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60ミリ迫撃砲の有用性 後編

Japan In-depth / 2021年9月5日 15時30分

60ミリ迫撃砲の有用性 後編




清谷信一(防衛ジャーナリスト)





「清谷信一の防衛問題の真相」





【まとめ】





・陸自普通科に120mm迫撃砲は不要、60mm及び81mmに資金集中させるべき。





・弾薬補給には全地形対応車(ATV)の活用を。特殊部隊、空挺部隊、水陸両用機動団に特に有用。





・迫撃砲のインテリジェンス化(精密誘導弾とネットワーク化)の導入は必要不可欠。





 





陸上自衛隊では特殊作戦群に続き、新たに編成される旅団サイズの新部隊、水陸両用機動団でもオーストリアのHDS(Hirtenberger Defence Systems)社の60ミリコマンドウ迫撃砲、M6C-640(以後M6)を導入している。





M6は重量6.4キロで全長840mm、射程は最短がチャージ0で280m、最大でチャージ3の2,360mである。発射速度は毎分30発である。射撃は射手がバレルを押さえて行う。照準は砲の基部に簡単だが昼夜兼用の簡易型の照準器が備えられており、これで行う。オプションで二脚も用意されているが、これは携行性を重視したためか、採用されなかった。二脚を使った方が、より安定性がよくなり、また連続した射撃が可能とはなるが、その分システムの重量が増加する。携行性を重視したコマンドウ迫撃砲としては正しい選択といえよう。









▲写真 ヒルテンバーガー社 60mmシステム 出典:Hirtenberger Defence Systems





陸自が採用した砲弾はHDS社の榴弾・発煙弾・照明弾(通常光と赤外線の2種)と訓練弾である。榴弾の重量は1.25キロ(炸薬205g)である。





M6と陸自の81mm迫撃砲、L16を比較してみよう。オリジナルはロイヤル・オードナンス(現BAEシステムズ)が開発し、米軍などでも採用されているが、我が国では豊和工業がライセンス生産している。重量は35.3kg、最大射程は5,650mで発射速度は毎分15発で、榴弾の重量は4.2kgである。





つまりM6の射程は、L16の半分に過ぎないが、重量は約18パーセントであり、如何に携行に向いているか理解できよう。更に砲弾だが例えば30発の榴弾を携行した場合、L16は126kgに対して、M6は37.5kg、30パーセント弱に過ぎない。射程や威力は劣るが、歩兵の携行に有利で、徒歩部隊でも多くの弾薬を運べる。このため小部隊の火力支援としては極めて有用だということが分かるだろう。





特殊部隊は勿論だが水陸両用部隊もAAV7装甲車で上陸した後は下車戦闘が基本である(AAV7はビーチと母船を往復する艀のようなものである)。また揚陸艦からヘリ、あるいはオスプレイによるヘリボーン作戦も想定されており、これらでも水陸両用機動団の普通科部隊は単なる歩兵として戦闘を行うことになる。つまり基本的には装備はすべて自分たちで担いで移動するということだ。





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