暑さが大敵の紅茶市場に起爆剤の萌芽 「日東紅茶 水出しアイスティー」が拡大し続けているこれだけの理由
食品新聞 / 2024年2月24日 23時2分
2023年、暑い期間が長期化したことで販売数量が伸び悩んだ家庭用紅茶市場。その中で、水出し紅茶カテゴリーは暑さを追い風に絶好調となった。
牽引役はトップシェアを握る三井農林の「日東紅茶 水出しアイスティー」。
2月22日の新商品発表会で竹田一也企画本部 商品企画・マーケティング部部長は「2020年から水出し紅茶市場は大幅に拡大し続けている。当社商品の昨年9月と10月の出荷は前年比200%と過去にない動きをみせた」と振り返る。
拡大し続けている要因には、パーソナル化、地球温暖化、コロナ禍の巣ごもり需要を契機としたユーザーの裾野拡大が挙げられる。
竹田一也企画本部 商品企画・マーケティング部部長「水出しアイスティー」が発売開始されたのは1992年。当初は、家族でシェアして飲むファミリーユースを訴求し、座布団型の大サイズ・ティーバッグを用意して1袋で1Lサイズに対応していた。
当初の販売状況は鳴かず飛ばずの状態だったという。
「春夏の一瞬の季節品という扱いだった。紅茶棚の隅にポツンと置かれ、紅茶のコアファンや固定客だけが買って下さるという状態がずっと続いていた」と語る。
転機が訪れたのは2018年。
ティーバッグの仕様をファミリーユースからパーソナルユースに変更し、マイボトルを意識して1袋で500mlできるようにした。
以降、販売は上向き、2020年からはコロナ禍の巣ごもり需要を取り込みユーザーの裾野が拡大した。
「コロナ禍で、これまで買われなかった方たちにもトライアルしていただき、裾野が広がった。最近は2ケタ伸長が続いている」と説明する。
マイボトルの普及も追い風になっている模様。
「マイボトルの普及率がここ10年くらいでかなり高まっている。私もそうしているが、冬場も室内は温かいことからマイボトルに水出しを入れて持ち歩いている。今までは季節品だったが、現在はパーソナルで通年飲まれている」との見方を示す。
パーソナル化に伴い展開している多彩なフレーバーも奏功。
「自分の好みのフレーバーをたまに変えてみるというスタイルが、フレーバーの多展開にフィットしている」とみている。
「水出しアイスティー」のラインアップは「アールグレイ」「トロピカルフルーツ」「ピーチティー&ローズヒップ」「はちみつレモン」の4品。2月26日には、これに新商品の「マスカットグルーンティー」が加わる。
この中で、目下の売れ筋は「トロピカルフルーツ」となり、ウィズフード・食中飲料としての可能性も浮上する。
「以前は『アールグレイ』が売れ筋だったが、ここ3年くらいで逆転している。パスタやカレーといった味の濃い料理との相性がよく、食後に飲むとスーッと後味をリセットできるようなところがある。『トロピカルフルーツ』というと甘くお子様向けの印象もあるが、無糖である点も支持されているポイント」と述べる。
ユーザーをさらに獲得すべく昨年は「トロピカルフルーツ」でサンプリングを実施し今年も計画している。
「まだまだ『水出しアイスティー』を買われたことのない方がたくさんおり、水出しのよさを訴求し認知がさらに広がれば、もうワンランク伸ばせる」と意欲をのぞかせる。
なお紅茶市場は23年1-12月、販売金額が微減し市場規模は200億円を若干下回ったと推定される。
夏場の猛暑など暑い期間が長引いたことで、ボリュームの大きいティーバッグカテゴリーが苦戦し全体の足を引っ張った。
販売金額は、各社が実施した価格改定によって押し上げられ微減に留め、販売個数は前年を5%強下回ったとみられる。
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