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GDP世界第4位転落を招いた一因としての格差構造──上位10%が全所得の44.24%を握る日本

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月1日 20時40分

つまり、現在の日本では預貯金が少ない代わりに株式投資などによる金融資産形成が目立つのであり、これは政府が進めてきた方針にも合致する結果だ。政府を当てにできない将来への不安がこれを後押ししているともいえるだろう。



ただし、一律に金利がつく預貯金と違って投資の場合、幾何級的に資産を増やす人とそれ以外の差が大きくなることはいうまでもない。

金融所得の多い富裕層に有利

これに加えて重要なことは、日本では金融取引に対する課税が主要国のなかで総じて低い水準にあるだけでなく、富裕層の税負担を軽くする仕組みになっていることだ。

事業や給与の場合、所得が多いほど多くの税金を納めなければならない累進課税方式が採用されている。ところが、日本の金融取引に関わる利子課税、配当課税、株式譲渡益課税などは20.3%に固定(配当課税の総合課税方式を除く)されている。

そのため、金融所得の多い富裕層ほど税負担が軽くなる傾向があり、所得1億円あたりが分水嶺といわれる。これは「1億円の壁」と呼ばれる。

ちなみに所得金額が1億円を超える人は、財務省の統計によると令和元年段階で約2.1万人だったが、これは納税者全体の0.3%程度だった。

このように飛び抜けた富裕層が税制面で優遇されることは、上位10%が全所得の44.23%を握る構図を生み、それが結果的にGDP成長率を停滞させる一因になったとみてよいだろう。

とすると、規制緩和とグローバル化の勝者が一部の富裕層である反面、敗者は日本自身ともいえる。その場合、生活者の視点がかすんだ政治がこれを後押ししたことは疑いないのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

※筆者の記事はこちら。

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