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「収益向上のために電気料金を節約しよう」と言い出す経営者はまるでダメ…「解像度が低い人」の残念さ

プレジデントオンライン / 2024年3月5日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Prostock-Studio

仕事ができる人はどんな思考法をしているのか。経営コンサルタントの権藤悠さんは「例えば、レストランのオーナーが『収益向上』という目標を立てたとする。ここで安易に『電気料金を節約しよう』と結論づけるのは失敗のもとだ」という――。

※本稿は、権藤悠『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■「具体化思考力」を鍛えると物事が細かく見える

近年、「解像度」という言葉がビジネスシーンで使われるようになった。「解像度が高い」とは、思考が鮮明な状態。物事が細かく、広く「見えている」のが特徴だ。では、「解像度が高い・低い」とは具体的にどういうことなのか。

「解像度の高い人」にはいくつか特徴があります。そのうちの一つが「物事が細かく見えている」状態。では、その状態になるためには、どうしたらいいのでしょうか。それが、「『具体化思考力』を鍛える」になります。

なぜでしょうか? その理由を解き明かすために、「そもそも、具体化とは何か?」から考えていきましょう。

「具体化」とはその名の通り、「具体的にすること」ですが、もう少し具体的に言うと、

「一つの事柄や概念を、違うもので分ける」

ことになります。

例えば、「生物」を具体化するとしましょう。

「具体化」とは何か?(例①生物)
画像=『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』

生物を具体化するとまず、「動物」「植物」「菌類」……、と分けることができます。さらに、このうち「動物」を具体化すると、「哺乳類」「魚類」「鳥類」……、と分けられます。

さらに、このうち「哺乳類」を具体化すると、「サイ」「ライオン」「ゾウ」……、と分けられ、さらに「サイ」を具体化すると、「クロサイ」「シロサイ」「インドサイ」……、と分けることができます。

このように、ピラミッドを下に下がる作業が「具体化」になります。もう一つ例を挙げると、例えば、「日本」を頂点とするピラミッドを考えてみましょう。

■具体化とは「似たもの同士に違いをつける」こと

「日本」を「地理」と捉えて具体化していけば、その1つ下の2階層目は、例えば「東日本」「西日本」に2分割されます。

2つ下の3階層目では、「東日本」を細分化して「関東甲信越」「東北」「東海」「北海道」となり、3つ下の4階層目では「関東甲信越」をさらに細分化して「東京都」「埼玉県」「千葉県」「神奈川県」「群馬県」「栃木県」……などとなり、4つ下の5階層目になると「東京都」は「23区」「26市」「5町」「8村」となり、どんどん細分化されていきます。

「具体化」とは何か?(例①日本)
画像=『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』

すなわち、「具体化する」ということは、一つの非常に大きな概念を、階層化・細分化していくことを意味しています。

このときに、何をしているのでしょうか? それは、「似たもの同士に違いをつける」ということです。

「生物」の中には、「動物」「植物」「菌類」……が含まれます。それらは同じ「生物」の分類に含まれるので「似たもの同士」ではありますが、その中でも少しずつ違いがあります。

この「似ているけれども、違いのあるものを分ける」ということが「具体化」です。

■「収益向上のために電気料金を節約しよう」は大間違い

ここまでで、なぜ具体化すると「物事が細かく見える」のか、が見えてきたと思います。

具体化とは「似たもの同士に違いをつける」ということであり、この「似たもの同士に違いをつける」ということが、まさしく「物事を細かく見る」ということだからです。

例えば――レストランのオーナーが「収益向上」という目標を立てたとします。このときの「ふわっと見てしまう例」が、この「収益向上」を分解せずに、安易に「では、電気料金を節約しよう」などと結論づけることです。

一方で、この場合に「物事を細かく見る」ということは、「収益向上」を分解することです。「収益」というのは「売上」から「コスト」を引いた残りですから、これを「向上」させるには、売上を上げるか、コストを下げるしかない。もしくはその両方です。

一口に「売上」とか「コスト」といっても、その中身は非常に細かく入り組んでいます。レストランであれば、売上を上げるために、「集客数を増やす」のか、「客単価を上げる」のか、「回転率を上げる」のか。

「収益向上」を具体化する
画像=『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』

■売上を増やすのか、コストを削減するのか

集客数を増やすにしても、「新規客を呼び込む」のか、「固定客の来店回数を増やす」のか、「リピート率を上げる」のか。コストを下げるのも同じことで、「賃料」「人件費」「水道光熱費」「材料費」「販促費」等々、さまざまなコストに分解ができます。

「収益向上」には「売上(向上)」と「コスト(削減)」の2つがある。さらに、「売上(向上)」には、「集客数を増やす」「客単価を上げる」「回転率を上げる」などがある。これらをそれぞれ、明確に分ける。

この過程は、まさに「似たもの同士に違いをつける」という作業であり、これこそが「物事を細かく見る」ということになるのです。

■照明を暗くすることで、集客力が落ちるかもしれない

こうした具体化思考のプロセスを経ずに、例えば、「よし、電気料金を節約しよう」といった安易な行動になってしまうと、どうなるか?

権藤悠『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(SBクリエイティブ)
権藤悠『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(SBクリエイティブ)

そもそも、「コスト」の中で「電気料金」というのは「水道光熱費」の一部であり、全体の中のごくごく小さな一項目でしかありません。

さらに言えば、照明費というのは電気料金全体の中の一項目に過ぎず、レストランであれば、実際には空調費のほうが大きな割合を占めているかもしれません。

もっと言えば、照明が暗くなることで印象が悪くなり、集客力が落ちるかもしれません。

手元が暗いために生産性が低下し、料理の提供スピードが遅くなるかもしれません。食器の汚れを見落としたりして、クレームも増えるかもしれません。

このように「売上」に対する悪影響が考えられるだけでなく、店内が暗いと食器を割ったり備品を壊したりするミスも増加しかねず、逆に「コスト」は増えてしまうかもしれないのです。

そうなると、いかに具体化思考により「物事を細かく見るか」が、判断を誤らないために重要になりそうです。

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権藤 悠(ごんどう・ゆたか)
キーメッセージ代表取締役社長
慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業。ベンチャー三田会幹事。ITベンチャー企業にて人事、IT新規事業開発をした後、ZUUに人事企画マネージャーとして参画し、東証マザーズ(現・東証グロース)市場上場前の採用・組織開発に従事。その後、デロイト トーマツ コンサルティングに経営コンサルタントとして入社。大手企業へのDX・組織人事高度化コンサルティング業務に従事し、合計社員数20万人以上の各業界企業を支援。デロイト トーマツ コンサルティングの中でも上位1%の人材しか認定されない「Sランク人材」の評価を受ける。2022年、キーメッセージを創業。大手企業からスタートアップへ経営コンサルティング、AIやデータ分析を活用した新規事業開発や人的資本経営コンサルティングを提供する。

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(キーメッセージ代表取締役社長 権藤 悠)

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