ベネズエラ「分捕り合戦」で気になる中国の暗躍
ニューズウィーク日本版 / 2019年4月10日 16時16分
1月に暫定大統領就任を自ら宣言したグアイドとその支持者らは、マドゥロが不当に権力にしがみついていると主張、そして史上最悪とも言われるハイパーインフレを引き起こした経済運営の失敗を非難する。
アメリカはグアイドを支持しており、そこに中南米諸国の大半と西側の同盟国も加わっているが、中国、イラン、ロシア、トルコはマドゥロ政権を支持し続けており、中南米でも左派政権のボリビア、キューバ、エルサルバドル、メキシコ、ニカラグア、ウルグアイはマドゥロ寄りだ。ロシアと中国はアメリカのマドゥロ政権への介入に警告を発し、ベネズエラに援助物資を送っている。
そもそもロシア、中国、イランの航空機がカラカスに留まっていることに米政府は憤慨している。アメリカは以前から南米で左派イデオロギーの拡散を阻止する努力を続けており、すでに隣国コロンビアや中南米全域に米軍部隊を駐留させている。
さらにトランプは、ベネズエラのもうひとつの隣国であるブラジルがNATOに加盟することを検討中だ、と語った。
ブラジルでは今年1月から「ブラジルのトランプ」と呼ばれる極右のジャイル・ ボルソナロが大統領に就任している。
ボルソナロは8日に地元ラジオ局の番組で、マドゥロに忠実なベネズエラ軍のなかに反対派を育てるために、ドランプと協力していると語った。彼はブラジルがベネズエラに対するアメリカの軍事行動を支持する可能性を示唆しつつも、「ベネズエラがキューバや北朝鮮の二の舞になることは許すわけにはいかない」と発言。それは、長期にわたるゲリラ戦争につながるだろうと警告した。
(翻訳:栗原紀子)
※4月16日号(4月9日発売)は「世界が見た『令和』」特集。新たな日本の針路を、世界はこう予測する。令和ニッポンに寄せられる期待と不安は――。寄稿:キャロル・グラック(コロンビア大学教授)、パックン(芸人)、ミンシン・ペイ(在米中国人学者)、ピーター・タスカ(評論家)、グレン・カール(元CIA工作員)。
トム・オコナー
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