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視覚再生遺伝子治療の効果を向上させる手法を発見、スターバーストアマクリン細胞が鍵

QLife / 2023年9月13日 13時59分

若者の失明原因トップである失明難病疾患を克服する技術として期待

 慶應義塾大学の研究グループは、2023年6月19日、光遺伝学を利用した視覚再生遺伝子治療の効果を向上させる手法を発見し、これによる効果向上に、網膜に存在し、視覚信号を処理する特殊な神経細胞(スターバーストアマクリン細胞)が関わっていることを世界で初めて確認したことを発表しました。

 網膜色素変性症をはじめとする遺伝性網膜疾患は、若者の失明原因トップである失明難病疾患で、世界中で200万人以上が罹患しています。世界では、治療法の開発が活発に行われており、その一つとして光遺伝学(オプトジェネティクス)という技術を応用した視覚再生遺伝子治療法が、注目を集めています。目の中でも働くことのできる光センサー遺伝子を送り込み視覚の再生を期待する治療法で、海外では治験も複数行われています。しかし、従来の手法だけでは視力を取り戻すまでは難しく、さらなる改善が必要とされています。

 今回、研究グループは、マウスの特定の種類の細胞だけに光センサーのタンパク質を、安定かつ多量に遺伝子発現させる「KENGE-tetシステム」を開発しました。そして、このシステムを備えた遺伝子改変マウスを利用して、光受容を制御する神経回路を精査し、視覚再生 遺伝子治療の効果とそのメカニズムの研究を行いました。

「スターバーストアマクリン細胞」に光センサー発現で視覚再生効果が強化

 研究グループは視細胞は失いながらも網膜神経節細胞でのみ光センサーが発現するマウス(5Bマウス)と、網膜神経節細胞とスターバーストアマクリン細胞で光センサーが発現するマウス(M4マウス)を用いて実験を行いました。その結果、M4マウスは5Bマウスに比べて50%以上の神経の光応答の増強が確認され、5Bマウスでは回復できなかった視力を取り戻していることが確認されました。

 この光応答の増強効果はgap結合という神経同士の連絡通路を阻止すると消失したことから、スターバーストアマクリン細胞がgap結合を介して視覚再生効果を強化していることが明らかになりました。

 研究グループは、この成果により今後の視覚再生遺伝子治療の実用化に応用されることが期待されると指摘しています。(QLife編集部)

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