パイロットへの道「諦めない」 被災した学校が移転、退学者相次ぐ 能登の名物「マルガージェラート」販売 残る仲間を販売収益で支援
沖縄タイムス+プラス / 2024年5月7日 6時5分
小中学校時代を那覇市で過ごし、1月に起きた石川県の能登半島地震で被災した明田凱吾(がいあ)さん(20)が能登の名物「マルガージェラート」を販売し、収益の一部を被災学生に充てる活動に取り組んでいる。4月末には那覇市内で販売した。明田さんが通っていた輪島市の日本航空大学校は地震で被害を受け、4月から東京に移転。引っ越し費用や生活費などの負担を理由に退学する学生が出ており、明田さんもその一人だ。同校に残った仲間への支援金を集め「パイロットになる夢を諦めず、一緒に空を飛びたい」との夢を描く。(社会部・末吉未空)
地震が発生した元日の午後4時10分、七尾市内の飲食店でアルバイト中だった。「立つことも困難で爆弾が落ちたかと思った」。客のベトナム人留学生2人を車に乗せて七尾市にある避難所に向かったが、建物が崩れかけていて中に入れず、車中で一晩を過ごした。
1週間後、母校の安岡中の成人式に参加するため沖縄へ。旧友からたくさん励ましの言葉をもらったが、事態の深刻さが伝わっていないと痛感した。
石川に戻ると学校の東京移転が決定。だが学校や行政による引っ越し費用などの支援はなく、退学者も少なくなかった。自身も退学したが残った学生を支援するため、ジェラートを売って一部を寄付するプロジェクト「Fuu-do(フード)」を同級生の高森虎之介さん(19)と立ち上げた。
ジェラートは高森さんの叔父が営む能登の人気店で売られ、「能登の自慢の味」という。明田さんは「沖縄の人にも地震の怖さを伝え、何年たっても忘れないでほしい」と、沖縄での期間限定販売を決定。4月28日に来県し、那覇市のデパートリウボウでジェラートを直接販売した。「活動を通して輪島の魅力も伝えたい」と意気込む。
明田さんは現在、家族のいる福岡市に身を寄せ、パイロットを目指せる大学進学に向けて受験勉強中。将来はパイロットになり、「沖縄の離島地域の医療を支えるため、本島と離島をつなぐ空の定期便を無料で提供したい」と語った。
航空整備士やCA、パイロットなどを養成する専門学校の日本航空大学校の学生を支援するマルガージェラートはネットでも販売している。注文はフォーム(https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScx2PCMe4BKe8xNpx73T46l3kVFm5sJMnvA8Lz0BfYDL48i5w/viewform)から。
(写図説明)能登半島地震で倒壊した五島屋ビルを見る明田凱吾さん(左)=1月、石川県輪島市
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