ファミコンの性能って、スマホと比較するとどれくらい? 初代DQ「カニ歩き」の理由も分かる
マグミクス / 2023年2月21日 20時20分
■「たったそれだけ?」の容量で、何十時間も遊べるゲームが作られた
1983年に発売され、2023年で40周年を迎える「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」。日本中を夢中にしたゲーム機ですが、そのスペックはどれほどのものだったのでしょうか? 現代のゲーム機・スマートフォンと比較しながら、当時のゲーム開発における数々の工夫もご紹介します。
●現代のゲーム機と比べると2000倍近くの差が
1983年に発売された家庭用ゲームとして、ファミコンは圧倒的な高性能でした。当時、ファミコンに採用されていたのは、リコー製の「2A03」というCPUです。『スーパーマリオブラザーズ』『ドンキーコング』などは、アーケードゲームと比較してもそん色ないレベルでプレイすることができました。
その性能の指標のひとつであるCPUのクロック数は、1.79メガヘルツでした。これを現代のゲーム機と比較してみると……「PlayStation 5」のCPUは3.5ギガヘルツ。また、iPhone14に搭載されているCPUは3.23ギガヘルツ。単純にこの数値だけを比較してみると、ざっくり2000倍近くもの差があるのです。
当然ながら、ソフトの容量にも大変な違いがあります。ファミコンで最大の容量を持ったソフトは、1991年発売の『メタルスレイダーグローリー』。製作期間は4年以上という大作で、容量はファミコン唯一の1メガバイト(8メガビット)を誇ります。
しかし、現代人からすると「それだけ?」というレベルの容量です。たとえば、スマートフォンで撮影された写真の容量は、たった1枚で1~4メガバイト。ファミコン最大の『メタルスレイダーグローリー』でさえ、写真1枚の数分の1のサイズしかありません。もっと言えば、ファミコン初期に発売された『スーパーマリオブラザーズ』の容量は40キロバイト。写真1枚の数十分の1です。
これほど少ない容量のなかで、何時間も遊べるアクションゲームや、重厚なRPGを作っていたとは驚きです。しかしながら、当時のゲーム開発では、限られた容量で面白さを追求するため、数々の工夫が凝らされていました。
■ファミコンソフト開発は容量との戦い
子供たちが夢中になった、使い古されたファミコン(マグミクス編集部撮影)
●『ドラゴンクエスト』も容量に悩まされながら開発
たとえば、初代『ドラゴンクエスト』(容量:64キロバイト)の場合、キャラクターは常に前を向いた状態で描画されていました。「カニ歩き」と呼ばれることもありましたが、容量節約のためには仕方のない仕様だったのです。
さらには、シナリオライターである堀井雄二氏は、ゲーム中で使うカタカナは「20文字」に絞り込んだといいます。「ダースドラゴン」も、本来は「ダークドラゴン」にしたかったものの、使えるカタカナリストに「ク」が入っていなかったため、この名前になったことが知られています。
しかしながら、モンスター・呪文・都市の名前など、制約があるなかで独特のクセがあるネーミングを生み出したのは、驚異的なセンスだと言えます。
●『FF』で「飛空艇8倍速」を実現した天才プログラマー
容量という壁を、天才的な能力で切り抜けた人物も存在します。「ファイナルファンタジー」シリーズに参加した、ナーシャ・ジベリ氏です。彼は、イランの王族出身でありながら、スクウェアに入社したという異色の経歴の持ち主。天才プログラマーとして数々の逸話を持ちます。
有名なエピソードとして、初代『ファイナルファンタジー』(容量:256キロバイト)の開発時に、彼は「飛空艇に影をつける」という仕事を行いました。当然、容量に頭を悩ませられる時代だったため、周囲の人物は無理だろうと思っていたものの……翌日、彼は飛空艇に影をつけただけでなく、おまけに「4倍速移動」まで実現させ、周囲を驚愕させたといいます。
さらに『FFII』、『FFIII』では、飛空艇の8倍速を実現。当時彼の同僚だった梶谷眞一郎氏は、インタビューで「飛空艇の高速移動が実はバグ」だということを話しています。ファミコンの本来の性能を超えたスピードを実現していたのです。
ハード性能が数百倍、数千倍となった現代でも、レトロゲームの魅力に取りつかれた人はたくさんいます。もちろん、「思い出補正」があってのことかもしれませんが……性能の限界と戦いながら、工夫を凝らしていたからこそ、いまプレイしても楽しいゲームが生み出されたのかもしれません。
※本文を一部修正しました(2月21日21時52分)
(古永家啓輔)
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