見されます。
 

あとから「遺言書」が発見された場合

相続発生後、遺言書がすぐに見つからなくても、遺産分割の前に発見されれば、その内容の通りに分割すればよいため、さほど問題ではありません。一方で、遺産分割の後に「遺言書」が発見された場合には注意が必要です。
 

原則的には、遺産分割のやり直し

故人の最期の意思表示であり、最大限尊重されるべきという観点から遺言書には有効期限がありません。そのため、たとえ相続発生から数年が経過していたとしても、遺言書の内容が優先されます。
 
遺産分割協議を経て遺産分割を行った場合でも、分割のやり直しを行うことになります。この場合、すべての相続人が合意すれば、遺言書の内容と異なった分割でも、つまり、やり直しをしなくても構いません。
 
とは言え、現実的には、遺言書の内容(故人の思い)と相続人間の想いが乖離していることも多く、とくに、遺産分割協議で疲弊した後でさらに揉める火種となることもあります。
 

遺産分割で受け取った財産が残っていない場合

遺産分割の後、比較的早い段階で「遺言書」が見つかればよいのですが、時の経過とともに、遺産の資産評価額の下落や、使ってしまい残っていないということも考えられます。
 
渡すべき財産が残っていない場合には、代替的資産での解決も可能とされているものの、とくに、相続人以外の人に財産を引き継がせたいという内容の遺言書であった場合には、渡したくないという感情もあり長期化する可能性があります。いずれにしても、その人を含めて、納得のいく再分割を行わなければなりません。
 

「遺言書」が隠匿されていた場合

もし、相続人のうちのだれかが、故意に「遺言書」を隠匿していた場合には、相続欠格事由と判断される場合もあります。不当な利益を得る目的で遺言書の発見を妨げるような行為が認められた場合には、その相続人以外の相続人で分割することになります。
 

トラブル回避のためには、弁護士等への相談を

遺産分割協議による分割の後に「遺言書」が見つかった場合には、相続人だけに限らず関係する人々の損得勘定が交錯し、揉める可能性が高いと言えます。発見された「遺言書」の内容を確認したうえで、少しでも懸念点がある場合には、早い段階で弁護士など専門家への相談をおすすめします。
 

まとめ

遺言者には、確実に想いを伝えるために、また、発見されないリスク回避として、費用や手間はかかりますが「公正証書遺言」で遺すことをおすすめしています。また、自筆証書遺言でも、法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」の利用が有効です。
 
相続が発生すると、遺族にはやるべきことが多く、何かと追われる日々が続きます。相続手続は、人生のなかでそう度々あることではないため、分からないことも多くあるかと思います。やり直しで時間も労力も信頼関係も失うことを回避するために、まずは遺言書がないか探してみること大切です。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士

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