あのキャラの声、AIで勝手に再現「無断AIカバー」氾濫 声優と弁護士に聞く「声の守り方」と未来
ITmedia NEWS / 2024年5月10日 17時24分
TikTokなどにはファンが作ったとみられる「無断AIカバー」が氾濫している
人気声優や歌手の声を無断で使った「AIカバー」が急増している。
AIカバーとは、生成AIで作った声で、既存の楽曲を歌わせたり、有名なセリフを言わせるなどした作品のことだ。
自分の声やフリーの声素材、著作権フリーの楽曲などで作るのならば問題はない。関係者を悩ませているのは、声優や歌手などの声を勝手に使った“無断AIカバー”だ。
人気歌手や声優の声を無断でAIに学習させ、無関係な歌を歌わせたり、セリフを言わせたりする無断AIカバーは、アニメファンなどが好きなキャラの声で勝手に制作し、動画SNSなどで人気を集めている。
声そのものが商品である声優にとって、無断AIカバーが作られるのは深刻な問題だ。「早急に何とかしたいと思っているのですが……」。声優の甲斐田裕子さん(アニメ業界の立て直し・発展を目指す有志団体「日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)」理事)は、対策の難しさに頭を抱える。
声を守ることに特化した法律がないことや、作品の関係者が多岐にわたること、関係者の間でも意見が割れていることなどが、問題を複雑にしている。
声優が自らの声でAI音声を作り、新たなビジネスを開拓しようという動きもあるが、“無断AIカバー”が足を引っ張りかねない状況だ。
●“本人そっくりな声”がAIで簡単に再現できる
AIカバーを実現しているのは、“本人そっくりのAI音声を再現するAIボイスチェンジャー技術”だ。2023年ごろから急速に普及した。
中国発とみられる「RVC」というツールが特に有名だ。数分程度の短い音声データがあれば、本人の声をリアルに再現できる。
AIボイスチェンジャーは、使い方次第では、新たな可能性を開くツールだ。自分の声を学習させ、いろいろなテキストを読ませて動画に合わせて公開したり、権利フリーの音声素材を使い、VTuberの音声として利用したりする、といった使い方をしている人も多い。
問題なのは、このツールに著名人や人気アニメキャラクターの音声を無断で学習させ、「あのキャラ(声優)の声を再現できるAIモデル」として販売する行為や、そういったモデルを使い、有名人やキャラクターに、無関係な歌を歌わせたり、セリフを言わせたりする行為がまん延しているという事実だ。
●声そのものを守るための法律がない
自身の声を無断でAIに学習され、自分が言ってもいないことを“再現”される――一般人が想像しても、気分の良いものではない。わいせつな言葉をしゃべらせたり、「オレオレ詐欺」など犯罪に悪用される懸念もある。
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