米「テロとの戦い」の終焉
Japan In-depth / 2021年9月2日 16時0分
4、 中東への揺り戻し?
今回のカブール空港における混乱が象徴したのは、米軍の敗退というより、アフガニスタンの自己統治能力の欠如だった。残念ながら、あの国では全土を制御・統治できる政治的実体が生まれそうにない。逆に言えば、アフガニスタンを起点とする中東、中央アジアの不安定化がこれから始まる可能性もあるということだ。
米国の中東における関与はもう少し続くのではなかろうか。
〇アジア
最近北朝鮮が寧辺の核施設で原子炉を再稼働させた兆候があると、IAEA報告書が書いている。2018年のトランプ米政権との対話以降、中断していた核開発を再開した可能性があるとも報じられた。いずれ北朝鮮が「挑発」を再開するのは想定内だが、このままでは、北朝鮮は名実ともに核兵器保有国となってしまうのだが・・・。
〇欧州・ロシア
仏大統領が、アフガニスタンで人道支援を行うため、国連が管理する「安全地帯」をカブールに設置するよう求め、英仏独の3カ国で国連安保理に提案するという。間違いだとは言わないが、せっかく米軍を追い出した後に、タリバンがそんな提案に乗るだろうか。提案のための提案に終わらないと良いのだが。
〇中東
米中外相会談で中国側は、「各関係者がタリバンと接触し、積極的に指導すべきだ」、米軍の「拙速な撤収」により「アフガンを拠点とする各種テロ組織が復活する可能性がある」などと指摘したという。2001年の同時多発テロの際と同様、中国側は巧妙な対米外交を展開している。今回も米国務省が騙されないと良いのだが・・・。
〇南北アメリカ
米情報機関がまとめた新型コロナウイルス発生源に関する報告書の内容は予想通りに玉虫色だったが、それでも中国外交部報道官は、「発生源解明の看板を掲げ、アメリカ自身のコロナ対応失敗の責任を転嫁する報告、口実をでっち上げて中国に汚水をかける嘘偽りの報告だ」と反発したそうだ。さすが中国は相変わらずである。
〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは来週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:アフガニスタン人の赤ちゃんを抱く米海兵隊員 アフガニスタン・カブール ハミドカルザイ国際空港(2021年8月28日) 出典:Photo By: Marine Corps Staff Sgt. Victor Mancilla:US Department of Defese
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
バイデンVSトランプの米大統領選、異なる世界観と針路の選択 ミード氏詳報
産経ニュース / 2024年5月18日 17時41分
-
「テイラー・スウィフトのような『希望のアイコン』は次々と出現する」国際政治学の大家が喝破する“アメリカの楽観要因”
文春オンライン / 2024年5月16日 9時0分
-
日本人を襲う「トランプ2期目」に起こるヤバい事 日韓エリートが今密室で話していることは?
東洋経済オンライン / 2024年5月14日 11時0分
-
【手嶋龍一氏×佐藤優氏対談】「ネタニヤフ首相が降りても変わらない」イスラエルが持つ「全世界を敵に回しても戦い生き残る」という内在的論理
NEWSポストセブン / 2024年5月8日 10時59分
-
「越えてはならない一線」を明確に、バイデンがイスラエルの戦争拡大を防ぐためにやるべきこと
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月24日 15時8分
ランキング
-
1内閣支持率低迷26%、自民党の規正法改正対応「評価せず」79%…読売世論調査
読売新聞 / 2024年5月19日 22時0分
-
2上野飲食店経営者夫婦殺害、背景に首謀者への畏怖か 遺体処理から殺人も「断り切れない」
産経ニュース / 2024年5月19日 19時20分
-
3スタバと一線を画す「ルノアール」。“特異なビジネスモデル”を確立も、業績が悪化するワケ
日刊SPA! / 2024年5月18日 8時53分
-
4「結婚後も女性皇族」賛成56% 「旧宮家男子を養子」拮抗 世論調査
毎日新聞 / 2024年5月19日 19時14分
-
5「明るい子の印象。悲しい」19歳の女子大学生が殺害された事件 知人「ショックと言うか何で…」 26歳男を逮捕「包丁で彼女を刺して殺した」
MBSニュース / 2024年5月19日 17時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください