陸自公式SNSで「大東亜戦争」使い大論争に…“感情的対立”激化、鎮火はまだ先か?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月8日 14時3分
陸上自衛隊第32普通科連隊のXより(一部補正)
《口にするぐらいは自由ではないか》《いや自衛隊が使うのはマズイだろう》
ネット上では大論争となっている。陸上自衛隊第32普通科連隊(さいたま市)が公式X(旧ツイッター)で「大東亜戦争」との表現を使った投稿をしたためだ。
同隊は硫黄島(東京都)で開催された「日米戦没者合同慰霊追悼顕彰式」に参加した様子を公式アカウントで紹介しつつ、《大東亜戦争最大の激戦地硫黄島》《日米双方の英霊のご冥福をお祈りします》などと書いた。
この投稿表現について、朝日新聞や毎日新聞などが記事化したところ、たちまち賛否を巡る声がSNS上などで拡散したのだ。
「大東亜戦争」は、1941年12月の開戦直後、当時の政府(東條内閣)が公表した「太平洋戦争」の呼称。戦後、GHQ(連合国軍総司令部)により使用が禁止されたほか、国会でも「東南アジアなどでの植民地統治や侵略戦争を正当化する名称」として度々、取り上げられ、問題視されてきた。
■冷静な議論というよりも…
例えば、1982年12月の衆院本会議では、日本共産党の不破哲三議員が、当時の中曽根康弘首相の姿勢について、こう問い質している。
「大東亜戦争という名称自体、戦犯東條内閣が真珠湾攻撃の4日後に、日本を盟主とする大東亜新秩序建設を目的とする戦争という意味で命名したものであります。名称まで侵略戦争時のこの呼称に固執しつつ、それへの批判を排撃する、この戦争観が一私人のものでなく、日本の総理となった人物の戦争観であるがゆえに事は重大であります」
これに対し、中曽根首相は「戦前、戦中のわが国の行為については、国際的に侵略であるという厳しい批判を受けていることも事実でありまして、この事実は、政府としても十分認識する必要があると考えております」などと答弁。
中曽根首相は「太平洋戦争」を巡る歴史的な経緯や国際社会の視点を踏まえ、自身の言動についても慎重さが求められるとの認識を示していたわけだが、今回の投稿をめぐっては、こうした冷静な議論というよりも、“感情的な対立”が少なくないようだ。
《大東亜戦争は祖父が使っていた言葉だ。なぜ、これがいけないのか》
《自国の政府が決めた言葉を使っただけ。左翼は何でも攻撃材料にするな》
《不勉強なのか無知なのか。そのうち、大東亜共栄圏バンザイとか書き出すかも》
《先の大戦を振り返り、自戒の念を込めて使っているのであれば…》
まだまだ炎上し続けるような雰囲気だ。
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