【阪神】「打順の大幅な入れ替えが分岐点だったかもしれない」中軸復調で6連勝中のタイガースを矢野燿大前監督が解説!"神走塁"や「捕手併用」にも言及
MBSニュース / 2024年4月23日 14時45分
引き分けをはさんで6連勝中(4月22日時点)の阪神タイガース。クリーンアップの復調やホーム・甲子園での戦い方など、連勝の理由について、4月22日、矢野燿大前監督が解説しました。“神走塁”や「捕手併用」についても言及しています。
「大山のヒットの打球がセンター方向に飛んでいる。状態がかなり上がってきた」
―――阪神タイガースの強さを感じた中日3連戦(4月19~21日)でしたが、いかがだったでしょうか?
「今まで打線が打てなかったんですけど、大山、佐藤をはじめ、みんな打ち出しました。大山のヒットの打球がセンター方向に飛んでるんですよ。ホームランもセンター方向、ヒットもほとんどセンター方向なんです。センター方向に打球が飛び出したら、状態がかなり上がってきたということなんです」
―――ここまで苦しんでいた大山選手ですが、何かきっかけをつかんだのでしょうか?
「オープン戦の最後、ちょっと体調が整ってなくて、休んでいて、実践から少し離れてたんですけど、試合でいろいろ試す中で、自分の中で『これだ!』という感じが出てきたと思うんですよね。だからバットが内側から出ていますし、これから状態が上がっていくんじゃないかなと思います」
―――14日の中日戦では、打順をガラッと入れ替えて勝ちました。そこから少し雰囲気が変わったような気がしますね。そして、また打順を元に戻しましたが、その点についてはいかがですか?
「僕も監督をやらせてもらいましたけど、あれだけ打順を変える岡田監督はすごいなと思いますし、それをまた去年のオーダーに戻したところもさすがだなと思いますね。あれが分岐点だったかもしれないですね」
『森下・大山・佐藤』クリーンアップ復調が連勝の力に
―――6連勝の理由として、まずはクリーンアップの復調。森下・大山・佐藤が繋がっているのが大きいのでしょうか?
「森下は打率があまり上がっていなかったんですけど、森下で勝っている試合も結構あって、ポイントで森下はいい働きをしてくれました。ヒットもホームランも増えだしてるので心強いですよね」
―――森下選手の打率は2割3分9厘、打点13。19日の試合で第4号ソロホームランを打ち、ホームラン数はセ・リーグ1位タイです。そして6試合連続ヒット。今まで良い場面で打ちながら、なかなか打率が上がってきませんでした。
「凡打の内容はそんなに悪くないので、ここから上がってくると思います」
―――大山選手は、19日に待ちに待った第1号のホームラン。そして2試合連続の3安打。ヒットもしっかり打っています。
「みんな打ち出したとはいえ、まだ打率が2割ぐらいですから、まだまだ上がると思います」
―――そして5番の佐藤選手ですが、18日にサヨナラタイムリーがあり、21日は3号3ランホームランが出ました。
「いいじゃないですか。佐藤はいっぱい三振もしますけど、そういう振り幅もタイガースファンの皆さんにとって、魅力だったり。『おい、輝!何してんねん!』みたいな部分もあると思うんですけど、これは佐藤の魅力なので。ストライクさえ打てば、打てるバッターですから」
―――三振は仕方ないけれど、一発の魅力がある選手ということでしょうか?
「いろんなタイプの選手がいるので。佐藤は将来4番になるぐらいの選手に育っていってほしいです。魅力ありますよ」
地の利を生かして戦える“ホーム”甲子園 練習やアフターケアなど自分のリズムでこなせる
――連勝の理由、2つ目ですが、甲子園での6連戦だったことだと。本拠地での試合というのは、ホームのチームにとって有利に働くのでしょうか?
「早く球場に行って練習できますし、体のケアもできます。あと、家族のもとに戻れたり、自分の車で球場に行けたり、ホームゲームの日は自分のリズムで過ごせるので、いろんなことがやりやすく、戦いやすいですね」
―――練習の時間が長いというのは、自分で練習の時間を調整しやすいということですか?
「調整しやすいですし、ナイターが終わった後に室内練習場でバッティング練習をしたりもします」
―――試合が終わってからも練習をするのですか?
「やります。選手にもよるんですけど、『ちょっと感覚が良くなってきたな』と思ってやる選手もいますし、『何かつかみたいな』と思ってやる選手もいます。甲子園でのホームゲームはそういうメリットがありますね」
相手チームが嫌がる阪神ファンの大声援は「めちゃくちゃ力になります」
―――そして、選手にとってファンの大声援も大きいのでしょうか?
