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この夏、一番「?」だった映画   日本と世界の夏休み その7

Japan In-depth / 2023年8月31日 23時0分

「今の社会は生きづらいかも知れないけど、幸せになる道はきっとある」


「幸せなるための早道とは、誰かを幸せにしてあげること」


 そして主人公一家が「頑張れ!」とエールを送って大団円となる。


 ……こう述べると、いかにもありがちなアニメのラストシーンと思われがちだが、この設定にひっかかった、という人が多い。それでプチ炎上状態なのだ。


 前にも本連載で少し触れたことがあるが、主人公の父・野原ひろしは35歳にして埼玉県春日部市に一戸建てを所有し、妻(母・野原みさえ)は専業主婦。しんちゃんと妹ひまわりの二人子供がいて、自家用車もあればペットの犬もいる。


 そのような父が、わずかに若いとは言え同じ30代の恵まれない青年を励ましても、


「マイホームに住む勝ち組に言われてもなあ……」


 としか受け取られない、というのだ。実際、ある映画評サイトでは、この設定とエンディングは「気持ち悪い」とまで書かれていた。


 日本社会の「地盤沈下」は、いよいよ深刻だな、と思わざるを得なかった。


 この漫画が『週刊漫画アクション』で連載が始まったのは1990年。バブルが崩壊する直前のことであった。当時は30代のノン・エリートでも、頑張れば一戸建てを手に入れることができたのである。私の知人もこの頃、30代で神奈川県下に一戸建てを購入している。


 そもそも論から言うと、この漫画の野原家は、ごく平凡な中流家庭と描かれていたはずで、近所の人達の暮らし向きにも「格差」は見られない。5歳になる長男の言動は、確かに常軌を逸したものだが、背景には家族の絆とか、幼稚園児なりの友情がちゃんと描かれていた。


 どう考えても非正規雇用の若者に「上から目線」でエールを送る人たちではないはずだ。


その野原家がこのように描かれ、評されるとは、まさしく末法の世ではあるまいか。



出典)株式会社アドレナライズ


トップ写真:第68回カンヌ国際映画祭に出席した夏帆、綾瀬はるか、広瀬すず、長澤まさみ、是枝裕和(本記事とは直接関係はありません)


出典:Stephane Cardinale - Corbis/Getty Images


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