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「よく知ってはりますね!」仏教徒リチャード・ギアと戸田奈津子の思い出とは。巨匠・黒澤明に意見して現場を凍りつかせたことも…

集英社オンライン / 2024年5月6日 17時0分

「しゃべり方までエリザベス女王自身」現在78歳・現役感たっぷりの俳優ヘレン・ミレンとの戸田奈津子の思い出とは〉から続く

字幕翻訳の第一人者・戸田奈津子さんは、学生時代から熱心に劇場通いをしてきた生粋の映画好き。彼女が愛してきたスターや監督の見るべき1本を、長場雄さんの作品付きで紹介する。

黒澤明監督の撮影現場で…

公私ともに仲良くしているリチャードとは、『アメリカン・ジゴロ』(1980)の来日時に初めてお会いしました。もう40年以上も前ね。彼はマジに仏教徒なので、日本に来る一番の目的は京都のお寺めぐり。それも観光客が行くようなところには全然興味がなくて、ひなびた地味なお寺ばかり行くの。

 仏像にも造詣が深く、また目利きなのよ。京都の新門前通(しんもんぜんどおり)にお気に入りの骨董品屋があって、「この仏像は〇〇時代のものだ」なんて彼が言うので、おじいちゃん店主が「このアメリカはん、よく知ってはりますね!」と驚いていました。

黒澤明監督の『八月の狂詩曲(ラプソディー)』(1991)に出演したときは私がそのきっかけをつくり、現場にも何度か同行しました。アメリカの俳優は監督に対して自分の意見を言うのが当たり前なので、リチャードも撮影初日、あの黒澤さんに「ここは僕の解釈では……」と切り出した。

巨匠・黒澤さんに意見を言う俳優なんか皆無ですから、その場にいたスタッフ全員がサ〜ッと後ろに引いた。その場の光景を彼は今でも友人たちに笑いながら語り聞かせています。幸い、黒澤さんのカミナリは落ちず、笑って受けとめてくださったので、皆ホッとしましたけど……。

見るべき1本をあげるとなると『愛と青春の旅だち』(1982)かな。鬼軍曹にしごかれて感情を爆発させる場面など、いつもカッコいい二枚目を演じる彼としてはめったにないシーンでした。

語り/戸田奈津子
アートワーク/長場雄
文/松山梢

『愛と青春の旅だち』(1982) An officer and a Gentleman 上映時間:2時間4分/アメリカ

幼いころに母親が自殺し、自堕落な元海軍兵の父と暮らしていたザック(リチャード・ギア)。夢だったパイロットになるために海軍士官学校に入学し、教官であるフォーリー軍曹(ルイス・ゴセット・ジュニア)の厳しい指導のもと、仲間たちと過酷な訓練に臨む。

そんなある日、市民との懇親パーティでポーラ(デブラ・ウィンガー)と出会ったザックは恋に落ちるのだが……。

リチャード・ギア

1949年8月31日生まれ、アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィア出身。1975年に映画デビュー。主な出演作は『天国の日々』(1978)『アメリカン・ジゴロ』(1980)『愛と青春の旅だち』(1982)『プリティ・ウーマン』(1990)『ジャック・サマースビー』(1993)『ジャッカル』(1997)『シカゴ』(2002)『Shall We Dance? シャル・ウィ・ダンス?』(2004)『ハンティング・パーティ』(2007)『HACHI 約束の犬』(2008)など。

熱心なチベット仏教信者としても知られる一方で、スーパーモデルのシンディ・クロフォードとの結婚などでも世を騒がせた。現在は3人目の妻と子供たちと平和に暮らしている。

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