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1ドル=70円台の衝撃再来…巨額破綻が招いた“過去最大”の円高局面

Finasee / 2023年4月19日 12時0分

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Finasee(フィナシー)

・日本がロシアに「史上初」の対抗措置…米国・EU同調、重大事件も発生

直近ではドル円レートは円安トレンドが続いていますが、実は28年前は反対に強い円高局面を迎えていました。1995年の4月19日にドル円は初めて70円台を記録します。

そもそも戦後の日本円は長期的に円高のトレンドを形成してきました。今日は円高の歴史を振り返りましょう。

バブル崩壊やメキシコ通貨危機が重なり強い円高に

円高の歴史は「スミソニアン協定」から始まります。それまでドル円は360円で固定されていましたが、1971年12月に同協定で308円にまで切り下げられました。そして1973年2月、再びドルが切り下げられると固定相場制は崩壊し、主要な通貨は変動相場制へ移行します。

1985年9月にはドルの価格をさらに切り下げる「プラザ合意」が発表され、ドル円は1988年に120円台に突入しました。バブル期に一時160円台まで回復しますが、崩壊後は再び円高の道をたどります。

ドル円が70円台に向かうきっかけとなった出来事が「メキシコ通貨危機」です。1994年12月にメキシコが自国通貨を切り下げたことで金融不安が広がり、ドル円は翌年4月に一時79.7円にまで下落しました。

【ドル円の値動き(1995年1月2日~4月28日)】

Investing.comより著者作成

70円台を付けた後は一転して円安基調を迎えます。1997年の「アジア通貨危機(※1)」や1998年の「ロシア危機(※2)」でも1ドル=100円を割り込むことはありませんでした。

※1.アジア通貨危機:タイを中心にアジアに広がった通貨危機。タイの通貨はドルに連動する「ドルペッグ制」が採用されていたためドル高に連動して上昇していた。そこに機関投資家が売りを仕掛けタイの通貨が急落。同じくドルペッグ制が採られていたマレーシアや韓国にも波及した。

※2.ロシア危機:ロシアが債務不履行に陥った事件。ロシアの通貨が急落し、大手ヘッジファンド「LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)」などが破綻した。

過去最大の円高局面は?

ドルに対して最も円高が進んだのは2011年10月です。2008年の「リーマンショック(※)」でドル円が100円を下回り、その後も円高が止まらず2011年10月31日に一時75.58円を記録しました。現時点ではこれが対ドルで最も円高になった事例です。

※リーマンショック:大手金融機関「リーマンブラザーズ」が破綻し世界的な金融危機に発展した事件。同社は信用力が低い借り手に向けたローン(サブプライムローン)が不良債権化し破綻に追い込まれた。破綻時の負債総額は約6000億ドル(1ドル=125円で75兆円)。

【ドル円の値動き(2011年8月1日~10月31日)】

Investing.comより著者作成

その後は2012年12月に発足した安倍政権下で行われたアベノミクスをきっかけに円安に転じます。冒頭に述べた通り、現在では130円台まで円安が進んでいます(2023年3月末時点)。

円高で起こる良いこと&悪いこと

歴史を振り返ると大きなショックが起きると円高に振れるケースが多く見られました。そう考えると円高にネガティブなイメージを持つかもしれませんが、円高は悪いことばかりではありません。

例えば円高は輸入が有利になるメリットがあります。アメリカから100ドルの商品を輸入するケースで考えてみましょう。1ドル=100円なら1万円(100ドル×100円)が必要ですが1ドル=70円まで円高が進むと7000円(100ドル×70円)で輸入できます。円高で同じ商品を3000円も安く買うことができました。

反対に輸出では円高は不利に働きます。商品を100ドルで輸出する場合、1ドル=100円なら1万円の売り上げですが、1ドル=70円では7000円にしかなりません。海外向けの売り上げが大きい企業は円高のデメリットを感じやすいでしょう。

海外に投資している方も円高のデメリットに気を付けなければいけません。円高で資産が目減りするためです。例えば10万ドル分の資産を持っている場合、1ドル=100円なら1000万円ですが1ドル=70円だと700万円となります。ただしこれから海外に投資する方にとっては安く買える円高のほうがメリットを感じられるでしょう。

このように円高には一長一短があり、良いこともあれば悪いこともあります。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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