なぜラグビー日本代表元主将はMBAを取得し起業したか
プレジデントオンライン / 2020年12月7日 9時15分
■コロナ禍で取り組んだ高校生アスリート支援
ラグビー日本代表でキャプテンを務めた廣瀬俊朗氏。2015年ラグビーW杯で、優勝候補の南アフリカを破ったエディージャパンの精神的支柱だった。
16年に現役を引退した後、指導者を全うするのではなく、経営、マネジメントを学ぶ道を選んだ。19年には大学院でMBAを取得。HiRAKUを設立し、アスリートの支援や、食や健康のサポート事業、新規事業支援などを始めている。またTBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」に出演するなど独自のキャリアを切り開いている。
現在も影響が残る、新型コロナウイルスはアスリートにとってキャリアを見つめ直す機会になっているのではないかという廣瀬氏。次は何に挑戦するのか、話を聞いた。
——コロナ禍で多くのスポーツが制限を受けています。現在はどのようなことに取り組まれていますか。
【廣瀬】今、取り組んでいるのは大きく2つです。1つはこれまでのキャリアを生かした社会課題の解決。アスリートは食や健康、運動といった、人が生活するうえで欠かせないものとの親和性が高いので、企業と組むことで、一般の方に新しい解決方法を提案できるのではないかと考えています。
■キャプテンの研究や本質行動学を学んでいます
もう1つは母校の慶應義塾大学の大学院で、キャプテンの研究や本質行動学を学んでいます。これまで小中高大、社会人、日本代表とキャプテンをやらせてもらいましたが、キャプテンやリーダーに求められる行動やメンタリティは共通するものがあると感じていました。その再現性や汎用性をアカデミックに分析できないかと思っています。
——将来ラグビーの指導者になるという選択肢はなかったのでしょうか。
【廣瀬】もちろんその選択肢も考えました。ただ、アスリートがコーチ以外の選択肢を持つことができたら、スポーツがもっと社会の中で大きな意味を持って広まるんじゃないかと思ったんです。先ほどもお話ししましたが、チームのリーダー、キャプテンにはコアな部分で欠かせないものがあるのは間違いないと思っています。
内側の部分から見ると、自分自身がどうありたいか、そこからチームがどういうふうになりたいか。その想いを行動に移していくのはどんな組織でも同じかなと。自分が思っている以上に結果を求めてしまったり、組織の外側に意識がとられて精神をすり減らしたり。もしくはリーダー、キャプテンってこうあるべきだという虚像を追いかけすぎて自分を見失ったり。そんなとき、自分とは何かを掘り下げられるようなアプローチができればと考えています。
——コロナ禍の20年5月からSNSを活用して大会が中止になってアピールの場を失った高校生アスリートの支援をはじめた。20年7月には活動を継続的に行うために「一般社団法人スポーツを止めるな」を設立しました。
【廣瀬】選手が「#ラグビーを止めるな2020」とタグ付けした動画を、大学のリクルーターなどが見られるように仕掛けました。五郎丸歩選手などのトップ選手が動画にコメントしたり、リツイートしたことでムーブメントは拡大し、実際にプレーをアピールする動画の投稿をきっかけに大学進学のチャンスをつかむケースもありました。
コロナ禍を通して、個人が自らをいかにマネジメントできるか、自己管理できるかが高校生からプロまで問われていると感じています。なんのためにラグビーをするのか? ラグビーができないときどんな方法で自分たちの存在意義を示すのか。個人としても学びは多かった。今後も、リーダーシップやSNSのリテラシー、自己表現などの教育にも力を注いでいきたいと考えています。
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HiRAKU代表取締役社長
スポーツを止めるな共同代表理事。1981年、大阪府生まれ。5歳からラグビーを始め、大阪府立北野高校、慶應義塾大学、東芝、日本代表でも主将を務めた。2020年10月からは日本テレビ系列「news zero」の出演が決まっている。
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(HiRAKU代表取締役社長 廣瀬 俊朗 文・構成=伊藤達也 写真=共同通信フォト)
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