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猫のために少し開けてある部屋の扉 「ああ、入ってきたな」と思い…ヒエッ!?

マグミクス / 2020年11月7日 17時10分

写真

■部屋を点検して回る猫

 漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。

 愛猫が自由に出入りできるように、部屋の扉を少し開けておいてあげているとのこと。部屋に猫が入ってきたな、と思ったら、この日は様子が違ったようです。

* * *

 部屋の扉を猫のために少しだけ開けている。

 猫は毎日うろうろと家の中を歩き回り、よし、よし、と点検して回っている。開いていない扉には、爪を立てさりさりと抗議し、開いてくれないかとすり寄ってみせ、そして最終的に隙間から自分を無言で見つめてくる。気付かない時にはなんやかや勝手に侵入しているので、あれは単に手間を省きたいのだろう。毎回そのルーティンを行っていただくのも申し訳ないので、基本的には自由に出入りできるよう細く扉を開けている。

 自分はと言えば夜遅くまで起きていることが多い。夜型と言えば聞こえはいいが、単に朝が激烈に弱いだけだ。「大人になれば朝起きられるようになるよ」という親の言葉を愚直に信じていた幼い自分に、それは完全にただの親の希望だから諦めろと教えてやりたい。液晶画面を見つめている時間も長いので悪化している気さえする。

 さてそんな夜中、ふと扉を擦る音がする。するりと隙間から部屋の中に入ってくる気配もする。ああ入ってきたな、と思うだけでいつも直接猫を見ない。くつろぐ前に視線をやると、機嫌を損ねてぷいとどこかへ行ってしまったりするからだ。猫も起きているのだから頑張るかと気合いを入れ直してPCに向かい直す。しかし今日の点検はいやに長い。たまに視線も感じるし、うろうろしていないで、早くいつもの座椅子のところで丸くなれば良いのに。

 すすす、と足元の風が動く。そうか、珍しく甘えたいのかと椅子の下を見た。

 何もいなかった。

 視線を感じた方向、何もいない。いつも丸くなっている座椅子、何もいない。部屋の隅から隅を見て回っても、猫はどこにもいなかった。ついでに言うと、扉はぴっちりと閉まっていた。開け忘れていたのだ。

 部屋を出て探し回ると、猫はまったく別の部屋でぐっすりと寝ていた。なーんだそうか。

 ところで、これは猫の話だったのだろうか。

(迷子)

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