洋上風力における高精度地層探査を実現する「3次元音波探査」を開発
PR TIMES / 2024年3月1日 16時40分
応用地質株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:天野 洋文、以下「当社」)は、総合地質調査株式会社(東京都品川区、代表取締役社長:蜷川 勉)と共同で、洋上風力発電事業に関わる海底地盤調査の精度を飛躍的に高める「3次元音波探査技術」を開発しましたのでお知らせします。
本技術は、国立大学法人東京海洋大学(東京都港区、学長:井関 俊夫)で開発された海底地質探査方法(特許第6849999号)を応用し、新たに洋上風力市場むけに開発したもので、およそ海底面下200mまでの海底地盤構造を高精度かつ効率的に把握することが可能となります。本技術の開発により、着床式洋上風力の基礎の設計における生産性を高めることが出来るとともに、今後普及拡大が予想される浮体式洋上風力の海底地盤調査での適用も期待されます。
【技術開発の背景】
洋上風力発電においては、発電効率および発電量の拡大などを目的に風車の大型化が進んでおり、風車を支えるモノパイル式基礎など基礎構造物も大型化しつつあります。風車および基礎構造物の大型化に伴い、これらを支える海底地盤の支持層や、耐震設計を行う際に必要となる工学的基盤に対する調査に対しても、より高い精度や情報量が求められるようになってきました。特に、洋上風力では広範囲の海域に多数の風車を建設するため、支持層や工学的基盤の傾斜などの形状把握の精度は、基礎構造物の設計やコストに大きく影響を与える重要な要素となっています。
【技術の概要】
本技術は、音波により海底面下の地質構造を効率的に調査する「マルチチャンネル反射法探査」の一種です。調査船に装備した水中スピーカーで発生させた音波を海底下に浸透させ、各地層の境界で反射したこれらの音波を多数の受振器により測定することで、海底面下数十メートルにある「支持層」と呼ばれる構造物を支える地層や、そのさらに深部に存在し、「工学的基盤」と呼ばれる耐震設計上重要な意味を持つ地層の深度や傾斜等を調べることができます。
洋上風力発電施設を対象とした反射法探査では、1つの発振源から出された音波を1本のストリーマーケーブル(多数の受振器を内蔵)で受信する「2次元」での探査が一般的ですが、1回の測定で複数のストリーマーケーブルを用いることで、測線間の切れ目のない「3次元」での探査が可能になります。これにより、支持層や工学的基盤の上面の傾斜を3次元的に可視化し、最適な耐震設計を導くことができます。
一方で、着床式の洋上風力は、水深10~50m程度の沿岸域の共同漁業権エリアに建設されることが通常的です。複数のストリーマーケーブルを数十mの幅で曳航して測定する従来の測定方法では、調査海域において定置網などの漁具に接触する恐れがあることや、探査装置が大型となるため、数百トンクラスの大型の調査船が必要となるなどの課題がありました。
そこで同手法では、20t程度の小型調査船で調査可能な装置として、ストリーマーケーブルの本数を減らし、音源となる水中スピーカーを調査船の左右舷に張り出して配置することで装置のコンパクト化を図りました。複数の水中スピーカーに異なる疑似ランダム波を印加することで複数のスピーカーの同時発振が可能となり、疑似ランダム波を連続して発生させることで任意の起振間隔の設定をすることが可能となりました。本手法においては2本のストリーマーケーブルで、最大幅20m程度の3次元探査を実現することに成功しました。
[画像: https://prtimes.jp/i/47274/75/resize/d47274-75-dc06d0a98acc2dfe9d9c-0.png ]
【今後の展開】
3次元音波探査は、洋上風力の建設上の支障となりうる海底地すべりや埋没谷、浅層ガスの湧出といった各種地質リスクの把握にも有効です。また、着床式の洋上風力だけでなく、今後普及拡大が期待されている浮体式の洋上風力においても適用可能な技術となります。2社では現在、これらの調査精度をさらに高めるため、より多チャンネル(24チャンネル)の受振器を装備した高分解能音波探査の開発も進めています。
本技術の市場投入により、海底地盤調査市場での当社の市場優位性をさらに確固たるものとするとともに、より多くの洋上風力発電施設の建設事業の生産性向上に寄与することで、わが国のカーボンニュートラルの早期実現に貢献してまいります。
以上
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