トヨタがアマゾン他と提携。自動運転車の宅配・宿泊サービスを本格始動!/LEADERS online
INSIGHT NOW! / 2018年3月2日 16時0分
LEADERS online / 南青山リーダーズ株式会社
ホテルや店舗が、利用者のそばにやってくる!?
「私たちはクルマをつくる会社を超え、さまざまな移動を助けるモビリティ・カンパニーへと変革することを決意した」── 未来的なコンセプトカーが数多く出展する「CES(コンシュマー・エレクトロニクス・ショー)のプレカンファレンスで、力強く語ったトヨタの豊田章男社長。その具体的なビジョンを示すのが、ショーの目玉として初公開された自動運転EVの試作車「イー・パレット・コンセプト」だ。
イー・パレット・コンセプトはバスのような箱型の低床形状で、全長4~7mの3サイズを想定。内装に手を加えることで、宅配・ライドシェアや移動型のホテル・物販店・飲食店など、さまざまな用途に対応できるようにする。つまり、その場の状況やニーズに合わせて「利用者のそばにやってくる、多目的なサービスカー」というわけだ。もちろん、そこにハンドルを操る運転手は必要ない。
提携企業との実証事業を、2020年前半からスタート
トヨタの発表によると、さまざまな用途に応じた自動運転EVを提供するだけでなく、それらの車両の企画・保守・保険まで一括管理する事業者向けビジネスを2030年代に実現させるという。普及には各国の規制緩和が必要となるが、まずは2020年の東京オリンピック・パラリンピックで、一部機能を使った車両を試験的に導入。2020年代前半から、アメリカなどで実験車両による実証事業をスタートさせる予定だ。
今回の実証事業で提携するのは日本のマツダのほか、米Amazon、Uber(ウーバー)、ピザハット、中国ライドシェア大手の滴滴出行(ディディチューシン)の5社。ネット通販の商品配送やファストフードの宅配など、提携先の用途に応じた設備を各車両に搭載し、走行データなどをひとつのプラットフォームに集めてサービス改善に役立てる。また、マツダ・Uber・滴滴出行が技術パートナーとして車両設計に加わるほか、Uberや他社が開発した自動運転システムも搭載して、技術・サービス面から幅広く事業検証を進めていくという。
今のところどのような形で実証事業が行われるかは発表されていないが、もしかするとAmazonの無人車両から注文商品が届く(!?)なんて場面に立ち会えるかもしれない。
敵対するライバルと手を組んでも生き残る!
トヨタが今回提携したAmazonは、豊田社長が昨年の株主総会で「米Google、Appleと並ぶ新しいライバル」と名指しした商売敵(がたき)でもある。Uberなどを含むIT企業は、自動運転システムの開発をはじめ、スマートフォンなどのモバイルサービスやコンテンツを幅広く提供し、いまや自動車産業を含めた多くの業界・業種を脅かす存在となっている。ここにきてトヨタがそれらライバルと手を組んだのも「もはやクルマをつくって売るだけでは生き残れない」という自動車メーカーの危機が、現実に迫りつつあるからだろう。
IT企業がリードする自動運転車やコンテンツを使ったシェアサービスが普及すると、アメリカの新車販売市場は2040年までに4割縮小すると予測されている。利益の約4割を北米市場で稼ぎ出すトヨタにとって、これは経営にもかかわる死活問題だ。さらに、消費者のマイカー離れによって販売台数が落ち込めば、自動車メーカーは商用車をつくって事業者に卸すだけの「下請け会社」にもなりかねない。
「自動車メーカー」から「モビリティ企業」に
こうした懸念が広まる中、欧米の多くの自動車メーカーが市場のすき間を狙って動き始めている。たとえば、米ゼネラルモーターズやフォードモーター、英ジャガーやランドローバーは、ライドシェア大手と提携して移動サービスのノウハウを強化。全面対決を避けたいIT大手との関係を強め、新たなサービス分野に活路を見いだそうという狙いだ。そうした意味で「自動車メーカーからの脱皮」が、業界で勝ち残るためのキーワードといえるのかもしれない。
そして、トヨタも今回発表したイー・パレット・コンセプトを通して、自社が単にクルマをつくる「自動車メーカー」ではなく「モビリティを提供する企業」であることを示し、それを実証しようとしているのだ。
ご存じの通りトヨタはモビリティサービスの分野において若葉マークの新参者だが、日本のモノづくり産業を支える巨大メーカーだからこそ、チャレンジする意義も産業界に与える影響力も大きい。
自動運転や電動化、コネクテッドなどの技術革新によって、いま自動車産業は100年に一度の大変革期を迎えている。そうした中で、モビリティ企業への脱皮を図るトヨタがリーダーシップを発揮し、クルマ社会や産業界に新風を巻き起こしてくれることを期待したい。
≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp
【転載元】
リーダーズオンライン(専門家による経営者のための情報サイト)
https://leaders-online.jp/
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
クルマの価格はまだまだ上がる? 下がる要素がとても少ないワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月17日 6時5分
-
トヨタが日本初の5兆円超え!? 営業利益が過去最高に! 約2兆円を“未来”の投資に!? 佐藤社長が語る未来とは
くるまのニュース / 2024年5月9日 5時50分
-
「iPhoneより安くて速いスマホ」の中国企業が、「テスラより安くて速いEV」を発売…自動車業界を揺るがす大衝撃
プレジデントオンライン / 2024年5月8日 8時15分
-
中国ネット配車「ディディ」自動運転車を合弁生産 EV大手の広汽アイオンと組み、2025年から量産
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 18時0分
-
広汽埃安と滴滴自動駕駛が共同会社を設立、自動運転車の量産化目指す(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月22日 0時25分
ランキング
-
1「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
ねとらぼ / 2024年5月18日 7時30分
-
2滅びかけた格ゲーは、なぜ『ストリートファイター6』で蘇ったのか?とにかく話題が尽きなかった濃密な一年を振り返る
インサイド / 2024年5月18日 17時0分
-
3『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博がXで怒り 立て続く“誤配”で「三度目です」「次はもう知らん」
ねとらぼ / 2024年5月18日 16時57分
-
4FC版『ドラクエ』のローラ姫はナゼさらわれた? 「めとるため」とはいえないワケ
マグミクス / 2024年5月18日 21時25分
-
54Kディスプレイをやめた「Xperia 1 VI」は使い勝手が大幅向上。最注目はテレマクロ機能
&GP / 2024年5月18日 19時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください