昭和のマンガ、アニメラストで描かれた全員死亡展開 「史上最悪」「大ショック」
マグミクス / 2024年4月12日 7時10分
■ショッキングすぎる最終話に生死不明のモヤモヤ展開
昭和の時代には、数々の名作といわれるマンガやアニメ、アニメ映画が輩出されました。やはり、どの時代でも大切なのは「結末」であり、いかに読者や視聴者を納得させられるラストを描くかがポイントになります。
ラストという観点で昭和作品を思い返すと、誰も報われない「全員死亡展開」というのも、よくある演出でした。今回は、昭和のマンガやTVアニメ、アニメ映画で、ラストに主要キャラが全滅した作品を振り返りましょう。
●マンガ『デビルマン』
昭和のマンガ作品のなかでも、かなり破滅的なラストだったのは、永井豪先生が手がけた『デビルマン』ではないでしょうか。
同作は「週刊少年マガジン」にて1972年から連載された永井先生の代表作のひとつで、人間でありながら悪魔の力を得た主人公の不動明が、敵であるデーモンと戦いを繰り広げられるダークファンタジー作品です。
明は彼が思いを寄せる牧村美樹の家に居候していたのですが、最終話ではお世話になった牧村夫婦たちや美樹までもが惨殺されます。しかもデーモンによって殺されたのではなく、親友である飛鳥了(正体はサタン)の裏切りにより、牧村家はデーモンの一味と勘違いされ、人間たちの手によって「悪魔狩り」が実施されるのでした。
牧村家の最期はどれも無惨で、夫妻は拷問の末に死亡し、息子は首を切断され、さらに明が愛していた美樹も生首にされます。そんな悲惨の状況に絶望した明は、「悪魔になったんだぞ!」「これが! これが! おれが身をすててまもろうとした人間の正体か!」と叫びました。デビルマンとなってデーモンから人を守り続けた明を不幸に陥れたのは、彼が守ろうとした人間だったのです。
そして、人類は悪魔の恐怖によって自滅し、明はサタンと20年に及んで戦い続けましたが、最後には彼も下半身を失った状態で絶命するのでした。あまりにも報われない結末に、「マンガ史上最悪のバッドエンド」「人間という存在が悪であることがよくわかる作品」と語り継がれる伝説の作品となります。
●アニメ『科学忍者隊ガッチャマンF(ファイター)』
昭和にヒットしたアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」シリーズは、『ガッチャマン』『ガッチャマンII』『ガッチャマンF』の3作が放送されました。
同シリーズの始まりは、地球征服を企む秘密結社「ギャラクター」の野望を阻止するべく、特殊部隊である「科学忍者隊ガッチャマン」たちが悪と戦うという物語です。そして、1979年から放送された3作目『ガッチャマンF』では倒したはずの悪党である総裁Xが、総裁Zに生まれ変わり、新生ギャラクターとして再び地球侵略を企てます。
そして、最終話の48話「永遠のガッチャマン」では、ガッチャマンたちはZの機械体内部へと侵入し、反物質惑星を操作するZの本体を破壊すべくその中枢部を目指します。反物質惑星は地球に向かっており、一刻も早く衝突を防ぐ必要がありました。
そしてガッチャマンの5人はボロボロになりながらも立ち向かい、最後に主人公である鷲尾健が武器の「ガッチャマンフェンサー」でZの本体を破壊し、その後に力尽きて倒れてしまいます。この時点で5人は、瀕死の状態で倒れ込んでいました。
健のおかげで反物質惑星の動きが止まり、Zの機械体が爆発していくなか、健のペンダントが大きな光となり、5人を包み込んだのちに巨大な不死鳥の形となって機械体内から脱出するのです。
このまま地球に帰還してハッピーエンドかと思いきや、地球にいる司令官のひとりが空を見上げながら「ガッチャマンは死んでしまったのでしょうか」「ガッチャマンを殺したのは我々だ」と発言し、彼らが全滅したかのように振る舞います。しかし、技師長である鴨三郎が「きっと生きています」「必ず生きて帰ってきます」と言葉を返し、そのまま『ガッチャマンF』は幕を閉じました。
生死不明の状態のまま話が終わってしまったことを覚えている当時の視聴者は多いようで、ネット上には「ずっと見てきたヒーローたちが全滅したことがショックで、いまだに最終話は忘れられない」「南部博士も死ぬし、子供にとってFは衝撃的なアニメだった」などの声が出ています。
■悲しいラストを受け止めたのに、2か月後には「なかったこと」に?
●アニメ映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』4Kリマスター ポスタービジュアル
昭和のアニメ映画の名作で、大ヒットした作品として外せないのは、アニメ映画初の観客動員数400万人を記録した『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』ではないでしょうか。
「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの映画1作目『宇宙戦艦ヤマト 劇場版』の続編である同作のあらすじは、ガミラス帝国との戦いから1年後、主人公の古代進などの元ヤマト戦士たちが、未知の惑星からの救難メッセージによって海底ドッグに眠るヤマトに再び乗り込むという内容です。
そして、新たな敵「白色彗星帝国」が地球を狙っていることが判明し、そこから戦うことになるのですが、強敵相手に主要キャラ、さらにヒロインの森雪も死んでしまいます。最終的に古代は、ほかの乗組員を退艦させ、遺体の森雪とともにヤマトに残り、標的である巨大戦艦に特攻を仕かけるのでした。
また、その後に「ヤマトを愛して下さった皆さん…さようなら もう 二度と 姿を 現すことはありません でも きっと 永遠に 生きているでしょう あなたの胸に 心に 魂の中に」というテロップが登場し、観客の涙を誘いました。
多くのファンの心をつかんだ同作は長年支持され、2024年1月5日からは
3週間限定で『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 4Kリマスター』が公開されています。
ちなみに、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が公開された1978年8月の2か月後に、TVアニメシリーズ2作目となる『宇宙戦艦ヤマト2』の放送が始まりましたが、映画で死んでいったキャラたちが普通に登場したことから、一部のファンから不満の声があがったそうです。確かに映画の結末を受け入れていた人にとっては、納得のいかない展開だったかもしれません。
(LUIS FIELD)
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