ATA条約、2020年に署名済みも未発効(フィリピン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月28日 1時40分
フィリピン貿易産業省(DTI)が2020年に署名済みと発表していたATA条約(物品の一時輸入のための通関手帳に関する条約)が現在も発効していないことがフィリピン税関への問い合わせで分かった(2024年3月7日にジェトロが電話で確認)。ATA条約は、2020年6月23日にロドリゴ・ドゥテルテ大統領(当時)が署名している。この条約を締結した場合には、日本を含む締結国間で物品の一時輸入のための通関手帳(ATAカルネ)を提示することで、取材用カメラなどの職業用具や展示用品、商品見本が一時的に輸入可能で、一般の輸出入手続きの簡略化、輸入税免税扱いなどが可能となるとされていた(2020年7月31日記事参照)。
ATAカルネは、ATA条約に加盟しており、カルネ発行と輸入関連諸税の支払いを保証する保証団体がある国のみで利用できることになっており、日本の場合は日本商事仲裁協会(JCAA)が発行・保証団体となっている。フィリピンでは、税関が2022年4月11日にフィリピン商工会議所(PCCI)を ATAカルネの発行・保証団体として指名しており、関税行政令(Customs Administrative Order:CAO)第02-2022号(注)によって同年4月17日に発効とされていたが、同年5月12日付で税関が発行したOCOM Memo第65-2022号によって承認待ちであることが発表されていた。
フィリピンでPCCIが発行・保証団体となるには、ATAカルネの国際運用組織である国際商工会議所(ICC)がPCCIをATAカルネ保証チェーンとして認可する必要がある。ジェトロがPCCIに3月18日に電話で確認したところによると、PCCIは既に必要な手続きを終えており、ICCにより認可されたことが発表されている(ICCプレスリリース2023年12月15日)。
(注)同条約に関する関税行政令としては、CAO第01-2023号が最新。
(西岡絵里奈、アセンシオ・アシュレイモイラ)
(フィリピン)
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