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60ミリ迫撃砲の有用性 後編

Japan In-depth / 2021年9月5日 15時30分

筆者は普通科に120mm迫撃砲は不要だと考えている。陸自の普通科は人員が少なく、特に兵站能力が低い、120mm迫撃砲を運用し、また前線で弾薬の供給を支えることは極めて困難だ。率直に申し上げて無理である。まして防衛大綱では大規模な着上陸作戦は想定しづらく、主たる脅威は島嶼防衛と、本土のゲリラ・コマンドウ対処である。





であれば120mm迫撃砲の必要性は薄い。むしろ、資源を60mm及び81mm迫撃砲に集中すべきだろう。先進的でネットワーク化された照準、射撃管制システムの導入、精密誘導砲弾の導入と、レーザーデジネーターなど、その誘導手段(これは水陸両用機動団には導入される予定だが、普通科全体ではその計画は現時点ではないようだ)の導入、迫撃砲の自走化、装甲化だ。





81mm迫撃砲は、ソフトスキンのトラックでの運用が殆どだ。このため敵の対迫攻撃に極めて脆弱である。英海兵隊では二連結型の装甲車、バイキングを81mm迫撃砲のプラットフォームとして使用しているが、多くの国々では主力装甲車の派生型として81mm迫撃砲を車載及び、下車して運用する自走装甲迫撃砲を採用している。陸自でも機動力と生存製のために81mm迫撃砲の自走化、装甲化を進めるべきだ。









▲写真 HDS社の迫撃砲弾 左から60ミリ、81ミリ、120ミリ 出典:HDS





120mm迫撃砲の運用はむしろ特科に移すべきだ。諸外国では120mm迫撃砲を砲兵が運用するケースは少なくない。実際に陸自でも第一空挺団では120mm迫撃砲は特科の扱いとなっている。その上で数を減らしてこれまた自走化、装甲化、ネットワーク化、精密誘導弾の導入などを行うべきである。そして必要に応じて普通科部隊に派遣すれば宜しい。





普通科は浮いた予算で、60mmおよび81mm迫撃砲の充実した運用に投資すべきだ。個々の迫撃砲や火砲の個別最適化を計るのではなく、火砲全体のポートフォリオ、また脆弱な分隊、小隊レベルの火力の向上、さらには火砲のネットワーク化、情報化という観点で有限な予算有効に使うべきである。





特にゲリラ・コマンドウ対処を重点に置くのであれば、副次被害を極小化するために迫撃砲のインテリジェンス化、即ち精密誘導弾とネットワーク化の導入は必要不可欠だ。中進国や中国ですら既に迫撃砲のインテリジェンス化を進めているのに、自衛隊は未だに紙の地図と音声電話によって射撃諸元を伝達している。本来ならば諸外国に比べ、人口の7割が都市部に集中し、また原発をテロから守る必要があるという我が国固有の環境を鑑みれば、真っ先に迫撃砲のインテリジェンス化を行うべきである。ところが諸外国に大きく遅れをとっている。この現実を深刻に受け止めるべきである。





(前編はこちら)





トップ写真:81mm迫撃砲 出典:陸上自衛隊第36普通科連隊ホームページ




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