[安倍宏行]【報ステ「古賀・古館論争」が教えること】~コメンテーターの在り方、議論を~
Japan In-depth / 2015年3月30日 23時45分
27日(金)のテレビ朝日「報道ステーション」の生放送中に、コメンテーターの元経済産業省官僚の古賀茂明氏が、自らが番組を降板することになった経緯について主張し始め、それを制しようとした古舘伊知郎キャスターと論争になった。筆者はアメリカにいて生放送を見ていないが、やり取りとその後のニコ生での古賀氏の発言などを見た。
だまし討ちにあったテレビ朝日には同情するが、古賀氏を報道番組のコメンテーターとして出演を依頼していた時点でこうなることは容易に予想できたはずで、そういう意味では自業自得な気もする。そもそも帯の番組(毎週月~金、同じ時間に放送される番組)のコメンテーターはどのようにして選ばれるのかというと、一般的には、番組スタッフから候補者が何人か挙げられ、プロデューサーがそれを絞り、報道局幹部と相談の上最終決定するというのが通常の流れだろう。
つまり番組が勝手にコメンテーターを選ぶということはまず、ない。つまり古賀氏はかなりきわどい政権批判をするけれど、そこは番組内でキャスターなり、他の出演者の発言でバランスを取ればいいだろう、とテレビ朝日は判断したのだと思う。古賀氏はコントロール可能だと思っていたふしがあるが、これはテレビ局にとってはかなり危険な賭けでもある。今回のようにシナリオ(台本)に無いような不規則発言がなされた場合、収拾がつかなくなる可能性が高いからだ。
実は小生も局のコメンテーター時代にちょっとしたスタジオの混乱の真っ只中にいた経験がある。FNN系列の朝の情報番組「とくダネ!」の2011年10月27日報道のTPPについてのコーナーで、TPP反対の急先鋒として知られる京都大学准教授・中野剛志氏(当時)が、生放送中に一方的にTPPのデメリットを話し続けた件だ。当時放送事故レベルとネット上で話題になっていたから覚えている人もあろう。
視聴者の皆さんは面白がっていただろうが、スタジオで中野氏は、解説中のアナウンサーに否定的な言葉を投げ付けたかと思うと、TPPが如何に日本の産業にとってマイナスか大声でまくしたて、果てはフリップやボールペンを机に放り投げるに至って、MCや他のコメンテーター、フロアのスタッフ全員が固まってしまった。
一方的な議論になるのは防ぎたいと思ったが、全面否定の意見をとうとうと述べている最中にそれを遮ったり全否定したりすると火に油を注ぐことになる。苦慮した末、論点を「TPPに参加するなら、日本に不利にならないように霞が関は十分に準備するべきだ」という方向に落ち着かせるべくコメントした、という経験がある。(中野氏はどちらにせよ日本はTPP参加することになるだろう、との立場だった)このように、議論が一方的なものにならないようにバランスを取るのが局のコメンテーターの役割だ。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
自民・鈴木馨祐議員が対応急変 官房機密費の選挙利用否定「断言」から「コメントしようがない」
日刊スポーツ / 2024年5月14日 9時44分
-
たとえかっこ悪くても… 西城秀樹さんから学んだ誰かの励みになれること 病と生きる フリーアナウンサー・笠井信輔さん②
産経ニュース / 2024年5月12日 7時1分
-
政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月6日 9時26分
-
三浦瑠麗「ゴリゴリの中退やろ」離婚報告の“謎フレーズ”にツッコミ殺到、遠のくテレビ復帰
週刊女性PRIME / 2024年4月27日 10時45分
-
ひろゆき氏とTAKAの「プロレス論争」かみ合わずに終結、「論点ずらし」「ストローマン論法」の指摘も
よろず~ニュース / 2024年4月23日 20時57分
ランキング
-
1スタバと一線を画す「ルノアール」。“特異なビジネスモデル”を確立も、業績が悪化するワケ
日刊SPA! / 2024年5月18日 8時53分
-
2上野飲食店経営者夫婦殺害、背景に首謀者への畏怖か 遺体処理から殺人も「断り切れない」
産経ニュース / 2024年5月19日 19時20分
-
3「明るい子の印象。悲しい」19歳の女子大学生が殺害された事件 知人「ショックと言うか何で…」 26歳男を逮捕「包丁で彼女を刺して殺した」
MBSニュース / 2024年5月19日 17時50分
-
4内閣支持率低迷26%、自民党の規正法改正対応「評価せず」79%…読売世論調査
読売新聞 / 2024年5月19日 22時0分
-
5「結婚後も女性皇族」賛成56% 「旧宮家男子を養子」拮抗 世論調査
毎日新聞 / 2024年5月19日 19時14分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください