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体制危機に直面した金正恩、金日成の「一つのコリア」路線を放棄

Japan In-depth / 2024年3月4日 23時0分

そうしたことから、いま北朝鮮住民は、金正日を称える「金正日将軍の歌」にも「錦繍江山三千里」が入っており、金正恩を称える「金正恩将軍の歌」にも「白頭山大国の三千里」との歌詞が入っているので、この歌までも禁止されるのかと事態の推移を見守っている。





◾️「統一」用語は全面削除・禁止





同じ民族同じ国土を表す表現だけでなくそれを目指す「統一」に関する全ての用語も消し去られ約100曲にもなる「統一に関する歌」も禁止曲となった。





この事態に一部北朝鮮住民は「口を開ければ核武力を誇りながら、何が怖くて禁止することがそんなに多いのか」と不満を漏らし、「一つの民族や統一の歌を禁止したからといって数千年の間続いたわが民族が他民族になれるのか」と呆れているという。





また平壌地下鉄で「統一駅」との名称の駅があったが、この駅名からも「統一」の文字が消され、ただの「駅」として表示されていることもわかった、平壌に駐在するロシア大使館は2月20日、北朝鮮外務省主催のツアーで、地下鉄である千里馬(チョンリマ)線の復興(プフン)駅から大使館近くの烽火(ポンファ)駅まで地下鉄に乗車したところ、「統一駅」が「駅」とだけ記されていたとFacebookで明らかにした。





そればかりか、恵山(ヘサン)―三池渕(サムジヨン)道路の恵山市ヨンプン洞とファジョン里の間の区間には大きな岩があり、岩には赤い色で「祖国統一」、「金日成将軍万歳」というスローガン(口号)が刻まれていたが、この「スローガン岩」も破壊されたとのことだ。事情がわからない住民は、金日成の「スローガン岩」が破壊されたと大騒ぎしているという。





◾️崩壊の最終段階に入った金正恩体制





金正恩が、韓国を第一の敵国と定め、金日成、金正日の「平和統一路線」まで否定したことは、彼が執権後に進めた政治、経済、文化すべての政策が破綻したことを示すものである。軍事政権時代に韓国で「平和統一」を主張すれば「アカ」と言われ弾圧されたが、今やそれが逆転し、北朝鮮で「平和統一」を主張すれば「敵」として処罰されることになったのである。





彼に残るのは核ミサイルだけとなっているが、これすらもその誇張された実態が徐々に明らかになりつつある。そうした中で、米韓は核戦争を叫ぶ金正恩に対して、3月4日から「北朝鮮核脅威の無力化」に重点を置く合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」を開始した。この演習で野外機動訓練は昨年比で約2倍となる。









▲写真 米韓合同軍事演習「フリーダム・シールド2024」に備えた統合指揮所の建設について海兵隊員に話す第1海兵師団本部大隊本部中隊中隊長トッド・スターギル少佐(2024年2月25日 韓国・浦項)出典:U.S. Marine Corps photo by Staff Sgt. Amanda R. Taylor





この演習を前にして、金正恩は公開活動を中止している。韓国の存在自体を脅威とし「第一の敵」とした金正恩体制は、崩壊の最終段階に入ったといっても過言ではないだろう。 





以上





トップ写真:北朝鮮・金正恩総書記(2023年9月13日 ロシア)出典:Photo by Contributor/Getty Images




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