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G8で最下位…それでも日本人は「モチベーションを上げないほうがいい」ワケ

プレジデントオンライン / 2020年10月10日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Image Source

シリーズ20万部突破のベストセラー『神メンタル』『神トーーク』(KADOKAWA)の著者・星渉氏は、「目標を達成するために“モチベーション”“やる気”はいらない」と指摘します。いったいなぜなのか。新刊『神メンタル 人生は心の強さが9割』(プレジデント社)の刊行にあわせて、星氏が「科学的に正しい目標達成のコツ」を解説します──。

■日本人の「仕事へのモチベーション」はG8で最下位

「私は、会社の成功のために、求められる以上の仕事をしたいと思う」

この問いに対し、あなたなら次の回答のうちどれを選びますか?

□ 非常にそう思う
□ どちらともいえない
□ 全くそう思わない/思わない

これは人々の自発的な仕事に対する意欲を調べるタワーズワトソンの国際調査の設問の1つですが、グローバル(全世界)では「非常にそう思う」と答える人が78%だったのに対し、日本人はG8(調査時)で最下位の49%。半分にも満たなかったのです。

日本人の仕事へのモチベーションの低さは、世界的に見て顕著です(出典はこちら)。

■モチベーションを上げるのが苦手な日本人

さらに、仕事に限らず、我々日本人はそもそも「やる気を出す」とか、「モチベーションを上げる」といったことが苦手なのかもしれません。それを裏づける調査結果があります。

日本全国の20代から60代の1378人を対象にしたある調査で、「やる気のある時とない時の差がものすごく激しいほうである」という問いに対し、40%弱の人が「YES」と答えています。

また、同じく日本全国の20代から60代の1537人を対象にした別の調査でも、44.8%の人が「ギリギリにならないとやる気にならないタイプだ」と答えています。

やる気がある時とない時の差が激しい。やる気が出ないからいつもギリギリになってしまう。──あなたにも、きっと思い当たる節があるのではないでしょうか?

ただ、ここで私が言いたいのは、だから日本人はダメなんだというような話ではなく、そもそも「こんな調査はまったく意味がない」ということです。

■何かするために「モチベーション」「やる気」が必要という“嘘”

世の中には、モチベーションの上げ方、やる気の出し方に関する情報が溢れています。しかし、結論から言えば、何か行動したり、目標を成し遂げたりするのに「モチベーション」「やる気」に頼ろうとしている時点で、その人は望む成果を残すことはできないでしょう。

確かに巷に溢れる方法を実行すれば、「モチベーション」や「やる気」は「上がる」かもしれません。しかしながら、「上がった」ものは確実に「下がる」のです。

誰しも経験したことのある「3日坊主」が、その最たる例でしょう。始める時は、やる気があって積極的にスタートしたものの、すぐにやる気がなくなって3日でやめてしまう……。

ここで我々が気づかなければならないのは、

「自分が成し遂げたいこと」「達成したいこと」「やらなければならないこと」を実現するのに、「モチベーション」「やる気」は絶対に必要な要素なのか?

ということです。

■絶対に必要なものは……「行動」!

その答えは、「NO」です。

確かに「モチベーション」や「やる気」は、「ないよりはあったほうがいい」とは思います。しかし、「自分が成し遂げたいこと」「達成したいこと」「やらなければならないこと」は、“それ”がなければ絶対に成し遂げられない、というわけではありません。

「絶対」に必要なのは、「モチベーション」「やる気」ではなく、「行動」です。

「そんなことはわかっている。行動できないから、行動するために『モチベーション』『やる気』が必要なんじゃないか!」という声が聞こえてきそうです。

でも、それも「誤った思い込み」です。

■「やる気」「モチベーション」を出すコツは、自転車を漕ぐのと同じ

「やる気があるから行動できるのではなく、行動することでやる気が起きる」

ちょっと知識のある人なら、こんな話を聞いたことがあるかもしれません。

私たちの「モチベーション」や「やる気」は、いったいどのように生まれるのか? それは、「行動」することにより人間の脳の側坐核という部位が刺激された結果であることがわかっています。

つまりは、この部分が刺激されないと「モチベーション」「やる気」の源は生まれない。

科学的に正しいのは、「モチベーションを上げ、やる気を出して動く」のではなく、「動くからモチベーションが上がり、やる気が出る」というプロセスです。

「モチベーション」「やる気」と「行動」の関係は、たとえるなら自転車のようなものです。最初にペダルを漕ぎ出す時がもっとも負荷が大きく、動き出しも遅い。ところが、いったん動き始めれば、だんだん勢い(=「モチベーション」「やる気」)が出てきて楽になる。

レース中のマウンテンバイクからの視点
写真=iStock.com/Natnan Srisuwan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Natnan Srisuwan

ですから、「やる気がないから、できない」ではなく、「動かないから、やる気が出ない」が正解なのです。

■「小さな成長」を伴う行動が大事

人によっては、動き始めても「モチベーションが上がらない」「やる気が出ない」という状態が続くことがあるかもしれません。モチベーションが上がらないけれどとりあえず会社に行って仕事はしている、頑張って始めたけれどやる気がなかなか出ない、といったパターンです。

