巨人にとって“フラれた”ことはプラスでも…補強連敗で突きつけられた深刻問題【筒香嘉智 DeNA出戻りの波紋】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月17日 11時0分
阿部監督(C)日刊ゲンダイ
先週半ばの段階では、筒香の巨人入りはほぼ決まっていたそうだ。それが、この1週間で古巣DeNAにひっくり返されたのだから、巨人・阿部慎之助監督(45)は歯ぎしりするしかない。
巨人は阿部監督の現役時代の背番号「10」を用意。筒香と親交が深い指揮官には、これが最大限の誠意だった。「阿部監督は悔しいでしょうが、巨人にとってはかえって良かったかもしれません」と巨人の元バッテリーコーチで評論家の秦真司氏がこう言った。
「今の外野陣は、ドラフト3位ルーキーの佐々木(24)、萩尾(23)、秋広(21)、浅野(19)といったイキのいい若手が多い。さらに長野(39)、丸(35)、梶谷(35)といったベテラン勢も複数抱えている。32歳の筒香を補強することで、チームのバランスが大きく崩れることになりかねない。若手の成長を阻害することにもつながる可能性があったと考えれば、チームにとってはプラスでしょう」
巨人は昨オフも、オリックスからFA宣言した山崎福(現日本ハム)の争奪戦に敗れた。過去、12球団最多の28人のFA選手を獲得している巨人はここ数年、補強で他球団の後塵を拝している。22年オフにも西武の森(現オリックス)を取り逃がすなど、21年の梶谷、井納以降、最近3年間はFA補強ができていない。
昨年の選手会の調査による年俸ランキングで巨人(平均6807万円)は4年ぶりに1位に返り咲いた。にもかかわらず、契約更改交渉の満足度は7位。前出の秦氏が続ける。
「アマやプロの選手に、巨人に入っても他球団よりチャンスが少ないとか、長く現役が続けられないとか、すぐに育成契約になってしまうといったイメージが定着しているのかもしれません。巨人の選手の契約更改の満足度が低いことや、補強選手の行く末は、みんなチェックしていますから」
今年90周年を迎える伝統球団も、近年はアマやプロからも敬遠される球団になっている。巨人の魅力度の低下は、今後のチームづくりにおいて、ボディーブローのように効いてきそうだが、ドラフトと育成をチーム強化の柱とする契機になれば、筒香取りの失敗もマイナスではない。(つづく)
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