倒れたほうが得だった…? JFA審判委の見解「今年もタフでエキサイティングなリーグを目指す」
ゲキサカ / 2022年2月16日 17時15分
「激しくて、フェアで、エキサイティングな試合」——。富士フイルムスーパーカップの川崎フロンターレ対浦和レッズ戦での誤審は結果的に、Jリーグがこれまで掲げてきた判定基準を揺るがす形となった。16日、判定基準(スタンダード)説明会で誤審があったことを認めたJFA審判委員会の扇谷健司副委員長は「倒れたからファウルなんだ、倒れないとファウルにならないんだという事になると、Jリーグがせっかく築き上げてきたものが崩れる。そういう意味でもわれわれは適切なジャッジをすることが求められる」と強調。判定精度を向上させる必要性を指摘しつつ、選手たちにはこれまで同様のタフなプレーを続けるよう求めた。
問題の場面は浦和1点リードで迎えた後半30分に起きた。FW明本考浩(浦和)がドリブルでゴール前に侵入すると、後方から追っていた川崎FのMF大島僚太(川崎F)が明本の腕を掴んで減速させたが、明本は倒れずにプレーを続行。しかし、直前の減速が大きく響き、カバーに入った川崎F守備陣に止められた。試合はノーファウルのまま継続。その場に倒れ込んだ明本は首をかしげ、浦和の選手たちは一斉に笠原寛貴主審に詰め寄って抗議した。
明本は大島に止められる前、スピードに乗ってフリーの状態でゴールに向かっており、大島の行為がファウルであればDOGSO(決定的な得点機会の阻止)の可能性が高かった。またDOGSOの反則はレッドカード相当のため、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入基準も満たすはず。ところが、そこでVARレビューは行われず、ファウルかどうかの再確認はなし。浦和は大きな追加点の機会を逃す形となった。
Jリーグはこれまで「激しくて、フェアで、エキサイティングな試合」というスローガンのもと、選手たちにはホイッスルが鳴るまでプレーを続けることを推奨してきた。だが、今回のケースで明本は倒れずにプレーしたことでファウルをもらうことができず、相手の大島も退場を免れた。すなわち結果的にではあるが、Jリーグの方針に反して「倒れたほうがファウルをもらいやすく、倒れずにプレーしたほうが損である」ともいえる結末になってしまった。
果たして、倒れたほうが得をするべきなのか。
扇谷氏はスタンダード説明会の場で「決定的得点機会の阻止としてファウルを取り、退場すべきシーンだった」「VARが介入すべきだったと思っている。これはたとえレフェリーがいいところで見ていたとしても、はっきりとした明白な間違いに近い」と誤審があったことを認めつつ、そうした方向性に議論が進むことへの危惧を示した。
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