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親子の世界観のズレの長期化で膨らむ「感情不全」【「不登校」「ひきこもり」を考える】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月6日 9時26分

【「不登校」「ひきこもり」を考える】#7

 前回まで、不登校やひきこもり、ひいては精神疾患の原因には「感情不全」が潜在し、それが生じる背景には親子間のボタンの掛け違いの影響が極めて大きいというお話をさせていただき、具体例として男性Aさんのケースを紹介しました。

 今回は、その対応の何が問題だったのだろうか?を振り返ってみましょう。実は、ご両親の対応自体は、正解とも言えるし不正解とも言えるのです。実際、弟さんには特に問題にならなかったのですから。一方で、兄であるAさんにはもう少し違ったアプローチができたのではないか?ということを、今となっては言えるかもしれません。つまり、お子さんの性格の繊細さや感受性といった個人差に合わせて、よりきめ細かい配慮があったか否か、ここが重要なポイントとなるのです。

 同じように育てていても、そこまでの繊細さを持ち合わせていない子であれば、たとえ多少親子のコミュニケーションとしては賛否あるようなものだったとしても、特に問題などなく「俺は俺」「私は私」とマイペースにすくすく育っていくケースも決して少なくありません。親子の行き違いが行き過ぎた場合には、ちゃんと自己主張もしてくれますから、親からみても問題点がわかりやすいですし、逆に本当に強さのある子は「この親には期待してもだめだ」と早々に親を見限り、家を出るという行動にも出られます。

 一方で、それがどうしてもできない繊細な子も存在するのです。どうして?と思うようなささいな一言にいとも簡単に傷ついてしまうような、特に親よりもはるかに繊細なガラスのハートの持ち主だった場合、これは要注意です。

■感情不全とは自らの本音感情を押し殺し隠すことに長けた結果

 感度で劣る親には、繊細な子が何を感じているか、何に傷ついているかがまったくといっていいほど見えない世界で、そのお子さんは生きています。だから、お子さんは親御さんが思う以上に繊細なのでは?と言っても、「そんなことないでしょう。うちの子は好き放題言っているし、やっていますよ」との認識をされている親御さんも少なくありません。でもそれは、一番核心的なことがわかってもらえない「しわ寄せ反応」で、不適切な怒りや恐怖といった感情が膨れ上がりコントロール不良になったり、暴言暴力、過食や買い物などの依存行為などの問題行動を、「好き放題、やりたい放題」と表面だけしか見えてない証拠でもあるのです。

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