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関西インバウンド「一人負け」の神戸 ベイエリアてこ入れで港町復活なるか 大型集客施設相次ぐ

産経ニュース / 2024年5月4日 19時43分

神戸市のベイエリアで大型の集客施設の整備が進んでいる。神戸ポートタワーが4月にリニューアルオープンし、6月には水族館「神戸須磨シーワールド」が開業。大型アリーナを中核とした新エリアの開業も来春に控える。大阪や京都に比べインバウンド(訪日外国人客)が低迷し、人口流出にも悩まされる神戸。ベイエリアのてこ入れで「港町」の輝きを取り戻せるか、注目が集まっている。

西日本唯一のシャチ

4月26日、およそ2年半ぶりにリニューアルオープンした神戸ポートタワー(同市中央区)。地上100メートル付近には屋根がないガラス張りの屋上デッキが新設され、神戸の海と山を一望できる。水戸市から旅行で訪れた佐藤雅子さん(60)は「神戸といえばポートタワー。(山の)緑と(海の)青を両方堪能できる」と神戸ならではの景色を楽しんでいた。

タワーの展望デッキから見える同じウオーターフロントの新港第2突堤エリアでは、来年4月開業予定の新アリーナ「GLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)」の建設が進む。Bリーグ所属のプロバスケットボールチーム「神戸ストークス」のホームとして使用されるほか、音楽イベントや大学の入学式などでの使用も想定されている。運営会社の渋谷順社長は「にぎわいの創出と市民がアイデンティティーを感じられる場所にしたい」と話す。

スマスイの愛称で親しまれた市立須磨海浜水族園の跡地で、6月に開業する神戸須磨シーワールドはホテルを併設しており、目玉は西日本唯一のシャチの展示。幅21メートル、高さ2・7メートルの窓からシャチを見ながら食事ができるビュッフェレストランも見どころだ。

奈良に追い抜かれた兵庫

「ウオーターフロントエリアは神戸が発展を遂げていく上で極めて重要な役割を持っている」。神戸市の久元喜造市長は、相次ぐ集客施設の誕生をこう評価する。

背景にあるのは、神戸を訪れる観光客の伸び悩みだ。観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、令和5年に観光やレジャー目的で日本を訪問した外国人のうち、大阪府を訪れた人は43・5%、京都府は33・7%なのに対し、兵庫県は6・3%にとどまる。同じ調査で平成28年以降、奈良県に追い越されており、兵庫県内の観光関係者は危機感を募らせる。

さらに、神戸市の人口は昨年、22年ぶりに150万人を下回り、2050年時点では約116万人にまで落ち込むとの推計もある。人口減少に歯止めをかける意味でも交流人口の増加は喫緊の課題だ。

交通網整備を追い風に

追い風となるのは、交通網の整備だ。神戸空港は令和12年前後に国際定期便の運用開始を予定。これによるインバウンドの増加が見込まれるため、市は観光客を回遊させるシステムの構築に取り組んでいる。

今年4月から神戸市営地下鉄など市内の6つの交通事業者が、運賃支払いにクレジットカードなどを使う「タッチ決済」の運用を開始。改札機に設置された読み取りリーダーに対応カードなどをかざすことで通過できる。

ベイエリアなどを周回するバス「ポートループ」「シティーループ」でも利用が可能。現金の両替や乗車券の購入が不要になるため、インバウンドを中心に利便性向上が図られている。

一方、市中心部では、次世代型路面電車(LRT)やバス高速輸送システム(BRT)を導入する可能性も検討されている。

ベイエリアの大型集客施設が呼び水となり観光客などが増える中で、こうした交通網の整備で相乗効果が生まれる可能性もあり、関係者の期待が高まっている。(弓場珠希)

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