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「外国人嫌いの国は経済が停滞する」は本当か いや、日本には当てはまらないシンプルな理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月8日 6時10分

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「外国人嫌いの国は経済が停滞」は本当か、いや……

 「どうして中国は経済的にこれほどひどく停滞しているのか。どうして日本は大変な思いをしているのか。ロシアはどうして? インドはどうして? この国々は、外国人を嫌っているからです。移民に来てほしくないから」

 5月1日、こんな感じで米国のバイデン大統領から「外国人嫌い」(xenophobia:ゼノフォビア)の国として名指しでディスられたことで、愛国心あふれる人々がブチギレている。

 ご存じのように、日本のテレビは「日本の◯◯は世界一」「今度生まれ変わったら日本人になりたい」という感じの“親日外国人”が大好きだ。ニュースでも基本的には「米国人が大谷翔平の活躍に熱狂」とか「岸田首相がホワイトハウスで爆笑をかっさらって人気者に」みたいに「日本スゴい報道」がメインとなっている。つまり、「外国人に自国の悪口を言われる」ことへの耐性があまりない。

 それに加えて、日本人の多くが「人権のない国」と“下”に見ているロシア、中国と同一視されたことで、「西側諸国の一員」「米国の盟友」というプライドまでズタズタに傷つけられた。そのため売り言葉に買い言葉ではないが、「移民で治安と雇用がボロボロの国に言われたかねーよ」「裏で陰湿な人種差別をしている白人至上主義のくせに」と反米感情につながってしまっている人もいるのだ。

 さて、そういうナショナリズム的論争はさておき、ビジネスパーソンの皆さんが気になるのは、バイデン大統領が主張している「ゼノフォビア(外国人嫌い)の国は経済が停滞」しているのは本当なのか、ということではないか。

 確かに「移民排斥」が問題になっている西側諸国では、インテリ知識層がバイデン氏と同じことを盛んに主張している。例えば分かりやすいのは、『ロイター通信』が2023年5月8日に報じた「アングル:移民に厳しいイタリア、高学歴スキル認めず低成長に拍車」という記事だ。

●「外国人嫌いの国は経済が停滞」は本当か

 この記事では「イタリアが移民の受け入れに後ろ向きで、彼らの自由や権利を制限するような法律もあるため、多くの移民が単純労働しかできず、それが結果としてイタリア経済を冷え込ませている」と指摘している。

 ただ、イタリアが抱える問題が、全ての国に当てはまるわけではない。世界には移民に優しくなればなるほど経済が停滞していく国もあるからだ。

 その代表が他でもない日本である。

 実は日本は「移民」に後ろ向きどころか、政官民一体で「じゃんじゃん来てください」と歓迎している。そんな「外国人好き」のイメージが国内外に広まっていないのかというと、日本のお家芸である「言い換え」だ。日本に移り住んで働く外国人を全て「外国人労働者」と呼ぶことで、「日本は移民政策をやってません」と言い張っている。ただ、国際的な基準でみれば、日本の外国人労働者はまぎれもない「労働型移民」なのだ。

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