ムーレナー米下院議員、中国特別委員長に就任、優先課題5分野を指定(米国、中国、台湾)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月30日 14時45分
米国連邦議会下院のジョン・ムーレナー議員(共和党、ミシガン州)は4月29日、「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委)」の委員長就任に当たって声明を発表するとともに、優先課題5分野を指定した。委員長の交代は3月に発表されていた(2024年3月26日記事参照)。
委員長就任に当たっての声明では、これまで国内外を渡航して中国共産党が絶え間なく米国の価値観や主権を損なおうとする試みを目の当たりにしてきたとし、その具体例として、動画共有アプリTikTokの普及や中国企業による米国農地の買収、中国政府による米国内での秘密警察拠点の設置などを挙げた。これらに対抗するため、中国特別委は今後も超党派で結束し、マイク・ギャラガー前委員長(共和党、ウィスコンシン州、注1)の功績を踏まえて、次のことに注力していくとした。
中国共産党による、台湾やインド太平洋の同盟国への軍事的威圧行為を抑止する。
中国共産党が米国の中で、われわれの技術を盗み取り、ビジネスを吸い取り、人々に嫌がらせをすることを防止する。
中国共産党への依存を低減させるため、われわれのサプライチェーンの最も重要な分野を検証する。
世界中の同盟国との関与と連携の促進を継続する。
ムーレナー氏は同日、これらをより具体化した「米国が無視できない中国による5つの脅威」と題した論考をフォックス・ニュースに寄稿した。要旨は次のとおり。
1. 台湾や米国の同盟国を守る:台湾の軍隊の訓練プログラム拡大や、台湾防衛のための武器供与に当たっての障壁を撤廃する。
2. 中国共産党が米国内にフェンタニルをまん延させることを止める:フェンタニルを製造する中国企業や、それを可能にする中国政府高官に最大限の圧力をかけていく。
3. 中国共産党が世界経済の重要な部分を支配することを防止する:特に電気自動車(EV)とレアアース資源のサプライチェーンで、世界は中国に依存している。米国でも中国のバッテリー製造大手の寧徳時代新能源科技(CATL)に依存せざるを得ない状況が生まれている(2023年9月28日記事参照)。
4. 米国内での中国共産党による悪意ある影響力に対抗する:例えば、私の選出州のミシガンには、中国共産党に忠誠を誓ったゴーション(注2)が工場を建設しようとしている。これら施設は米国の中国製技術への依存を高め、ほかの不正な行為に利用され得る。
5. 中国共産党によるプロパガンダに抵抗する:中国共産党は米国の政治家、実業家、今や若年層にも影響を及ぼそうとしている。特にTikTokを通じて若年層の世論操作を試みている(注3)。
ムーレナー氏は最後に「私のリーダーシップの下で中国特別委は超党派で、中国共産党による米国や同盟国に対する軍事、経済、イデオロギーの観点からの威圧行為について責任を追及していく。これはわれわれが勝たなければならない競争だ」とした。
(注1)ギャラガー氏は4月24日に議員を辞職した。
(注2)中国の大手電気自動車(EV)用バッテリー開発製造の国軒高科(ゴーションハイテク)の米国子会社。
(注3)米国では4月24日にTikTokも規制対象とした「外国敵対勢力が管理するアプリから米国人を保護する法」が成立している(2024年4月25日記事参照)。
(磯部真一)
(米国、中国、台湾)
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