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大坂なおみが語る「だから私は心の問題を訴えた」

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月7日 15時54分

なおみの会見拒否について、選手やエージェントがよく問題にするのは「栄光の絶頂でなぜ?」ということだ。

彼らにすれば、スポンサー契約だけで年5000万ドルも稼ぎながらメディアに注目されたくないなんて、わがままもいいところだ。

注目度も収入もなおみに遠く及ばない選手たち(プロの大半がそうだ)は彼女に同情する気にはなれないだろう。

21年の全仏オープンで開幕前の練習から思うようなプレーができずコーチに慰められる JIMMIE48

たった1つの投稿で、なおみとテニス界のお偉方との関係性は180度変わった。

彼らはなおみのメッセージをSOSの叫びとは受け取らなかった。

プロスポーツとしてのテニスを発祥当初から支えてきた収益構造を揺さぶり、その存在を脅かす危険な主張と解釈したのだ。

70年代初め、ビリー・ジーン・キングが女性だけのトーナメント開催のために奮闘していた頃には、女子のプロスポーツは興行的に成り立つかどうか疑わしいとみられていた。

キングは生まれたばかりの女子ツアーを取材するよう男社会のスポーツメディアに懸命に働きかけた。

「伝統的なメディアが取り上げてくれなければ、私たちは全く相手にされない」と、彼女は話していた。

なおみの投稿の翌日に開かれた記者会見で、仏テニス連盟のジル・モレトン会長はなおみの宣言を「驚くべき過ち」と表現した。

「これはわれわれが解決するか、少なくとも危惧しなければならない(テニス界)全体の問題だ」と、モレトンは記者団に語った。

なおみの投稿は「このスポーツに、テニスにとって、おそらく彼女自身にとっても非常に有害だ。彼女はゲームを損ない、テニスを傷つけた。見過ごすことはできない」。

「Zoom会見」に戸惑いも

表向きには厳しく断罪しつつも、テニス界の重鎮らは事態を沈静化させようと、なおみと話し合うチャンスを水面下で探った。

だが、その試みはむなしいあがきに終わった。

翌27日、全仏オープンの大会ディレクターであるギー・フォルジェとモレトンは大坂からメールを受け取った。

そこには「これは100%全仏オープンに対するものではありません」と書かれていた。

「アスリートがメンタルヘルスの問題で苦しんでいるときにプレス対応を強いられるシステムに対するものです。このシステムは古くさく、改革が必要だと考えます。この大会が終わってから、(女子)ツアー関係者や運営団体と協力して、このシステムを変えるためにベストな妥協案を見つけたいと思います」

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