プロ野球、新人王争いの行方は セは投打のドラ1、パは防御率1点台の左腕がリードか プロ野球通信
産経ニュース / 2024年5月9日 10時0分
プロ野球開幕から1カ月余り。ペナントレースや個人タイトルの行方とともに、注目を集めるのが新人王争いだ。混戦のセ・リーグは投打で新人が好アピールを見せ、パ・リーグは3球団競合のドラフト1位左腕が一歩リードする。新人王は入団2年目以降でも、前年までの出場が投手は通算30イニング以内、野手は通算60打席以内(海外のプロリーグに参加経験のない支配下登録5年目以内)なら対象となる。プロ野球人生で1度しかない栄誉は誰の手に-。少し気が早いが、現状での新人王を占った。(プロ野球取材班)
投打の「ドラ1」が躍動
セ・リーグでは、いずれもドラフト1位ルーキー、巨人の西舘勇陽(ゆうひ、中大)とDeNAの度会隆輝(りゅうき、ENEOS)が存在感を放つ。
救援で勝ちパターンの一角を担う西舘は最速155キロの直球を軸に、新人タイ記録となる10試合連続ホールドをマーク。2試合連続で救援失敗も味わったが、「先輩方が引っ張ってくれる。打たせて取ろうと割り切って投げられている」と落ち着いたマウンドさばきが光る。
オープン戦で首位打者に輝いた度会は、開幕戦から2試合連続本塁打と強烈デビューを飾った。卓越したバットコントロールと長打力は申し分なし。打率は2割4分3厘で「自分のバッティングを貫けるか。その中で対応力も意識したい」と奮闘する。
野手では巨人のドラフト3位、佐々木俊輔(日立製作所)が31試合で打率2割5分3厘と健闘。大卒2年目でチーム3位の2本塁打をマークしている萩尾とともに、層の厚い外野でアピールを続けている。
ほかにも「ルーキー以外」では、中日では右肩の故障から復帰した田中幹也が開幕から二塁に定着。走攻守でレベルの高いプレーを見せる。阪神の高卒2年目左腕、門別啓人は今季初先発となった3日の巨人戦で3回6失点。ほろ苦い結果となったが、岡田彰布監督の秘蔵っ子の巻き返しに期待がかかる。
西武の新人左腕がリード
パの筆頭候補は西武のドラフト1位左腕、武内夏暉(なつき、国学院大)だろう。ここまで先発として4試合に登板し、防御率1・55と好成績を残している。チェンジアップ、ツーシームなど多彩な変化球は一級品で制球力にも定評がある。4月3日のオリックス戦では7回1安打無失点で昨季の新人王・山下舜平大(しゅんぺいた)に投げ勝ち、新人一番乗りでプロ初勝利。8回無失点で2勝目を挙げた今月3日のソフトバンク戦では、六回2死三塁のピンチの場面で、強打者の柳田悠岐から空振り三振を奪った。「投げるからには自信を持って投げた。(ピンチの心理状態は)普段と変わらない」とマウンド度胸も持ち合わせている。
他球団選手も負けていない。育成3年目で今季、支配下登録されたソフトバンクの川村友斗は打率3割7分と活躍しており、新人王争いに割って入りそうだ。
楽天のドラフト5位、松田啄磨(大産大)は3月30日の開幕カードで1軍デビューし、4月13日のロッテ戦では発熱で登板回避した荘司康誠に代わり、急遽(きゅうきょ)、先発を任され、4回1失点と好投した。
ロッテのドラフト1位内野手、上田希由翔(きゅうと、明大)はすでに10試合に出場。チーム事情から「本職」ではない一塁での試合出場機会が多いが、持ち味の確実な打撃を発揮している。上田の大学時代の同級生でソフトバンクのドラフト4位右腕、村田賢一(明大)も4月13日の西武戦でプロ初登板を果たした。
昨季、セ・リーグでは阪神の村上頌樹(しょうき)がMVP(最優秀選手)と同時受賞したほか、パ・リーグのオリックス・山下は9勝3敗での受賞と、ともに新人王がリーグ優勝に大きく貢献した。今年も優勝争いを左右するような「新人」の活躍が期待される。(成績は6日現在)
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