「これはもう、めちゃくちゃ大きいですし、甲子園ならではの雰囲気があるので。ただ、応援してもらうということは、逆に、負けてるときは…。でも大声援はタイガースにとってはプラスで、対戦相手が嫌がります。『甲子園はやりにくいなあ』と、相手チームは思っているので。タイガースファンの皆さん、めちゃめちゃ力になってくれています」
―――矢野さんの現役時代、中日ドラゴンズ在籍時、甲子園での試合はやりにくかったですか?
「やりにくかったですね。いろんなヤジが飛んできましたしね。満塁になって、ピッチャーがフォアボールを出したりすると、すごいムードになるので、すごい力になっていますよ」
“神走塁”連発「植田にしかできないスペシャルな走塁だった」
―――そして、14~21日の試合の中で矢野さんが挙げた注目ポイントは、植田選手です。”神走塁”連発でした。
「植田にしかできない走塁ですね。僕の監督時代は、『植田をどこで出せるか』というのが強いカードでした。16日の試合でセカンドランナーの植田が2・3塁間で挟まれました。このとき、タッチされないように粘るのが一番大事で、後ろのランナーがセカンドに到達すればそれでOKなんですけど、そこから自分もセーフになるというのは、植田にしかできないスペシャルな走塁だったと思います」
―――挟まれたときは、できるだけタッチされないように塁間を行き来するのがベターなんですか?
「粘って粘って、後ろのランナーがセカンドまで行ったらOKです。今回の植田は、そこから自分もセーフになったんです」
―――タッチアップで植田選手が本塁生還のシーンでは、糸原選手の打ったライトフライが浅かったものの、見事右手でホームインしました。
「ライナー性の当たりだったので、一旦ホームに行こうとしてから、3塁に戻って、またホームに走っているので、すごく判断が難しいんですよ」
”神走塁”を助けた藤本3塁コーチの判断力
―――走った植田選手だけではなく、タッチアップの判断をした藤本コーチもすごいということですね?
「そうですね。12日の中日との試合、近本の内野安打でホームに小幡が帰ってきました。あの走塁、小幡もすごいんですけど、藤本コーチのぐるぐる回す判断力がやっぱりすごい」
―――放送席から見ていて、藤本コーチが腕を大きく回しているのはわかりましたが、どういった声かけをしているのでしょうか?
「常に前向きな声をかけてます。ランナーから打球が見えない場合、ランナーは3塁コーチを見て走るんですけど、藤本コーチはずっと回してました。相手の守備位置も全部確認しながらという判断力が、この得点になってます」
―――矢野さんも監督時代、藤本コーチを信頼していたのですね?
「そうですね。藤本コーチは走塁に欠かせないです。僕もかなり助けてもらいました。なかなか点が取れない中で、このようなプレーで勝って、流れを作ることができた。藤本コーチの力は大きいです」
―――良いシーンが続いているタイガース。引き分けをはさんで6連勝で、首位。さらに、先発陣に勝ち星が付きだしました。先週の試合、本当に投手陣が安定していましたね。
「投手陣がタイガースの何よりの強みで、そこがしっかり仕事をしてくれているので、大丈夫だと思います」
―――そして中継ぎ陣は、この6試合、無失点でした。
「そうなんです。ここをもっとクローズアップしてほしいところなんですけどね。よく頑張ってます」
投手との相性が大切な捕手起用 しばらくは梅野・坂本が刺激し合い「併用」か
――そして、去年のシーズンでたくさん奪ったフォアボールですが、現在、与えたフォアボールの数がセ・リーグで一番少ないという状況です。これを支えているのが、現役時代の矢野さんのポジションでもあるキャッチャーだと思うのですが、今のタイガースは日替わりでキャッチャーが起用されています。
「去年からの流れもあるので、ピッチャーとの相性をある程度大事にしながらの起用となっていて、今はうまくいっているので、この併用は当分続くかなと思います。どこかで流れが悪くなったときに、『ちょっと変えてみようかな』ということはあると思うんですけど」
―――キャッチャーの起用を考えるとき、ピッチャーとの相性というところがありますか?
「左投手をリードするのが上手かったりとか、キャッチャーにも特徴があるんですけど、まずは組んでみての相性ですね、それは大きいです」
―――例えば、村上投手と大竹投手は、去年から坂本捕手とコンビを組んでいます。
「坂本については、際どいコースをストライクにできるキャッチング技術を持っているので、コントロールの良いピッチャーは坂本と組んでいるということかもしれないですね」
―――今は、セ・リーグのどの球団もキャッチャーを併用していますが、併用について矢野さんはどのように思われますか?
「タイガースでは、梅野の方が実績もありますが、持ってる力は五分五分かなと思います。どちらか1人が抜けると1人になるんですけど、今は併用でいいと思います。梅野と坂本それぞれに良いところがあるので、このまま当分併用でいくんじゃないですかね。2人で刺激し合いながらというのを岡田監督は考えているのではと思います」
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