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ODA70周年を機に対中供与の大失態の反省を その3 日本の援助が軍事費財源に

Japan In-depth / 2024年3月28日 19時0分

ところがその対象地域に中国全土でも有数の軍事工場が存在するという。援助と軍事の関連にそれまで考えを致さなかったため「戦闘機」という言葉にぎくりとしたわけだった。





その後、貴州省は伝統的に全土でも主要な軍事産業の拠点となってきたことを知った。1960年代に毛沢東主席がソ連の核攻撃に備えて兵器工場の多くを内陸部深くに移した重点地域であり、軍事産業施設が以来、数多く存在するのだという。





兵器工場だけでなく、省内東南部の軍用電子機器工場群は中国最高のレベルだし、貴陽市内にある中国最大のアルミニウム工場や貴陽製鉄所は兵器資材の生産で軍事に貢献してきたとも聞いた。





日本政府は貴州省にそれまでに約700億円の援助を供与してきた。鉄道、道路、電話網など、ほとんどが経済インフラの建設だった。私の訪問の時点でまた新たに貴陽市に環境保護の名目で70億円を投入していた。





使途をいくら限定してもこの種のインフラ建設が同じ地域の軍事産業の効率をあげることは自明であろう。現に特殊鋼の軍事使用で知られた貴陽製鉄所には、排出ガスの硫黄を除去する脱硫装置などの新設のため日本の援助10億円が贈られていることがわかった。





だから今回の援助も軍事産業地区での上下水道改善や大気汚染防止のプロジェクトだったのだ。その種の環境保護の事業が住民の生活を助けることは当然だろうが、あわせて地区全体の軍事産業にも貢献するわけだ。





中国側としては本来、軍事産業の円滑な運営のために支出しなければならなかった環境保護の費用を日本からのODAでまかなうことができるわけである。この仕組みも広い意味で「軍事費増加への財源」の供与だといえよう。









▲写真 「ODA幻想 対中国政策の大失態」著:古森義久(海竜社)出典:amazon





(その4につづく。その1、その2)




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