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書面の監査業務「25→12時間」に半減 生成AI、旭化成の活用策は?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月2日 9時20分

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書面の監査業務「25→12時間」に半減

 連載「生成AI 動き始めた企業たち」第18回は、旭化成の取り組みを紹介する。同社は2023年6月に全従業員が公開情報のみ利用できる生成AIシステムを業務導入。同8月には外部に公開していない社内データも検索・回答できるようにした。

 ある事業部の製造現場では、顧客と監査のやりとりを書面で行う業務が、1件あたり25時間から12時間に短縮されるなどの効果も生まれたという。

 長期的には材料化学や住宅、医療など各事業分野に特化した独自のAIモデルの構築を目指すという同社。どのような価値観のもと、生成AI活用を進めているのか。回答はデジタル共創本部インフォマテイクス推進センター 生成AI・言語解析ユニット長の大熊智子氏。

●Q. 生成AIはビジネスと社会にどんな変化をもたらすか

 DXにおいては、単なるデジタル化(D)ではなく、デジタル技術を使った変革(X)を行うことが最も重要です。生成AIはそのXの部分を加速する強力なツールの一つだと考えています。

 当社では、23年5月に生成AI活用ガイドラインを制定し、6月には全従業員が安全な環境下で業務利用できる生成AIシステムを導入しました。また8月には、技術情報など外部に公開していない社内データも検索して回答できるよう、社内データとの連携を始めるなど、早くから業務への積極的な活用を進めてきました。

 12月には現場のデジタル人材が自ら業務に適したシステムを開発できるような環境の提供を開始しました。生成AIはデジタルデータの利活用をさらに加速し、効率化だけでなく従業員のアウトプットの質の向上や組織の業務プロセスの変革を実現できる技術だと考えています。

 ある事業部の製造現場では、書面による顧客監査対応業務を1件あたり25時間から12時間に短縮し、年間で約1820時間の短縮が実現できる見込みです。このケースでは、単に対応業務を自動化しただけではなく、過去のデータの活用により品質が向上することも確認できました。

●Q. 自社のAI技術の強みは何か

 当社では、マテリアルズ・インフォマティクスなどの領域で早くから人材育成を進めており、IT技術により業務を改革できる人材が育っています。また、全社員を対象とした人材育成プログラム「旭化成DX オープンバッジ」を実施しており、現場から経営層までDXに対する意識が高く、迅速に課題解決に取り組むことができるのが強みです。

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