ハーバード・ビジネス・スクールのテレサ・アマビール名誉教授の研究によると、「やる気」や「モチベーション」を生み出すために効果的な側坐核への刺激は、「小さな成長」だといいます。

つまり、小さな成長を実感できないことを延々と繰り返していていも、側坐核への刺激が弱く、その結果、行動してもなかなかモチベーションが上がらなかったり、やる気が出ないといった現象が起きてしまうのです。

行動しないと、また、そこに小さな成長がないと発生しない「モチベーション」「やる気」を、動く前から「早くやる気が出ないかな?」と望むのは、まるで買ってもいない宝くじを「当たらないかな?」と願うようなものです。

そんな人が、自分の望む人生を実現できるはずがありませんよね。

■成功する人の「3つのルール」

私たちがやるべきことは、以下3つのことです。

1.「モチベーション」「やる気」には頼らない、と決める
2.「自分がどんな人間でありたいか」を決める
3.上記(2)のビジョンに基づいた「ルール」で過ごす
1.「モチベーション」「やる気」には頼らない、と決める

そもそも「モチベーション」や「やる気」に頼るから、「モチベーションが上がらない、やる気が出ない」という言い訳が生まれます。今日から「モチベーション、やる気は『頼りにならないものだ』」と自分の中で“決め”てください。これがもっとも重要なポイントです。

人間は優秀ですから、頼りにならないものには頼ろうとしなくなります。すなわち、「頼れないものだ」と決めることで、「モチベーション」や「やる気」を「行動しないことの言い訳」にすることはなくなります。

そのような認識に立ったうえで、下記の2つを実行してみてください。

2.「自分がどんな人間でありたいか」を決める

これは、心理学でいうところの「自己評価」にあたります。

あなたはどんな人でありたいでしょうか? たとえば私なら……

・物事に誠実に対応する
・期日は必ず守る
・どんな小さな仕事も手を抜かない
・スピードを意識して仕事をする
・納得いかないものは世の中に出さない
・納得いかない部分は上役であろうと譲らない
・引き受けた仕事は必ず最後までやり切る
・同じことを繰り返すのではなく、ひと工夫して毎回成長しようとする

などが思いつきます。「できるかどうか」は脇に置き、「自分がこうありたい」という姿を設定します。

3.上記(2)のビジョンに基づいた「ルール」で過ごす

たとえば、私の「自己評価」に基づいて行動の「ルール」を考えるなら、

・仕事で見積もりを依頼されたら…… →その日のうちに作成する
・開いたメールは…… →その場で返信する
・自分でやらなくてもいいことは…… →秘書に感謝をして依頼する
・食事後の皿洗いは…… →すぐにやる(翌日に持ち越さない)
・朝起きたら…… →30分本を読む

などが思い浮かびます。

これは「if-thenプランニング」といわれる心理学の手法で、あらかじめ「こういう時はこうする」というルールを決めておき、それに基づいて行動するというものです。行動のルールを事前に決めておくことで、行動をするために「モチベーション」や「やる気」は必要なくなります。

たとえて言うなら、「赤信号で止まる」のと同じです。「やる気がないから赤信号で止まれない」という人はいませんよね?

■初心者は「ルールは3つ」までに

ただし、ここで気をつけないといけない重要なポイントがあります。それは、

ルールは3つまでにする

ということです。ルールをあれもこれもとたくさん作っても、「さあやろう!」となった時、どんなシチュエーションでどんな行動をするのか忘れてしまって結局行動できない、ということになりかねません。

星渉『神メンタル 人生は心の強さが9割』プレジデント社
星渉『神メンタル 人生は心の強さが9割』プレジデント社

ですから、まずはルールを3つ設定して、その通りに過ごしてみてください。「赤信号は止まれ」のように、何も考えなくてもその通りに行動することが日常に定着したら、次の新しいルールを決める、といった形で実行するのがもっとも効果的です。

私たちに必要なのは、「モチベーション」や「やる気」ではありません。「モチベーション」「やる気」は「頼りにならないもの」と認識し、あらかじめ行動のルールを設定することで、人はすぐに行動することができるようになります。

今日から「モチベーションは上げない、やる気も出さない。なぜなら、こいつらは頼りにならない存在だから」と決めてしまいましょう。それが「人生を思い通りに生きる」ための「神メンタル」のメソッドです。

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星 渉(ほし・わたる)
作家、ビジネスコンサルタント
1983年仙台市生まれ。大手企業で働いていたが岩手県で東日本大震災に被災。生死を問われる経験を経て「自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決め、独立起業し、心理療法やNLP、認知心理学、脳科学を学び始める。それが原点となり、個人の起業家を対象に「心を科学的に鍛える」ことを中心に置いた独自のビジネス手法を構築。日本や海外で数千人規模の講演会を実施し、グローバルに「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」ための活動をしている。『神メンタル』『神トーーク』(KADOKAWA)はシリーズ累計20万部突破のベストセラー。

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(作家、ビジネスコンサルタント 星 渉)

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