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「…ゲルググ?」ここにきて注目集まるMS「ディジェ」って? アムロもシャアも搭乗

マグミクス / 2024年5月8日 6時25分

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■放映当時はファンから非難されたこともある「ディジェ」

『機動戦士Zガンダム』に登場したMS(モビルスーツ)「MSK-008 ディジェ」は劇中にて、かつての主人公である「アムロ・レイ」の乗機として描かれました。ファンも多いといわれており、そのためなのか近年ではバリエーション機が多く登場しています。

 ディジェは、地上に残されたMS「RMS-099 リック・ディアス」をベースに、反地球連邦組織「カラバ」が独自に開発した機体です。後年の設定では、「ルオ商会」や「アナハイム・エレクトロニクス」のキャリフォルニア・ベース支社が開発に協力したといわれています。

 基本は「リック・ディアス」を地上戦用に改修した機体で、MS「ゲルググ」に似たフォルムは旧ジオン系の技術者が担当したからと設定されていました。汎用型MSを地上戦用に改修したという点では、「MS-06 ザク」と「MS-07 グフ」の関係に近いのかもしれません。

 高性能ゆえにピーキーで扱いが難しいといわれており、アムロをはじめとしたエースパイロットにのみ配備されました。そのため、生産は少数にとどまったそうです。しかし、後述する後年の描写から考えると、ほとんどの機体が撃破されることなく残っていたと推測できるかもしれません。

 このディジェはTV版アニメ放送当時、かなり話題になっていました。その理由は、アムロの乗る新型機がゲルググ似のMSだったからです。やはり、ファンとしてはアムロが乗るMSは「ガンダム」タイプを期待していたのでしょう。現代なら間違いなくそうなっていたかもしれません。

 これに関しては諸説あり、おそらく富野由悠季総監督としてはアムロをガンダムに乗せたくなかったからなのでしょう。当時の富野総監督のシノプシスには、アムロが死亡するという想定もされており、前作の主人公に過分な活躍はさせたくなかったと考えられます。

 アムロが活躍すれば、本来の主人公である「カミーユ・ビダン」の存在に影を落とすことは必然で、本編のようにアムロが地球から出ないという設定が、カミーユの活躍の邪魔にならなかったことになるわけです。また逆に、活躍の場が少ないこともあって、アムロは弱体化することなく描くことができたといえるでしょう。

 このディジェをデザインした藤田一己さんには当初、アムロが乗る予定のMSという話は伝わってなかったといわれています。おそらくリック・ディアスの発展型というオーダーだったのでしょう。それゆえにゲルググ似のデザインになったと推測できます。

 後にディジェがアムロ機と知った藤田さんはおどろいたそうで、当時のファンに対して謝罪に近い旨の発言をしていました。この後悔からか、後に雑誌『B-CLUB』(バンダイ)で短編マンガを描いた際、顔のデザインをガンダム風にアレンジしたディジェにアムロを乗せています。

 さらに「SE.DJ-1R ディジェSE-R」という「Z-MSV」に属するMSも、ガンダム風のアレンジがされていました。明確な設定はありませんが、ゲームなどでは本来のディジェ以上にアムロ搭乗機として登場することの多い機体です。

 逆に本来のジオン系デザインを生かしたアレンジをしたのが、『コミックボンボン』(講談社)で連載された近藤和久先生のコミカライズマンガ『機動戦士Zガンダム』に登場した「MS-110 チャイカ」でした。こちらでは多少デザインをアレンジして、ジオン軍残党組織「アクシズ」の量産型MSとして「AMX-003 ガザC」に代わって登場しています。

■アムロだけでなくシャアも乗ったディジェが結ぶ奇妙な縁

「ゲルググ」のDNA「ビーム・ナギナタ」装備。「ROBOT魂(Ka signature) 〈SIDE MS〉 アムロ・レイ専用ディジェ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 こういった逸話があるディジェは近年、特にクローズアップされる機会に恵まれています。劇場用アニメ『機動戦士ガンダムNT』では、「ルオ商会」に雇われた主人公の「ヨナ・バシュタ」が乗るディジェが登場しました。

 またマンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』(著:Ark Performance/メカニックデザイン:大河原邦男/原作:富野由悠季/原案:矢立肇)では、「シャア・アズナブル」の乗る「MSK-008 シャア専用ディジェ」が登場しています。資金不足だった初期の「ネオ・ジオン」に、スポンサーから寄付されたという設定でした。

 これを改良したのが「MSK-008S ディジェ・トラバーシア」です。「MSN-03 ヤクト・ドーガ」のパーツを流用したテスト機で、ファンネルも使用できる高性能機となりました。

 ちなみに小説版『機動戦士Zガンダム』(著:富野由悠季/KADOKAWA)では、一時的にシャアはディジェに乗ったことがあり、そういう意味ではリック・ディアスと同じく、アムロとシャアのふたりが乗ったことのある珍しい機体といえます。

 これと同時期を舞台としたマンガ『機動戦士ムーンガンダム』(ストーリー:福井晴敏/マンガ:虎哉孝征/メカニックデザイン:形部一平/原案:矢立肇、富野由悠季/KADOKAWA)では、アムロがふたたびディジェに乗っていました。「MSK-008 リック・ディジェ」です。その名の通り、宇宙用に改修された機体で、後にさらなる改修を経て「MSK-008 リック・ディジェ改」となりました。アムロの能力を危険視した地球連邦軍上層部の判断により、ガンダムタイプの提供が見送られ、カラバ時代の機体の改修になったという設定です。

 これらに加えて昨今、さらに新しいディジェが生まれました。それが「アムロ・レイ専用ディジェ」です。

 BANDAI SPIRITSのアクションフィギュア「ROBOT魂 (Ka signature)」で設定され、プレミアムバンダイ限定で商品化されました。設定によるとカラバ時代に乗り込んでいたそうで、カラーリングは「MSZ-006A1 ΖプラスA1型」と同じ赤系と白のデモンストレーションカラーとなっています。

 これまで「RX-93 νガンダム」のようなアムロ専用機はあったものの、「アムロ専用」と名前が付いた量産型MSは初めてになるのではないでしょうか。TV版のディジェとの差別化とも思われます。今後も出てくる可能性があるかもしれません。

 奇しくも『機動戦士ガンダムZZ』と『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の間をつなぐミッシングリンクマンガで、アムロとシャアが改良機に搭乗している姿を描かれたMSディジェ。ふたり共に代用機ではありますが、奇妙な縁に感じざるを得ません。

 むしろアムロもシャアもディジェに乗って戦えば、ハンデなしの互角の勝負ができるのではないか、と思ってしまいます。それも野暮な考えでしょうか。絵的には、盛り上がりに欠けるかもしれません。

(加々美利治)

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