育児に時間を取られ、「同期との差」が気になる…いまの日本で「子育てとキャリア」の両立に向き合う方法【ライフキャリアコンサルタントが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月13日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
昨今の日本社会では、育休制度の整備が進み、仕事と子育てのバランスを取れる環境が整いつつあるようです。これに伴い、出産後も働き続けたいという女性が増えたこともあり、育児休暇中の「キャリアの遅れ」を気にする人も増えてきています。キャリアへの不安を解消し、子育てに前向きな気持ちで取り組むには、どうしたらよいのでしょうか? ライフキャリアコンサルタントの江野本由香氏が解説します。
「キャリアと育児の両立」はむずかしい日本
マミートラックとは、本人の希望にかかわらず、出産後、昇進や昇格といった出世の道からはずれてしまうこと。一度その道からはずれると、復活することはむずかしく、出産を機にキャリアが閉ざされてしまうことを指します。
もともとは子育て中の女性の業務量や責任をセーブすることで仕事を続けられる環境を整えるために考えられたことですが、出産をした、子育て中といったことだけでキャリアの道が閉ざされてしまうことは残念です。
仕事と育児の時間的な両立は、いまの日本の育児関連の法律・制度・雇用環境であれば、叶う人は多いでしょう。
キャリアと育児の両立はどうでしょうか。これはまだまだむずかしい問題です。
「子育て中の女性に無理をさせてはいけない」「子育て中だから重要な任務はまかせられない」といった組織側の思い込み、「子育て中だから、迷惑をかけることもあるし、いまの私にその仕事は無理」という働く側の思い込みといったように、アンコンシャスバイアスが複雑に絡み合い、けっきょく組織も働く側もどうすればいいのかモヤモヤが続いているのがいまの世の中。
「こうでなければならない」という会社や他者の基準で考える思考のクセが、育児に自分のリソースを割く時間が増えれば増えるほど、他者から後れを取ってしまう、キャリアアップができていない、といった不安感を得るようになってしまうのです。
これは女性だけに限りません。男性が育休を取得するときにも同じように、キャリアへの影響や周囲から後れを取ってしまうのではないか、といった不安や焦りの気持ちに直面することでしょう。では、この気持ちとどう向き合っていけばよいのでしょうか。
「キャリアアップ」の基準は自分で決める
まず、あなたにとって「キャリアアップ」とはどういうことなのかを、言葉にしてみましょう。
私にとってのキャリアアップは、「いままでできなかったことができるようになること。周囲への価値提供の量が増え、質が上がること」と考えています。これはサラリーマン時代から独立したいまでも変わりません。その具現化の方法が変わるだけです。
周囲と比較しない
たとえばサラリーマン時代であれば、「ミッションや職級であるグレードが上がること」「給料が上がること」「影響範囲が広がること」など。会社にいると評価基準があり、ポジションが上がるなど目に見えやすいものなので、キャリアアップした実感が得られやすいものです。
独立後は、「提供する研修の質が上がり、受講者のより大きな行動変容を起こせるようになること」「研修が実施できるテーマの幅が広がり、内容が深くなること」「対価であるフィーが上がること」「自分のファンが増えること」などが挙げられます。
キャリアアップの基準は誰も決めてくれません。自分が考えるキャリアアップの定義に照らしてどうかは自分自身が判断するのです。
会社や他者からの評価基準だけではなく、自分の評価軸をもつことで、どのような職場や環境に行っても通用する自分のスキルを認識し、言葉にできるようになります。
周囲と比べるのではなく、自分基準でのキャリアアップができるようになれば、成長している実感を得ることができ、自分なりのペースでキャリアアップしていくことができます。他人と比べる必要はないのです。
あなたが考えるキャリアアップができていれば、心が満たされ、不安や焦りの気持ちから解放されますよ。
江野本 由香 ライフキャリアコンサルタント
※本記事は『キャリアと子育てを両立する!自分と家族の価値軸で築く幸せな生き方』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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