世界銀行、2023/2024年度のインドの経済成長率予測を7.5%に上方修正(インド、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月15日 0時5分
世界銀行は4月2日、インドの2023/2024年度(2023年4月~2024年3月)の経済成長率を7.5%と予測する「南アジア経済報告」を発表した。2023年10月の前回予測を1.2ポイント上方修正したかたちだ(2023年10月13日記事参照)。他方、2024/2025年度の成長率は6.6%に減速すると予測している。
2024/2025年度の経済減速傾向の主因について、前年度に拡大した投資の減速が予測されるため、と説明している。同時期に世界銀行が発表した「マクロ貧困見通し」では、新型コロナ禍後の回復が一段落することや、2024年6月まで続く総選挙期間は経済活動全体、特に設備投資が落ち着く点などを挙げている。中期的な見通しは明るく、過去の公共投資が民間設備投資を呼び込み、民間消費支出も農業の回復やインフレの減速によって成長が見込まれるとした。
なお、南アジア地域(注)全体については、2024年(暦年)の経済成長を6.0%、2025年は6.1%と予測する。インドの牽引により、同地域は今後2年間において全世界で最も急速な経済成長が見込まれる一方、構造的な課題により、持続的な経済成長や域内での雇用創出、気候変動への対応が不足する可能性があると指摘した。
世界銀行のマーティン・レイザー南アジア地域担当副総裁は「より強靭(きょうじん)な経済成長に向けて、民間投資や雇用の拡大を生み出す政策運営が必要」とし、フランチェスカ・オンソージ南アジア地域担当チーフエコノミストは「現在、南アジア地域は、人口ボーナスを十分に活用できていない。同地域が他の新興市場に比べてより多くの労働人口を雇用することができれば、同地域の経済成長率は16ポイント上昇する」とコメントした。
その他の南西アジア地域主要国の経済見通しは、次のとおり。
バングラデシュの2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)の経済成長率については、5.7%と前回予測から0.1ポイント引き下げ、高インフレや貿易規制、為替安の影響を見込む。
スリランカの2024年(暦年)の経済成長は前回予測を0.5ポイント引き上げる2.2%まで改善され、外貨準備高、海外送金、観光産業の各分野において堅調な回復が見込まれるとした。
パキスタンの2024年/2025年度(2024年7月~2025年6月)の経済成長率は前回予測を0.1ポイント引き下げ2.3%と予測し、2022年/2023年度から続く経済危機の影響を受けながらも、ビジネスにおける信頼度は徐々に改善しているとした。
(注)インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブの7カ国。
(深津佑野)
(インド、バングラデシュ、スリランカ、パキスタン)
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